Source of map: Orange Empire Railway Museum (http://www.oerm.org/grounds-map/)
6番の3ft鉄道を見た後、その北にある16番のパイ・ヤードを目指します。
他のヤードがそうだったように保存車が雑に置かれています。前も書きましたが「使いみちは分からないけどとりあえず取っておこう」みたいなノリでかき集めてるようなフシがあり、博物館の人員に対して車両の数が多くて保守作業が追いついていないように見えます。おかげで「こんなものまで残したの」というものもあり、こっちとしては嬉しい限り。
ユニオンパシフィック鉄道#2564蒸気機関車(1921年アルコ製)
ようやく大型(いや中型?)蒸気機関車にお目にかかれました。
車輪配置2-8-2ミカド、型式名MK-10形。MKは「マーク」じゃなくて「ミカド」の意味です。ミカド機の10機種目ということ。
MK-10形は#2555~#2564の10機が製造されて全機がユニオンパシフィック(UP)の子会社ロサンゼルス&ソルトレイク鉄道(LA&SL)向けに配置されました。ただし#2564は1923年にUP直轄のアイダホとユタ北部を結ぶオレゴン支線(Oregon short line)に転属して、1955年の廃車まで貨客機として活躍した模様。
廃車後の1959年、UPはカリフォルニア州オログランデの公園に#2564を寄贈します。その後経緯は不明ですが1996年に公園からオレンジエンパイアへ移送して現在に至ります。たぶん公園で維持できなくなったといったところでしょうか。
そういう由来からか、他の車両が本線から分岐する留置線に置かれているのに対して、#2564だけはそこから分断されたところにポツンと孤立しています。いずれ動態復活させるつもりらしいです。
とはいえ1920年代の蒸気機関車が現存するのは特筆すべきことかなと。
状態はまあ良いほうだと思います。ちゃんと整備すれば輝きを取り戻せるかと。やはり乾燥地帯は強い。
火室が広いような。
炭水車(これは石炭焚き)は水タンクが円筒状になっています。この年代にしては珍しいような気が(なんとなく
水タンクの前半分を覆うようになっている部分が石炭庫です。
#38639無蓋車(製造年不明)
謎無蓋車。書くことも特に無し・・・。
ユニオンパシフィック鉄道#183206有蓋車(1936年製)
普通の無蓋車。コメント書きづらいなぁ。
オレンジエンパイア鉄道博物館#39160長物車(製造年不明)
報告記号OERXってどこの会社かと思ったらオレンジエンパイアか。当然どこかの鉄道から譲渡してもらったものでしょうが、履歴は探れず。
車体長が短めなのが気になりますが・・・。
なんと台車が3軸でした。これ、客車の3軸台車を流用したやつでしょう・・・。
3軸台車は2軸台車よりも部品が多い分整備が大変なので、3軸が余ってたから使いまわそうとはあまり考えにくいのですが、たぶん2軸台車では軸重に耐えられない重量物を運ぶのに使われたんじゃないでしょうか?なので全長もそんなにいらないのかも。
ユニオンパシフィック鉄道#906201食堂車(1927年プルマン製)
乗降扉が無いので食堂車というのは分かると思います(奥の小さい扉は食料等を入れる業務用扉)。車両自体は普通の食堂車ですが運用が特殊でして、これは保線員用の業務用車両なのです。なのでUPの黄色塗装ではなくて銀色に塗られています。
保線にも色々ありますが、この食堂車はデリックサービス・・・つまり起重機を備えた操重車の要員用です。保線員の移動用とか食事を出してたとかそういう使われ方をされていたのかなと。
こういうマイナーな使われ方をされた車両よく残しましたね。それとも営業用の黄色塗装の仕様で復元するつもりかしら?
ちなみに保線をアメリカ英語ではMaintenance of Way、略してMOWと言いますので覚えておこう。アイスクリームみたいね。
オレンジエンパイア鉄道博物館#35586長物車(製造年不明)
謎長物車。部品置き場にされてます。
オレンジエンパイア鉄道博物館#1355(製造年不明)
謎長物車。これはレールやH鋼材置き場にされています。ある意味本来の使われ方をされてますよね。
ユニオンパシフィック鉄道#28504無蓋車(1925年PRSS製)
よくある無蓋車。でもこれアオリ扉無いけどどうやって荷降ろしするんだ。
なおPRSSはなんの略なのか分かりませんでした。教えてエロい人。
サンタフェ鉄道#600175有蓋車(1964年製)
表記類がズレて上書きされているのでなんだか写真がブレてるように見えて気持ち悪い・・・。
1960年代の製造なので全長全高ともに拡大されています。基準がワム80000なのでそれと比べると壁ですね。引き戸が両開きなのが特徴なのだとかで。
なんだこの電車・・・じゃない客車かな?・・・初めに見た謎客車じゃないですの。6両編成になっています。
ていうかすんげー落書きされてる。アメリカだなぁ、容赦ないなぁ・・・。
前面のNJのロゴでピンときましたが、これニュージャージー・トランジット(NJT)で使われていた通勤客車ですね。
前も書きましたが正体はニュージャージー・トランジット コメットI形通勤客車です。1970年代にプルマンスタンダードで製造されました。たぶんこの博物館で一番新しい車両です。最初はエリー・ラッカワナ鉄道用に造られましたが、同社の倒産後にNJTに引き継がれた模様。
2009年までに全車が廃車になりました。廃車後は一部が複数の博物館に引き取られ、うちひとつがオレンジエンパイアです。ニュージャージー州は東海岸なので、西海岸のオレンジエンパイアまで大陸を横断してきたわけです。立地的に縁のない車両なんですが、博物館がそこまでして欲しかった理由とは・・・?
前面は貫通型でダサいデザインの多いアメリカの制御客車にしてはまとも。でも運転室と貫通路の窓の高さがちぐはぐなのがアレ。
#5103制御客車。
車体はアルミ製で台枠は普通鋼です。
乗務員室は無く、乗降デッキと共用です。そこから客が乗ってきたらどーするつもりなのかと問い詰めたいですが、北米の制御客車は伝統的に乗務員扉が無いのです・・・。冬は隙間風が寒そう。
#5124客車。落書きがドイヒー。
扉は70年代製らしく引き戸です。ただ上半分しかないのがアメリカらしいというか。
デッキには階段が付いていて、昔からの高さの低いプラットホームでも乗降できるようになっています。しかし、将来的にホームを客車の床面と同じ高さまで嵩上げするのが検討されていましたので、ノンステップで乗り降りできるよう客車側にも階段を越えていくための収納展開式の足場が予め取り付けられていたようです。
それとこの車体、アムトラックのホライゾン形客車に似ているなと思ったんですが、案の定ホライゾン形の原型になったのがコメットI形だそうです。正確にはこれの改良型のコメットII形が直系の原型ですが。
どーでもいいですがホライゾン形の由来って、コルゲートの無いツルツル車体なのが由来だったりしませんかね?
#5113制御客車と#5116客車
#5113の前面にはトラ柄の警戒色が塗られてるんですね。でも美しくないよね・・・。
扉が開けっ放しだけど、これ入れちゃう系?
お邪魔しま~す・・・って、うわぁ3+2列配置ですか。すっげぇ、めちゃ詰め込むんだね~キミ。
座席の向きは固定で、集団離反式・・・つまり真ん中を境にお互いそっぽを向いている座席です。
しかしつり革や座席の手すりがないあたり、立ち席は想定されてないんですね。
運転席。う~んこの。これ本当に70年代の運転台ですか。計器類は取り払われて今たまたま無いだけと信じたい。現役時代から付いてないなんて言わないでくれよな。
ちなみにこれ、運転士が立つところ無いじゃん・・・と思いますが、上記の嵩上げホーム用の展開式足場を出してその上に立ちます。右端にその足場がデッキの壁に立て掛けられているんですが、分かりますかね?
といったところで今日はここまで。
その49へ→