カナダ軍用機歴史博物館の続きです。次はホーカー・ハリケーンです。とは言ってもこれはレプリカであります。なので資料的にはあまり見るところはないですが、こんな形だというのはよく分かるのでヨシ。たぶんMk IIBか、それのカナダ製であるMk XIIを模して作られたものだと思います。この型式は7.7mm機銃を12丁も装備した重装備型です。7.7mm機銃弾自体は威力が比較的低めですが、12丁も撃ちまくると流石に効くと見られます。ただし重量増とコストで不利なのもあって、対策として後に20mm機関砲4門装備の主翼が造られるようになっています。
胴体の後半は鋼管羽布張りというこの時代にしては旧来の工法。
実機を見るたびに感じることですが、戦闘機の主翼の厚さじゃないよな・・・。練習機かな?赤い部分に機関銃が隠されています。この赤いものは封印シールで、機関銃をホコリから保護する目的があります。ただのシールなので、機銃を撃てばシールを貫通してそのまま使えるようになります。
機体の記号はYO◎Aになっていて、これは第二次世界大戦に初めて参加したカナダ空軍部隊のものですね。第1飛行隊だったと思います。
コンソリデーテッドPBY-5Aカンソーです。アメリカ海軍の傑作飛行艇PBYカタリナのカナダ空軍での呼称です。カナダのカナディアン・ビッカースでライセンス生産もしていてそれはPBVという型式名です。ついでに書くとボーイングでもライセンス生産していて、それはPB2Bという型式名。どれも同じ機体なんですけど、複数メーカーに跨って生産されると識別がややこしいのがアメリカ海軍式の型式命名規則なのです。これ、少量多機種の航空機を保有していた戦間期には適していたんでしょうけども、第二次世界大戦になるとちょっと無理が出てきましたね。なお似たような命名規則をしていたのが日本海軍であります。アメリカ海軍のを真似たんじゃないかなぁ。
この博物館のカンソーの個体は、カナディアン・ビッカース製です。なので正確にはPBVという型式名になりますが、ここは博物館の表記にならいますかね。1944年製で1961年までカナダ空軍に就役していました。その後民間に払い下げられて1995年まで使われた後、博物館入りした模様。たぶん博物館入りするまでの間に外観が改造されていると思われ、機首の機銃座が無くなっています。機首の先端にはゴムのバンパーが付けられているように見えます。
主翼と胴体は密着しておらずに1本の柱を介して少し離した位置にあります。支柱が4本あるとはいえ少し不安になりそうな構造をしています。これはエンジンが海水をかぶらないようにする対策だろうと思いまする。ちなみに博物館入りするまで現役やってたからか、このカンソーは今も飛行可能な状態を維持しています。
PBYは唯一無二と言っていいスタイリングをしているし素敵。
水上機には、水面で機体が横転しないよう主翼の端にフロートが付いているものです。PBYにも当然付いています。しかしフロートとそれを主翼と繋ぐ柱は飛行中は空気抵抗になる邪魔者でしかないです。そこでPBYでは、フロートと柱を折りたたんで主翼と一体化させてしまうという超素敵装置を持っているのです。ただ、PBYは最高速度300km/hしないくらいで言うほど高速機ではないので、折りたたみ機構がどこまで効果があったのかは疑問でありますが。まあかっこいいのでヨシ。PBYは今まで何機か見ましたが、フロートを畳んでいる機体は初めて見たのでちょっと感動です。
第二次世界大戦時、カナダ空軍のPBYは11個の飛行隊で運用され、沿岸警備、船団護衛、Uボート狩りなど多様な任務をこなす雑用機でありました。戦後は救難救助や写真偵察で活躍して1962年11月に全機退役しました。
デ・ハビランドDH.100バンパイアFB.6です。イギリスで2番目に開発されたジェット戦闘機です。2番目ですけど、1番目のミーティアよりも広く普及しましたね。2番目の方が成功する法則です。カナダ空軍でも第二次世界大戦後のジェット戦闘機にバンパイアを採用しました。バンパイアMk.3 (F.3) を1947年に輸入して1948年1月に初飛行、同年後半に第401飛行隊に配備されたのを皮切りに85機が配備されました。ただしすぐに性能が陳腐化してしまい1951年にはF-86セイバーに取って代わられています。その後は6個の予備飛行隊に配備されて1956年末で退役したみたいです。
この個体はカナダ空軍とは関係なくて、スイス空軍で使用されたFB.6型なのです。1960年にスイスで製造されたバンパイアの最終製造機だそうな。ライセンス生産機でも胴体はベニヤ製だったのかしら?見た感じ、リベットのようなものは見受けられないので木製のような感じがしますが・・・。スイス空軍では長いことバンパイアを使っていて、これは1995年に退役しました。退役当時から見ても化石みたいな存在だったでしょう。スイスのFB.6型の外観の特徴として機首の鼻が長いことが挙げられます。なんで長いのかはちょっと調べても分からんかったです・・・。長鼻なのでピノキオノーズと呼ばれてたとかそうじゃないとか。
前脚とか機関銃とか。
空気取入口ですね。
ジェット排気のロスを無くすために胴体をめちゃくちゃ短くしました、という形状。大胆なこと考えます。ちなみにですけど、バンパイアはアメリカの航空博物館ではまず見ることのできない機種です。一応ごく一部の博物館で静態保存展示されていますが(こことか)、スミソニアンやデイトンのアメリカ空軍博物館といった有名所にはいないのはなんだか意外だと言えます。隣国のカナダにはぼちぼちいるので、地域性が出てるなという印象。
スイスの機体ですが、カナダ空軍の塗装で展示されています。第400予備飛行隊「シティ・オブ・トロント」の再現なんだそうな。
後ろから。双ブームの尾翼がやはり大胆な設計だなと。
というところで今日はここまで。
その9へ→
The Hawker Hurricane: A Complete Guide To The Famous Fighter (Airframe & Miniature)著:リチャード.A.フランクスFranks, Richard Aバリアントウイングスパブリシング(Valiant Wings Publishing) Consolidated PBY-5A Catalina Walk Around (Walk Around / on Deck)
Doyle, DavidSquadron/Signal Pubns History of the de Havilland Vampire (English Edition)
Watkins, DavidFonthill Media
胴体の後半は鋼管羽布張りというこの時代にしては旧来の工法。
実機を見るたびに感じることですが、戦闘機の主翼の厚さじゃないよな・・・。練習機かな?赤い部分に機関銃が隠されています。この赤いものは封印シールで、機関銃をホコリから保護する目的があります。ただのシールなので、機銃を撃てばシールを貫通してそのまま使えるようになります。
機体の記号はYO◎Aになっていて、これは第二次世界大戦に初めて参加したカナダ空軍部隊のものですね。第1飛行隊だったと思います。
コンソリデーテッドPBY-5Aカンソーです。アメリカ海軍の傑作飛行艇PBYカタリナのカナダ空軍での呼称です。カナダのカナディアン・ビッカースでライセンス生産もしていてそれはPBVという型式名です。ついでに書くとボーイングでもライセンス生産していて、それはPB2Bという型式名。どれも同じ機体なんですけど、複数メーカーに跨って生産されると識別がややこしいのがアメリカ海軍式の型式命名規則なのです。これ、少量多機種の航空機を保有していた戦間期には適していたんでしょうけども、第二次世界大戦になるとちょっと無理が出てきましたね。なお似たような命名規則をしていたのが日本海軍であります。アメリカ海軍のを真似たんじゃないかなぁ。
この博物館のカンソーの個体は、カナディアン・ビッカース製です。なので正確にはPBVという型式名になりますが、ここは博物館の表記にならいますかね。1944年製で1961年までカナダ空軍に就役していました。その後民間に払い下げられて1995年まで使われた後、博物館入りした模様。たぶん博物館入りするまでの間に外観が改造されていると思われ、機首の機銃座が無くなっています。機首の先端にはゴムのバンパーが付けられているように見えます。
主翼と胴体は密着しておらずに1本の柱を介して少し離した位置にあります。支柱が4本あるとはいえ少し不安になりそうな構造をしています。これはエンジンが海水をかぶらないようにする対策だろうと思いまする。ちなみに博物館入りするまで現役やってたからか、このカンソーは今も飛行可能な状態を維持しています。
PBYは唯一無二と言っていいスタイリングをしているし素敵。
水上機には、水面で機体が横転しないよう主翼の端にフロートが付いているものです。PBYにも当然付いています。しかしフロートとそれを主翼と繋ぐ柱は飛行中は空気抵抗になる邪魔者でしかないです。そこでPBYでは、フロートと柱を折りたたんで主翼と一体化させてしまうという超素敵装置を持っているのです。ただ、PBYは最高速度300km/hしないくらいで言うほど高速機ではないので、折りたたみ機構がどこまで効果があったのかは疑問でありますが。まあかっこいいのでヨシ。PBYは今まで何機か見ましたが、フロートを畳んでいる機体は初めて見たのでちょっと感動です。
第二次世界大戦時、カナダ空軍のPBYは11個の飛行隊で運用され、沿岸警備、船団護衛、Uボート狩りなど多様な任務をこなす雑用機でありました。戦後は救難救助や写真偵察で活躍して1962年11月に全機退役しました。
デ・ハビランドDH.100バンパイアFB.6です。イギリスで2番目に開発されたジェット戦闘機です。2番目ですけど、1番目のミーティアよりも広く普及しましたね。2番目の方が成功する法則です。カナダ空軍でも第二次世界大戦後のジェット戦闘機にバンパイアを採用しました。バンパイアMk.3 (F.3) を1947年に輸入して1948年1月に初飛行、同年後半に第401飛行隊に配備されたのを皮切りに85機が配備されました。ただしすぐに性能が陳腐化してしまい1951年にはF-86セイバーに取って代わられています。その後は6個の予備飛行隊に配備されて1956年末で退役したみたいです。
この個体はカナダ空軍とは関係なくて、スイス空軍で使用されたFB.6型なのです。1960年にスイスで製造されたバンパイアの最終製造機だそうな。ライセンス生産機でも胴体はベニヤ製だったのかしら?見た感じ、リベットのようなものは見受けられないので木製のような感じがしますが・・・。スイス空軍では長いことバンパイアを使っていて、これは1995年に退役しました。退役当時から見ても化石みたいな存在だったでしょう。スイスのFB.6型の外観の特徴として機首の鼻が長いことが挙げられます。なんで長いのかはちょっと調べても分からんかったです・・・。長鼻なのでピノキオノーズと呼ばれてたとかそうじゃないとか。
前脚とか機関銃とか。
空気取入口ですね。
ジェット排気のロスを無くすために胴体をめちゃくちゃ短くしました、という形状。大胆なこと考えます。ちなみにですけど、バンパイアはアメリカの航空博物館ではまず見ることのできない機種です。一応ごく一部の博物館で静態保存展示されていますが(こことか)、スミソニアンやデイトンのアメリカ空軍博物館といった有名所にはいないのはなんだか意外だと言えます。隣国のカナダにはぼちぼちいるので、地域性が出てるなという印象。
スイスの機体ですが、カナダ空軍の塗装で展示されています。第400予備飛行隊「シティ・オブ・トロント」の再現なんだそうな。
後ろから。双ブームの尾翼がやはり大胆な設計だなと。
というところで今日はここまで。
その9へ→
The Hawker Hurricane: A Complete Guide To The Famous Fighter (Airframe & Miniature)著:リチャード.A.フランクスFranks, Richard Aバリアントウイングスパブリシング(Valiant Wings Publishing) Consolidated PBY-5A Catalina Walk Around (Walk Around / on Deck)
Doyle, DavidSquadron/Signal Pubns History of the de Havilland Vampire (English Edition)
Watkins, DavidFonthill Media