鉄道の廃線跡を転用して造られた遊歩道ギャロッピンググース・リージョナルトレイルに残るティンバートレッスルという種類の木造鉄道橋を探しに行くというもの。
ちなみに前回の郷土資料館でトレッスル橋のことを聞きましたが確かにあるということで、いよいよ後に引けなくなった感じ。
観光案内所兼郷土資料館を出発し14号線に出るとスーク川を渡ります。次に最初の交差点のスークリバー・ロード Sooke River Rd. へ入り、さらにカービィ・ロード Kirby Rd. へ曲がると、ギャロッピンググース・トレイルが姿を現します。
ほぼ43km地点からの開始です。路面はビクトリア側だとアスファルト舗装されているんですけども、こちらは未舗装ですね。
ここです。ここから北へ向かってチャリを走らせます。
森の中を遊歩道が突っ切るという感じの道が続きます。
廃線跡という先入観のせいもありますが、道幅はちょうど線路が1本敷けるような広さです。
それと、道は上り勾配ながらその傾斜は緩やかです。周りの地形はややアップダウンしている箇所もあるのですが、そこには掘割や築堤が設けられていてスムーズに漕げるのです。
これも鉄道の路盤を再利用しているからなのだと思います。
43km地点から10分ほど走っていると、急に前方が開けてきました。
あ~、あれはきっと橋があるんですねぇ~。よっしゃよっしゃと少しずつ進み、その興奮を高めていきます。
キタ━━━━━!!
橋ですよ、橋!こんなあっさりと見つかってよかったのか!?
ここです。最初の場所からおよそ2.5km。
この橋はチャーターズ川 Charters Creek に架かるチャーターズ・トレッスル Charters Trestle です。
下を覗いてみると小川が見えますね。秋になると鮭が遡上してきます。
・・・ってあれ?橋脚が、あれ?あれれ?
て、鉄橋やんけ!
う~ん、マジですか・・・?ちょっと前に建て替えたのかなぁ?でもそれにしては橋の構造が古いよな?
橋は2本あるって言ってたし、もっと奥へ進めばお目当ての橋があるのかもしれません。
ところで、これの橋桁は遊歩道整備時に敷かれた角材の歩道だと思うのですが、その橋桁の下に不規則に敷かれている角材は、当時の鉄道の枕木なのでは?と思わんでもなく。
とぼとぼと橋を渡りきる。
とはいえ廃線後も鉄道橋が残っていてその上を自分で渡れるなんていう体験ができる廃線跡というのは多くないので、珍しい経験だったなと思います。
この先にもうひとつの橋があることを、それがティンバートレッスルであることを信じてチャーターズ橋からさらに進出すること2km。
!!!
よし勝ったな、風呂入ってくる。
間違いない、これが2本目の橋だ。
そして欄干の隙間から見えるあの橋脚は・・・。
!!!
おおっ・・・。ティンバートレッスルだ・・・。これがトッドクリーク・トレッスル橋 Todd Creek Trestle だ。
瞬間私は息を呑みました。本当にこの光景に遭遇できるなんて・・・。
規則正しく組み上げられた材木が織りなすこの構造物には人工物だからこその美しさがあります。
成長し続ける木々に負けず、その存在感を示しています。
いや、すごいなこれは。
トレッスル橋は八の字に組まれた縦材を短間隔で多数使用して橋桁を支持する橋のことです。木造の他に鉄材を使用したものも当然あり、日本だと兵庫県の山陰本線に架かる旧余部鉄橋なんかが有名です。
あれも迫力あるものですが、木造橋だと橋脚の本数がそれ以上になるので、密度感が凄まじいことになります。ていうかもう橋脚しか無いですからね。
どうにか降りられないものかと橋の袂をうろちょろすると、左側からいい感じに降りられそうな獣道があるではないですか!
これは!もう!降りるしか!無いでしょう!人として!!
よく見える!素晴らしい!しかし地面から結構高さがあるね、これは。
さすが現役の橋だけあって橋脚の欠損や破損は見受けられず。補強材などは部分的に補修はされているんでしょうけども、縦材なんかは古そうな感じもしけり。構造材の内数%くらいは蒸気機関車時代から橋を支え続けてきたものが残っているのかもしれませんね。
内向きのカーブなため、橋の横に寄って望遠レンズで圧縮を掛けるといい感じの橋脚写真が撮れます。材木だけの空間だ。
地面を見てみる。
谷間を流れる川を越えるための橋でして、橋の両端は斜面になっています。
橋脚を建てる部分は地面を水平に均しているのが分かると思います。さらに、地面が段々になっているのにも注目です。これはこの手の谷を越えるティンバートレッスルに見られる特徴です。
今回驚かされたのは橋脚の土台部分。
枕木を介しているとはいえ、ただ地面にポン置きしているだけでしょう、これ。
当時の土木技術はもとより、多脚橋で負荷が分散されるので、これでも問題なかったということでしょうか。
最下層に行きたかったのですが、これより先は地形が険しく、またこの日の地面は濡れていたこともあり途中で引き返すことにしました。ここで事故ったら助け来ないからね・・・。
なのでこの写真が一番下から見た写真になるのですが、これだけ見られればもう十分でしょうというほどの成果でした。
上に戻って橋を渡ります。トッド川からの高さは26mあるんだそうで、やはり結構高い橋だったのですね。
なお建設されたのは1918年で、資材はベイマツとのこと。強度対重量比に優れ、高負荷、強風、暴風雨、地震に耐えられる素材であったこと、一帯に自生していて調達が容易だったことが挙げられています。
当時の鉄道に思いを馳せながら・・・。
チャリと記念撮影。
みんなにもこの橋を訪れてほしいのですが、いつものようにだらだら調べていると、この橋は2017年8月から一時閉鎖されているのだそうな・・・。3本の橋脚がダメになっているようで、修理する必要があるとか。ソースはこちら。
執筆時点では再開したという情報は無く、再開時期もまだ未定かと思われ。事前によく調べてくださいね。
トッドクリーク・トレッスルの場所はここ。
遊歩道以外から到達しようと思うと、横を走るスークリバー・ロードからトッド川を伝って行くしか無いでしょうね。行けるか知りませんが。
さて、ここからトレイルの終点まで走ってしまおうかと思ったのですが、めんどくさくなったので止めにして戻ることにしました。なにせここからランフォードまで数十kmのサイクリングですからね。
トレイルの道路との交差点にはよくこんな感じのトレイルの立て札が立っています。ここに描かれている車両の絵がギャロッピンググースですね。この絵がここで使われていた車両なのかは分かりませんでしたが。
こんな感じで進みます。
海沿いに戻ってきてハイウェイ14号線と並走するとこまで来るとよく道路と交差するようになるのですが、その中でこんなものが!
これは!廃線跡あるあるのひとつ、「撤去されず埋められたものの年月とともに再び露出してきたレール君」じゃないですか!
この遊歩道をかつて鉄道が走っていたというなによりの証拠です。これにも感動を覚えましたね。確かに昔の鉄道の上を走っているのだと。
踏切だったんだろうなぁというところ。
程なくして14号線を渡り海岸線沿いを走ります。
いい景色だなと思いながら走っていたら、急にペダルが重くなる・・・。
げっ、パンクだ・・・。
・・・。
・・・・・・。
えー、今回はここまでです。
次回の挑戦をお楽しみに。
はぁ、がっかりだ。
不幸中の幸いだったのは、パンクした箇所が14号線に近い場所だったことです。ここからバスに乗って帰ることができるのですね。
自転車を引きながら14号線に出てバス停まで歩き、帰りのバスを待つことにしました。パンクした時もバスに乗せてしまえば楽勝なのでやはり自転車ラック付きバスは便利ですねと実感したのでした。
写真はバス待ちの間に通ったBlue BirdのAll American。特に意味なし。
これでおしまいです。