ロッキードSR-71Aブラックバード(1日ぶり2機目・306機目)
不幸せを呼ぶ黒い鳥~。
CIAの要請で、ソ連の地対空ミサイルをかわすために高高度をマッハ3で飛んでレーダーにも探知されづらいことを目標に開発された戦略偵察機です。昨日も見たんであんまツラツラと書きませぬ。
2日連続で見るともうお腹いっぱいです。派生型含めて32機しか造られてないんで数としては貴重な機体なんですが、有名どころの博物館に散らばって保存されているので意外と見かける機会はあるんです。
SR-71の腹。平べったいのだ。
SR-71のパイロット。宇宙服みたいなパイロットスーツで、自分だけでは着用できず介助してもらわないといけないような代物。
パイロットも体内の窒素を抜くために純酸素に4時間以上掛けて体を慣らします。任務終了後も同じくらいの時間を掛けて地上の空気に体を慣らします。えらく大変。
グッドイヤーエレクトロニクマッピングシステム(GEMS)という地図作成装置。
機体搭載ではなく地上で運用されます。SR-71のレーダーが捉えた情報を元に画像に転換します。
SR-71が撮影した写真を元に作成されます。写真の解像度は約10mで、つまり10m以上の物体を撮影できるということです。結構すごいことだそうだぞ。
エンジンポッド。
ショックコーンがかっこいい。
主脚のタイヤは3連です。あんまり見ない構造ですかね。
J58エンジンです。
ロッキードD-21B(1日ぶり2機目・307機目)
SR-71(を改造してD-21の母機にしたM-21)から射出されて飛行する無人偵察機です。前にも書きましたがまあ開発した連中狂ってますわな、という機体です。
D-21はM-21の背中に乗っかる形で搭載されて、空中で分離されて偵察飛行を行います。なんでそんな面倒なことすんのよって感じですが、D-21に搭載されているラムジェットエンジンは超音速飛行時でないと動作しない特殊なエンジンだったので、母機に載せて助走をつけてから発射させる必要があったのです。
で、この背中に搭載という方式がまずく、4回目の射出実験の時に母機と接触する事故が発生します。背中に乗せてりゃそりゃそうだって感じですが、これで母機ともども墜落してしまいパイロットも殉職する事態になってしまいます。
これ以降はM-21を母機に使うのを止め、代わりにB-52爆撃機の主翼下に吊るしてそこから発射する方式に変えました。機体にも仕様変更が加えられて、それがこのB型です。
本体はあんま変わってないんですが、B-52に吊るされるようになったこと、あとはロケットブースターを取り付けられるようになったことです。B-52は超音速飛行できませんので、ロケットブースターでさらに助走をつけてやる必要があったわけですね。
1967年から試験を始め、その後何回かの実戦に投入されましたが、1971年に運用を止めました。
この機体は退役後デイビスモンサンの飛行機の墓場に置かれていたのを借りてきたとのこと。
ノースアメリカンF-107A(1956年・308機目)
名門ノースアメリカンが送り出した最後の戦闘機、つまりノースアメリカンの断末魔、遺作・・・。これを最後にノースアメリカン製戦闘機は表舞台から消え去ってしまいました。南無。
これも珍しいやつです。アメリカ空軍博物館にいるのは知っていましたがまさかここにいるとは・・・。出会いはいつも突然だね。
センチュリーシリーズのひとつですが、これはリパブリックさんチームのF-105との採用競争に敗れてしまい、制式採用を逃してしまいました。なので本来はYナンバーのYF-107が適当なはずなんですが、どういうわけか制式ナンバーのF-107で通っています。謎ですね。
F-107といえば空気取り入れ口がアレなことで有名。キャノピーの上にあるんですよ。これは笑いを取りに来てますよ。
F-105がライバルだったということから分かる通り、F-107は全天候型戦闘爆撃機を目指して開発されてものです。
イチから開発されたのではなくて、既に実績のあるF-100を元にしています。しかし、戦闘爆撃機の要求には胴体内に爆弾倉を設けることがあったんですが、F-100の機首の空気取り入れ口から胴体を貫通してエンジンに吸気する構造では爆弾倉を配置できないのです。
なので、空気取り入れ口を胴体上部、コックピットの上の真後ろに持ってきて、爆弾倉を上から躱してエンジンまで持っていくというかつてない方法を採っています。
この配置、パイロットが緊急脱出した際に取入口に体を吸い込まれてミンチよりひでぇや、ということになりかねん...というのがテストパイロットから不評だったらしく、これが不採用の一因にもなったらしいです。あとは爆弾倉が完全に胴体内に埋め込まれなかったのも敗因です。腹をよく見るとお腹がぽっこり出ているのが分かると思います。
どちらの要素も完全新規のF-105に比べるとF-100の流用のF-107では不利な面があります。設計もムリヤリ感やいい加減感があり、ノースアメリカンさんチームもどこまで本気だったのか怪しいところです。
空気取り入れ口から後ろがなかなか異形です。
F-107は3機が試作されたんですが、F-105に敗れた後は2機がNASAで運用されて、ノースアメリカンの高速実験機X-15の操縦システムのためのデータ収集や高速飛行試験に使用されていました。
短いですが今日はここまで。
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