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北米project 4 ~Is the order a warbird? その61【2016/03/04~10】

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ボーイングB-52Dストラトフォートレス(1952年・250機目)
御存知、アメリカ空軍の戦略爆撃と核兵器を象徴する機体です。この博物館じゃ一番大きい。このくらい離れないと全体を写せないのです。
これほどの機体がWWII終戦から7年後に初飛行して、それから65年以上現役で飛んでいるんですから、恐るべしです。



カナダのエアショーでも見ましたがやっぱりでかいんですよ。カナダで見たのは最終生産型のH型ですが、これはD型。A~C型は数十機ずつちまちまと造っていたんですが、D型は約170機を一気に量産したやつです。サブタイプ別では一番生産数の多いやつです。
H型はレーダーやセンサーが追加装備されていたんで機首周りがごちゃごちゃしていたんですが、D型はそれらが無くてクリーンな姿です。
なお塗装が上が灰色で下が黒色なのはベトナム戦争で用いられた夜間迷彩を再現していると思われ。塗り分けが雑なので塗りかけにも見えますが、それも含めての再現なんでしょう。
この機体も1966~1973年にベトナム戦争で実戦経験して、175回の任務に投入されたようです。本土に帰還後の1975年にこのマーチ空軍基地で事故ってしまい以降飛べなくなってしまったそうな。



ジェットエンジン8発という凄まじいやつ。



ボーイング独特のクソデカ尾翼。G型からは尾翼の上側を少しカットしたんで、このクソデカは初期型の特徴です。あとは胴体尾部に対空気銃の銃座があります。これもG型からは銃座に人が入ることがなくなり、最終のH型では機銃すら無くなりました。



世界よ、これが核の傘だ。
開発当初は当然のごとく核爆撃を前提にした爆撃機だったんで、B-52には水爆2発を積めました。これを積んでモスクワまでの長距離を高高度で飛んでいってソ連を火の海にマジでするつもりでした。



謎巡航ミサイル。B-52は水爆や通常爆弾だけではなく巡航ミサイルも搭載できるミサイルキャリアーの側面も持っているのです。
主翼のエンジンポッドよりも内側のところにパイロンを搭載していたのでそこにミサイルを吊り下げることが出来ました。
このパイロンが中々便利だったようで、ミサイルはもちろんD-21無人偵察機や実験機など何でも発射できる便利屋だったようです。

で、このミサイルですが説明書きが無いのでよくわからないですが、たぶんAGM-86B巡航ミサイルだと思います。AGM-86Bはこう見えて☠核巡航ミサイル☠で、しかも今でも現役だそうな・・・。



ノースアメリカンF-86Hセイバー(1日ぶり3機目・251機目)
F-86の戦闘爆撃機型。制空戦闘機として造られたF-86ですら戦略空軍の爆撃機化の魔の手からは逃れられないのだ・・・。増槽の内側に爆弾搭載用のパイロンが付いております。
地味に胴体が太くなってたりするんで他のサブタイプからの流用は少なく、よってプラモデル化に恵まれない可愛そうなやつ。



あとは機関銃が20mm機関銃4門に変更されています。F型までは12.7mm6門でしたので、機関銃の数は減りましたけど威力は上がりました。12.7mmだと火力不足だと言われとりましたしね。



ここにはF-84初期型とF-84Fが並んでいるのです。違いがよく分かるんで興味深い展示をしているなと。



リパブリックF-84Cサンダージェット(1日ぶり2機目・252機目)
P-47を生み出したリパブリックがその次に開発したジェット戦闘機。P-47の時と同じく頑丈さが売りなんだとかで。
実戦参加となった朝鮮戦争では緒戦こそブイブイいってたのですが、中国が最新鋭のMiG-15を投入してくるとF-84は性能で劣るようになってしまい、対MiG-15はこちらも最新鋭のF-86が相手することになりました。
仕事のなくなったF-84は、同じく仕事のなくなったF-80と共に爆弾を積んで低空侵入して対地爆撃する戦闘爆撃機に転職しました。F-80は知りませんがF-84は機体の頑丈さが対地爆撃任務において助けられていたようです。

そんなわけで戦闘爆撃機として有名になったF-84ですが、このC型はまだ戦闘爆撃機化される前の普通の戦闘機型です。190機くらい造ったそうな。戦闘爆撃機になったのはG型からですね。こっちは3,000機以上造られましたがね・・・。



横から。初期のF-84は主翼が直線翼なのです。
意外と尾部は細いのだなと。



リパブリックF-84Fサンダーストリーク(1日ぶり2機目・253機目)
こっちもF-84ですが、主翼を後退翼にして機動性を上げた型です。主翼の他にも色々なところが変更されていて、もうこれ別物だよねという機体に仕上がっています。実際最初はYF-96として試作されたそうなんで、最初は別型式にしようとしていたんでしょうけど、なんでF-84の派生型にブチ込んだのかよく分かりません。



これも横から。ね、今のF-84Cとはぜんぜん違うでしょ?
主翼はもちろん、水平尾翼に垂直尾翼、風防に空気取入口、胴体のラインも太くなってるし、兵装ステーションも付いているのだ。これを同じ型式の機体にしろというのはムリがあろうかと。

なおF型も戦闘爆撃機として設計されています。通常爆弾なんかを搭載できますが目玉はなんといっても☠Mk.7戦術核爆弾☠でしょう。今まで戦略爆撃機にしか搭載できなかった核爆弾を戦闘機にも積めるくらいには小型化したものです。小型と言っても広島型原爆くらいの威力はあると言われていますので街ひとつを消し飛ばすくらいは出来るわけです。まあ狂ってるわな。
当初はF-84F用の装備として開発されました。後に搭載できる機種が増えてったそうで。なのでこの戦闘機、核爆撃機でもあるんですよ。やっぱ狂ってるわな。



ゼネラルダイナミクスFB-111Aアードバーク(1964年・254機目)
黒鉄重工初登場。アートバーク Aardvark とはツチブタの意味。正直意味不明・・・。

時のケネディ政権およびジョンソン政権時に国防長官を務めていた御存知マクナマラがアメリカの軍事費の削減を目指して、空軍と海軍が同じ戦闘機を採用すれば大量発注でコスト下がるよね!という感じで空海共用戦闘機として開発されたもんです。

ところが空軍は低空を超音速飛行できる戦闘爆撃機を、海軍は長距離ミサイルを積める艦隊防空戦闘機をそれぞれ欲していました。求めているものが違うんで共通化出来るわけないんですが(逆に共通化出来たのは複座、可変翼、アフターバーナー付きターボファンエンジン双発の3つだけ)・・・。
それでもマクナマラは効率最重視で計画をゴリ押しし、計画を強引に進めていきました。マクナマラ、いかにも経理屋という感じですからね。お宅の会社にもこういう人いません?

で、あれやこれやを詰め込みまくったために機体は肥大化してしまい、海軍は早々にイチ抜けたしてしまいます。イチ抜けたところで残ってるのは空軍くんだけなのですけどね、とりあえず空軍型は開発を終えて実用化したのでした。

後にベトナム戦争で初実戦投入されるんですが、3回出撃して1機も帰ってこないという最悪のデビュー戦を果たし、見事殺人戦闘機の二つ名を頂戴したのでした・・・。
ところが爆撃機としては優秀でして、特に湾岸戦争では絶大な信頼を得ていたそうな。特にバンカーバスターを装備できる数少ない戦闘機なのです(他はF-15Eだけ)。

とまあ爆撃機として使い潰せたから良かったものの、そうでなかったら本当にダメ戦闘機として後世まで語り継がれてたんで、まあ。効率ばっか見て水と油を無理やり混ぜてもダメなんだよというお話なのでした。



F-111はここで見たのが初めてなんですが、やはりでかい。胴体とかなんでそんなに太いのよと思います。
機体は複座でして、座席の配置は戦闘機でよくあるタンデムではなくサイドバイサイド(横配列)です。パイロットとオペレーターが仲良し小好しに横に並んで座るんですが、これ一応腐っても戦闘機なんですけどね。
なお緊急脱出の際はコックピットごとカプセルのように射出されて脱出します。脱出できても着地が上手くいかないんでこれが主流になることはありませんでした。



機首レドームは先端がなぜだかツンと上向きになった形状。ここダサポイント。たぶんこれがダサくて人気がないんだと思います。人気がないんでプラモデルも登場当時こそよく出ていましたが、近年は再販すらありませんね。

F-111君、何度も書いているように戦闘機としては使えなかったんで、様々な職種へ転職します。ある者は全天候型爆撃機、ある者は電子戦機、そしてある者は戦略核爆撃機へ・・・。
ここに展示されているのはFB-111Aでして、元々爆撃機の素養を持っているF-111をより純粋な爆撃機として改良した戦略爆撃機型の機体です。なので型式にBが付いているんですね~。博物館の分類分けでも爆撃機枠に入ってます。元はと言えば戦闘機なのに・・・。

アメリカ空軍はソ連の対空レーダー網と対空ミサイル陣地を潜り抜けるためにレーダーで捕らえられない低空で侵入できて対空ミサイルを振り切れる高速で飛行できる機体を求めていたんですが、そういえばF-111がいるじゃんと気づきました。航続距離を伸ばしてより高出力のエンジンに換装して核爆弾を搭載できるよう改設計したやつをFB-111Aとしたのです。
効率厨のマクナマラもここぞとばかりに大量発注を決め一時は210機が発注されたんですが、程なくして同じ概念の戦略爆撃機B-1ランサーの開発が決まったんでそれが出てくるまでのつなぎ役に降格されてしまい、配備数も70機程度まで減らされてしまいました。南無。



F-111は色々とアレですが新技術を色々と採用した戦闘機なのです。例えばこの可変翼。実用機で採用したのはF-111が最初なのです。こいつの可変翼をパクって生まれたのがMiG-23だともっぱらの噂。可変翼の利点欠点は前も書いた気がするんで割愛(手抜き)
空気取り入れ口の先には衝角みたいなのが付いてますが、MiG-21みたいなのについてるショックコーンです。ミグの1/4しかありませんがあれも立派なショックコーンです。



中身が抜かれてガランドウになっていますが、これに搭載されていたエンジンも実用機では初のターボファンエンジンの双発です。ターボファンエンジンの話もだいぶ前に話した気がするんで割愛(マルナゲドン)

といったところで今日はここまで。
次回でついにマーチフィールド編はおしまいです。

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