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北米project 4 ~Is the order a warbird? その57【2016/03/04~10】

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2016年3月6日(日)14時18分
カリフォルニア州リバーサイド マーチフィールド航空博物館 屋外展示場
ミグ戦闘機が一列に並ぶ区画に来ました。なんとMiG-15からMiG-23までが一同に会しているのです。これこそミグ回廊であるな・・・とひとり感激していました。

なおあの赤いバギーが、バギーに乗りながら屋外を周る「トラムツアー」という有料ツアーです。特に障害者用のツアーというわけではなく誰でも参加できます。やはりできることなら歩きたくないというアメリカ人が一定数いるんだろうなと。やや呆れてしまいますが、そういう選択肢が用意されているのはいいことではあるかなと。



ミコヤン・グレビッチMiG-15UTI(1日ぶり4機目・212機目)
おなじみ朝鮮戦争時代を代表するソ連のジェット戦闘機です。NATOでの愛称はファゴット(=薪束)。博物館の記述ではサブタイプが書かれていないのですが、複座型なので複座練習機型のUTI型でしょう。
ポーランド空軍の塗装がされているので、ポーランドでライセンス生産されたSBLim-1かもしれません。



ここの博物館にはよく鳥が飛んでくるらしく、何度も飛行機を止まり木にしている鳥を見かけました。博物館も手を焼いているらしく、機体の一部には鳥が止まらないようトゲを生やしています。



うしろ。
アメリカのF-86と比べるとやはり一回りは小柄な機体です。その小柄な機体でもって性能的にはF-86を上回っていたそうな。でも実際の戦闘ではF-86が優勢でした。
アメリカ空軍もなんでか不思議に思っていたそうですが、パイロットの練度が高かったからなどという理由で片付けられたそうです。そのせいか知りませんけど、以降のアメリカ空軍では制空戦闘機の開発は長らくおざなりにされてしまうのです。F-100?あれは戦闘爆撃機よ。



ミコヤン・グレビッチMiG-17(1日ぶり3機目・213機目)
MiG-15の改良型。サブタイプは知らん。NATOでの愛称はフレスコ(=フレスコ画)。
ベトナム戦争での北ベトナム軍の主力戦闘機でした。ベトナム戦争というとMiG-21ですが、あれが投入されたのは戦争の後半でした。
つまり戦争前半はこいつでもってアメリカ空軍の戦闘機の相手をしていたのです。とはいえ、制空戦闘機でないへなちょこ戦闘機軍団であるところのセンチュリーシリーズでは旧式のMiG-17にもかなり手こずっていました。少なくない数がこれに落とされていると言われています。



MiG-15とどこが違うねん・・・と見る人を惑わすことに定評があるMiG-17ですが、最近になってようやく見分けがついてきました。
まずは以前にも説明した主翼上の境界層分離版の数です。主翼の前後に伸びている板状の突起の数がMiG-15は片側2枚、MiG-17は片側3枚なのです。
あとは垂直尾翼の輪郭が15は丸いRを描いているのに対して17は角が出ています。後退角度も17の方がキツイです。
他に全長が違っていて17のほうが長いのですが、並べてみると分かりますが単機だけパッと見だと意外とあんまり見分けがつかないです。パット見で777-200と777-300見ても分からんのと一緒だ、たぶん。



ミコヤン・グレビッチMiG-19(1953年・214機目)
ミグ戦闘機の中でもなんか影の薄いやつ。こんなMiG-15みたいな見た目でもソ連機では初めて超音速飛行を成し遂げたのだ。NATOでの愛称はファーマー(=農家)。
やはりMiG-17とどこが違うねん・・・と見る人を惑わすことに定評があります。全長がさらに長くなってたりとか主翼の境界層分離版が大型1枚になってるとか今どき主翼に機関砲を装備してるとか(でも機関砲付けてないやつもある)、そんな感じです。



他に一番の特徴はエンジンが双発になっていること。ここが一番の識別点ですぞ。まあ、前から見たらわっかんねぇんだけど。
あとは、水平尾翼がMiG-17までの垂直尾翼の真ん中から生えてる十字尾翼から胴体から生えている普通の尾翼になったこと。ここも分かりやすいので覚えておこう。



ミコヤン・グレビッチMiG-21F-13(1日ぶり2機目・215機目)
御存知ソ連の超音速ジェット戦闘機。バカスカ造られてそこら中の国にばら撒かれたんで色々なところで見かけることが出来ました。NATOでの愛称はフィッシュベッド(=魚の寝床)。NATOのソ連機への愛称ってテキトーが過ぎると思うんですけど、F(FighterのF)から始まれば何でもいいんかいと。そう思うと第二次大戦中の日本軍機への愛称、ジークやトニーなんてのはまだ人間味のある名付け方でしたね。
ベトナム戦争においては先述の通り戦争後半から登場した、遅れてやってきた主役みたいなやつです。小型軽量の機体に大出力エンジンを載せたので機動性がよく、米空軍のセンチュリーシリーズ相手には圧倒し続け、これらに撃墜されることはありませんでした。
元々は戦略爆撃機の迎撃用なので航続距離が短いなどの弱点もあったようですが。

今どき機首に空気取入口があるのかいな、という機体なので見た目は古臭いという感じです。空気取入口から飛び出ている赤い突起はショックコーンです。でもなんかショックコーンの出っ張りが少ない気がしますし、空気取入口の口も小さいような気がします。



うしろ。
塗装はチェコ空軍ですが、出所不明ですし、たぶんテキトーでしょう。

これはサブタイプが判明していて、F-13型です。初期生産型のF型に、アメリカの空対空ミサイルAIM-9サイドワインダーをコピーしたK-13ミサイルの搭載能力を付与したものです。
このF-13型はまだ全天候戦闘能力がない機種なので背中に大きな背筋の立っていないすっきりとした外観が特徴で、私もコブの大きいbis型よりかはこっちのほうが好きです。



ミコヤン・グレビッチMiG-23BN(1967年・216機目)
MiG-21の後継機なんですが、先代が秀逸すぎたのでいまいちパッとしないやつですね。NATO愛称はフロッガー(=カエル獲り)でやはりバカにしたような名前。
米空軍のF-111戦闘機(後に登場)が可変翼を搭載していたのに影響されてMiG-23も可変翼を採用しています。いやしかしなんでもパクるな・・・。




可変翼というのは主翼の付け根に回転軸を付けて後退角の角度を変えるロマン装置。F-14のやつが一番有名。揚力の必要な離着陸時は主翼を展開し、高速飛行時は翼を畳むことで離着陸時と高速飛行時での高性能を両立させようというのが目的なのでした。
が、回転軸を始めとした装置は戦闘時のGに耐えられるよう頑丈に造る必要があり、とても重量が重くなってしまうのでした。これじゃせっかくの高速性能も台無し・・・。しかも製造費も整備費も嵩むのでお財布にも悪い。
あとはコンピュータ制御とかフラッペロンと前縁フラップの組み合わせとかでお安く代替できてしまったことから、一時期大流行だった可変翼は10年そこらで下火になって今では新規開発されていません。
一時のブームに過ぎなかったんですが、F-14という強烈なキャラが居る上に機構自体はくそカッコイイので今後も語り継がれていくでしょう。



角ばった機首にカメラ窓。偵察型なんやろな~と思ったんですが、これ戦闘爆撃型なんですね。
なのでこれはカメラ窓じゃなくて対地攻撃用のセンサーかなんかでしょう。

戦闘機であるMiG-23を戦闘爆撃機へジョブチェンジさせた仕様はMiG-27という別の型式が与えられているんですが、初期に生産された機体はMiG-23の派生形式として造られたそうな。
BN型はソ連用のBM型の輸出型。ただしBM型は生産前にMiG-27に改名したそうで。輸出型なのでソ連用よりも性能が落ちています。



可変翼の軸のような突起がありますね。
先述のように可変翼は維持費が掛かるので、特に中小国では扱いきれずとっとと退役させられて、潰しの効く旧型のMiG-21を使い続けたところもあったそうな。



アントノフAn-2(1947年・217機目)
ソ連機ですが、ミグ設計局ではなくアントノフ設計局が開発した小型輸送機。見た目が見た目なんでずいぶん古い機体なんだろうな~と思っていましたが、調べてみるとこれ戦後の機体なんですね。複葉機ですぞ・・・?
ところがこれ、元々は軍用機ではなく民間機として開発が始められた機体のようで、それなら納得できる部分もあります。実際、農薬散布機や消防機などで使われる場合があったとか。
で、この手の機体は大抵頑丈に作られているものです。案の定An-2もそうで、未だに現役機が一定数いるのだとか。



ちょうど隣りにあるマーチ予備役基地でアメリカ空軍のC-17輸送機が着陸してきたところを見られました。柵越しですが機体のでかい輸送機なので見ごたえはあります。4発機で騒音もするしね。見学中に何度か離着陸を見れたので、意外と遭遇確率は高いんじゃないでしょうか。

というところで今日はここまで。


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