グラマンF-14Aトムキャット(1日ぶり4機目・292機目)
今回4機目のトムキャット。いい加減飽きたぞ。
アメリカ海軍がF-111の計画から一抜けした後にちゃっかり開発した戦闘機。F-111はアメリカ空軍・海軍の共通の戦闘機として開発が始まったものの両者の異なる要求を合わせた結果、肥大化の一途をたどり海軍は一抜けして後始末を空軍に押し付けたのです・・・。
就役は1974年からで、ギリギリですがベトナム戦争にも参戦しています。
この機体の塗装はVF-111サンダウナーズのものです。シャークマウスが特徴的。
ゼネラルモーターズ(イースタン)TBM-3Eアベンジャー(1日ぶり3機目・293機目)
元はグラマンのTBFアベンジャーを自動車のビッグ3の一角ゼネラルモーターズがライセンス生産したものです。この時代のアメリカ海軍機は製造メーカーごとに型番が振られていたので、機体は基本的に同一ながらグラマン製はTBF、GM製はTBMと違う型番が振られていたのです。
3型はエンジンの強化、主翼に増槽や爆弾用のハードポイントの追加などの改良をした型式で、さらにE型は対潜水艦用の哨戒レーダーを搭載しています。
見る度にデカイ機体だなぁと思うわけですが、これでよく単発の艦上機として運用できたもんだと。強力なエンジンは正義だね。
特に胴体がデカイわけですが、胴体内に魚雷を収納する爆弾倉を持っているためです。これのおかげで空間に余裕ができたんで胴体下部にも機銃座があります。
まあでも主翼が折り畳まれてるんでちょっと観察しにくいんですけどね。
B61核爆弾
前回のB57同様これも航空核爆弾で威力の調整が可能なやつです。地表爆発はもちろん、地中を貫通して地下施設も破壊できます。
ちなみに核爆弾の弱点は地中を攻撃できんことで、衝撃波も放射線も地面で遮断されてしまうので地中に潜ってしまえば案外耐えれてしまうとされています。なので核シェルターが有効なのですねー。
これのサブタイプは不明ですが、後期に開発された爆弾は今も現役やってます。
冷戦期の狂気は鳴りを潜めたとはいえ末恐ろしい。
AIM-7スパロー
レーダー誘導式の空対空ミサイルですね。ベトナム戦争でデビューしましたが、当時の電子技術の低さからほとんど命中しないものでした。現代の改良型では改善されてるんでしょうけど。
ロッキードS-3Bバイキング(1972年・294機目)
S-2トラッカーの後継機として開発されたアメリカ海軍の艦上哨戒機です。ベトナム戦争には間に合わんかったので、実戦は1991年の湾岸戦争まで待つことになります。ずいぶん待たされたもんで。
ロッキードって今まで艦上機の設計やったこと無いのにやるなと思ったんですが(離着艦や運用に制約の多い艦上機の方が陸上機より設計が難しいのだ)、ロッキードは電子装備の設計だけやって、機体自体は艦上機開発の経験が多いヴォート社に依頼したのでした。
B型はA型の電子装備の近代化改修を行った型式です。
さらに冷戦終結後はソ連の潜水艦の脅威が無くなったことと他の対潜哨戒機で任務を賄えることから対潜装備が外されて、空中給油機兼攻撃機に転職しました。この時はサブタイプの変更はなかった模様。
ベルAH-1Sコブラ(1日ぶり3機目・295機目)
前回見たガンシップのUH-1の攻撃性を尖らせるとこうなるよ、という攻撃ヘリ。
しかしながら航空戦は出来ないので航空優勢の地域でないと活動できない使い勝手の悪さと、ガチの対空陣地はもちろん人間が携行できるような地対空ミサイルでも撃墜されてしまう脆弱性があるんで、近年は新規機種は開発されてませんね。
そのうち攻撃ヘリというジャンルは消滅してしまうかもしれませぬ。
スチンソンL-5Bセンチネル(1日ぶり4機目・296機目)
ここで時代がさかのぼってWWIIの連絡機L-5です。キミもどこにでも保存されてるんだねぇ。なんというか3~4機くらいの遭遇ではもう驚かないぞ。
雑用機として使われたL-5ですが戦後は民間に放出されました。元々は民間用軽飛行機ボイジャーでしたので、民間機として再就職したものも多し。
この機体はアリゾナ州の民間航空警備(Civil Air Patrol)という組織で働いていて、その塗装で展示されています。機首のプロペラのようなマークがそれの組織章です。災害救助・救難救助から犯罪取締やアメリカ空軍の支援まで手広くやっています。
ジャイロダインQH-50C(DSN-3)ダッシュ(1959年・297機目)
機体サイズ的な意味でふざけた機体ですが、これでもちゃんとしたアメリカ海軍の制式ヘリコプターですよ。ちゃんとアメリカ軍の国籍章も貼ってあるでしょう?
DASHというのはDrone Anti-Submarine Helicopterの頭文字で、名前通り対潜水艦用ドローンヘリコプターなのです。DSN-3というのは型番の統合以前の海軍での型番です。
WWII後ヘリコプターは対潜哨戒機として普及してきましたが、それなりの大きさがある以上、小型艦への搭載は出来ませぬ。それを埋めるためにドローンサイズの遠隔操縦式のヘリコプターを採用して対潜能力を補うことにしたのです。
潜水艦用ソナーはもちろん航空機用レーダーも備えています。潜水艦を見つけたら、装備しているMk.43単魚雷(蛍光オレンジのアレ)を発射して撃沈することも出来ました。その上このC型は魚雷の他に核爆雷も装備できたといいますから、なんかもうドン引きですよね・・・。
機体はローターを二重反転式にしているのでテールブームが無くとても小型に納まっています。エンジンは初期型ではピストンエンジンでしたがC型からはターボシャフトエンジンにしています。
発想は良かったと思いますが、実際に使ってみると割と頻繁に故障していたようです。故障して操縦不能になると落ちる先は大海原しか無いですから、回収困難なわけです・・・。
全部で760機くらい造られましたがそのうちの半数が喪失したと言うんですから、F-105張りの損耗率です。
いくらなんでも無駄に使ってるでしょ、というところを例のマクナマラ国防長官に目をつけられて予算を凍結されて退役に追い込まれてしまいましたとさ。
軍用ドローンはここに来て普及の芽が出ているので、時代を先取りしすぎた兵器だったのかも。
カマンSH-2Fシースプライト(1959年・298機目)
これも対潜ヘリですが初めて見る機体です。今見たQH-50の後継機として導入されました。駆逐艦やフリゲートでも運用できるようQH-50の設備を活用できるというのが売りでしたので、それなりに小型です。特に幅が細いなと。
F型は対潜ヘリの初期型であるD型の改良型。
グラマンF9F-8P(RF-9J)クーガー(2日ぶり2機目・299機目)
グラマンの地味戦闘機のひとつ。元は直線翼のパンサーという名前の戦闘機でしたけど、後退翼に設計変更された時に名前もクーガーになったやつです。名前だけじゃなくて型番も変えたっていい変更ですけど。空軍のF-84みたいなやつです。
これは写真偵察機なので機首側面にカメラが搭載されています。一方で非武装です。カメラは側面に付けられているんで、撮影するときは機体を傾けながら撮影します。真下に付けるのはなんで出来なかったのか気になるところですが。
ダグラスB-18Bボロ(1935年・300機目)
ついに300機目に突入ですよ。まだ終りが見えないんですけどね・・・ふふふ。
これも初めて見る爆撃機ですが、名前で損してる機体だと思います。生まれた時からボロい機体、なんつって。
英語だとBoloと書き、そういう名前の大きいナイフの意味なんですが、「射撃の下手なやつ」という隠語もありまして、お前それさぁ、爆撃機に付ける名前か?
B-18は主翼やエンジンにDC-3の原型となったDC-2の設計を流用しています。胴体は爆弾搭載のために新しく設計していますが尾部はDC-2と同じです。
このため開発費や製造費を安く抑えることが出来、これが後に効いてきます。
型番や初飛行の時期から分かる通りB-17と同世代機で両者は競作機でした。性能はB-17の方がずっと上でした。B-17が排気タービン付き4発エンジンに爆弾搭載量約4.5tに対して、双発で搭載量は半分以下という性能でした。さらに速度も遅くて防弾装備も持っていません。実は本当にボロなのよ・・・。
B-17はその後のWWII開戦から終結まで、実に10年間第一線を張れるほど先進性に優れいていたんですが、その高性能から価格も高価なものになりました。一方B-18ならまだ戦争が始まる前で貧乏だったアメリカ陸軍のお財布でも数を揃えられることから、陸軍はB-18を採用しました。
つまりB-18は性能では完敗しながらも安価なことから採用を勝ち取った機体です。ちょっと変わっていますよね。
WWIIが開戦してアメリカも参戦しそうな気配が出てきた1941年からは主力機をB-17に譲って生産もそっちに移行したので、生産数は300機くらいに留まりました。
なおB-17は1941年生産のE型だけで500機造られているんで、あっという間に数の上でも逆転されています。
すでに爆撃機としては物足りない性能になっていたんで、対潜哨戒機や観測機に転職して活躍しました。
確かにエンジンや主翼はDC-2にそっくりです。機首はさすがに別物になっていますの。
B型は対潜哨戒型で爆撃型から改造されたものです。機首の爆撃手の窓を潰してそこにレーダーを取り付けたので多少顔つきが変わっています。
降着装置やこの時期のダグラスの設計でよく用いられていた分割できる主翼の接合部など。
爆弾倉とか。
B型の尾部には潜水艦を検知するMADブームが付いてるんですが、これにはありませぬ。戦争後半には対潜哨戒任務も外されて練習機に使われいたようなので、その時に外されてしまったのかも知れません。
MAD (magnetic anomaly detector) という潜水艦を探知する磁気探知機。
鉄の塊である潜水艦は磁場を乱す作用があるので、それを探知して潜水艦を見つけるのです。
P-3のように胴体尾部に固定されるMADブームとヘリコプターから曳航されるMADバードの2種類があります。これはMADバードの方です。
AN/AQS-13ソナー
ヘリコプターから海中へ吊り下げて使うディッピングソナーです。
AN/SSQ-53FソノブイとAN/SSQ-36Bソノブイ
ソナーとブイを合体させてソノブイ。MADやディッピングソナーと違ってソノブイは使い捨てのソナーです。
1機につき数十個搭載して一気に海中へばらまきます。
ここらへんでそろそろ飛行機の墓場ツアーの集合時刻が近いことに気付き、館内見学は一時切り上げて博物館の入り口へ戻ります。
というとこで今日はここまで。次回からは飛行機の墓場ツアーです。
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