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北米project 5 ~How do you like Canada? その40【2016/6/15~22】

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カナダ航空宇宙博物館の続きです。前回に続いて航空黎明期の機体を紹介します。これは、モーリス・ファルマンS.11ショートホーン (Maurice Farman S.11 Shorthorn ) (初飛行1913年)です。これも初期の複葉機で、フランスで設計されました。これの前の型式S.7は機体前方に昇降舵を備えていましたが、S.11にはそれを廃したのでショートホーンと呼ばれるようになりました。軍用機としてオーストラリア、ベルギー、イギリス、フランス、イタリア、ロシアで採用され、偵察機か爆撃機として運用されました。前方の昇降舵が無くなったので視界が良くなったとかで。この個体は、イギリスのエアコー社で1915~1916年にかけて製作された4機のうちの1機です。オーストラリア軍で1919年まで使用されて、1930年代まで保管状態でした。1950年代に動態復帰を果たします。するとアメリカ人が購入して博物館を転々としたあと、最後に当館へやってきたのです。

プロペラが胴体後部に配置された推進式なので前方視界は良好です。飛行機としては変わった形の機首です。第一印象は和式便座ですかね・・・。

尾翼関係を機体後方に持ってきたのが特徴です。推進式なので尾部は双胴式なのです。

エンジンはルノー製V8気筒60馬力です。

尾翼はこんなかんじ。

ソッピース 7F.1 スナイプ (Sopwith 7F.1 Snipe) です。1917年初飛行。ソッピース社の名作機、キャメルの後継機として開発された単座戦闘機です。ただ初期は速力に課題があり、キャメルと比較してエンジンが100馬力増えたのに速度向上はわずかでした。それでも機動性はキャメルよりも高く、戦闘機として申し分なかった模様。イギリス空軍で500機弱が運用されたそうな。博物館の個体は1918年にイギリスのニューポート&ジェネラル航空機で作られました。退役後にアメリカ人俳優がカリフォルニア州に輸入して、映画の小道具として使われていたこともありました。博物館は1964年にこれを取得し、博物館の首席操縦士が操縦したこともありました。

第一次世界大戦後半に配備された戦闘機ということで、端正な形状をしています。プラモデルも発売されていますよ。星型空冷エンジンに見えますが、実際はエンジンごと回転するロータリーエンジンです。ロータリーエンジン機の中で最強との呼び声もあります。

機首の機関銃。ルイス機関銃っぽいですが、よくわかりません。

ピトー管だと思います。

後ろから。

ブリストルF.2Bファイター (Bristol F.2B Fighter)。1916年初飛行。
複座偵察機として開発されたものの、堅牢な構造、強力な275馬力ロールスロイス・ファルコンIIIエンジン、高機動、重武装によって戦闘機の使用にも適する機体です。複座だと重くなるわけですが、その欠点も後席を後方からの攻撃の防御に使うことで戦闘力を高めています。イギリス空軍で重用された戦闘機となりました。
ブリストルF.2は世界に3機しか現存しない戦闘機です。この個体は1918年製造です。自国の戦闘機の経歴については異常な執着で洗い出すイギリス人ですが、これの経歴は多くが分からないようです。第二次世界大戦のロンドン空襲で記録が焼かれてしまったのです。
機体は胴体だけにされて売り飛ばされて、納屋の支えに使われていたそうな。2006年までに機体は復元されたとのことですが、こうなると機体の資料性はあまり無さそうです。この機体の経歴を証明するものは、エンジンとカウンセリングの裏に刻印された製造番号なのです。当館には2006年に収蔵されました。



足回りです。脚に小さなプロペラが付いています。

横からです。

ユンカースJ.I (Junkers J.I)。1917年初飛行。世界で初めての全金属製航空機です。当時まだ全金属製は早すぎた感があり、速度は鈍重でした。偵察機と対地攻撃機として開発されたものの、攻撃機としては使えなかったようです。その代わり防御力が強かったようで、対空砲火に耐えられました。戦闘中に破壊された機体の記録は存在しないと言われています。飛行機で防御力が高いという説明を聞くとは思いませんでした。J.Iはこの個体が世界で唯一の現存機です。第一次世界大戦の戦利品としてカナダが手に入れ、船で運ばれてきました。戦利品として博覧会で展示されるなどされ、その後は1969年に当館が取得しています。

世界で唯一の個体、となるとおいそれと機体に手を加えるわけにも行かないようです。機体は劣化していますが、資料製の確保のためにそのままにしているのでしょう。こういうのが常設展示されているとは底が深い博物館だと思いました。

胴体も後部の外板が欠損しています。

エンジンは、ベンツ・BzIV200 馬力の直6です。排気管は真上に伸びていたそうです。変わっていますね。




翼は金属製ではないように見えますが、ユンカースお得意の波板構造のようです。つまり翼も金属製です。




コックピットも首から下は完全に金属板で保護されています。機体としては低性能でしたが生存性の高さから乗員からの支持は厚かったと言われています。
というところで今日はここまで。

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