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北米project 4 ~Is the order a warbird? その73【2016/03/04~10】

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館内の一角に羽のついたカヌー飛行艇を集めたコーナーがありました。コマンドー飛行艇好きのスタッフがいるのかな?



マーティンPBM-5Aマリナー(1939年・309機目)
一角を大きく占拠するでかい哨戒飛行艇。二式大艇ほどじゃないけどでかい。丸っこい胴体やガル翼も合わせて、一度見たら忘れられない形状をしてます。
エンジンナセルの後方は爆弾倉になっていて、通常爆弾、爆雷、機雷、魚雷を積むことが出来ます。胴体にはレーダーも銃座もあります。
輸送、哨戒、偵察、救難救助任務などをこなしていました。アメリカ海軍の飛行艇と言うとPBYカタリナが有名でPBMは知名度が低いんですが、結構手広い任務をやっていました。この手の機体としては少なくない数の1,400機が生産されてイギリスにもレンドリースされてますし。



V字型の水平尾翼とその先端に付けられた双垂直尾翼も特徴的です。



5A型の特徴は引き込み式の主脚を採用した水陸両用機であること。これより以前の型式には付いていない装備です。
40機足らずしか造られていないんで貴重です。まあ脚が付いている方が汎用性高いんでだからこそ現存したんだと思いますけどね。

このPBMは1948年に海軍に納品された機体ということで、戦後にも生産されていたんですね。海軍のアカデミーの教材として使われていました。1956年に民間に売却されて1971年にラストフライトだったそうな。



グラマンJ4F-2ウィジョン(1940年・310機目)
知らない機体ですが、5人乗りの双発飛行艇。ウィジョン(Widgeon)とはアメリカヒドリのこと。北米では身近な水鳥です。
もともと民間向けに販売していた機体で、民間向けの型式はG-44でした。グラマンはこれより以前より本家羽のついたカヌーとして知られる民間向け飛行艇のG-21グースを販売していますが、ウィジョンはそれよりも小型の機首として開発が始まりました。
1940年に初飛行して1941年に量産に入ったんですが、その間にどうも戦争になるっぽいぞってことで、軍に納品する方を優先することになりました。
初めに納品されたのはアメリカ海軍で、J4Fという型番も海軍のものです。海軍では沿岸警備や救難救助、連絡機として使用されました。さらに対潜哨戒の任務にも就き、実際にアメリカ東海岸の沿岸にやってきたドイツのUボートを撃沈した報告もあるそうな。

この機体は1943年9月20日に就役し、1948年に第一線を退きますが、新型飛行艇の設計テストに使用されることになりました。1954年4月に退役した時には海軍最後のJ4Fになっていました。その後は博物館入りしてピマには1987年にやってきたようです。



ペレイラ モデル2 オスプレイ2(311機目)
オスプレイ2号はオスプレイ1号の改良型で、外観はほぼ同じながらコックピットの密閉化と水陸両用帽子の追加が施されました。なので飛行艇コーナーに居るんですね。
元々のオスプレイ1号は、またの名をX-28と呼びます。つまり、アメリカ軍のX-1とかX-15とかX-29とかX-32とかの並々ならぬ実験機軍団「Xプレーンズ」の一員なのです。そう、こんな見た目でもXプレーンズ。悪い冗談はよしてくれって感じですが。
X-28は東南アジア各国の現地警察のパトロールのために開発されたんだそうで。小さくて安い機体が求められたんで、機体はホームビルド機からの流用になりました。Xプレーンズがホームビルド機ですか・・・。
機体は超小型でレシプロエンジン1発、胴体は水陸両用の飛行艇という仕様です。1971年に行われた飛行試験は良好で採用待ったなしという状況だったんですが、その年になるとベトナムあたりで敗色が濃くなってきていて、X-28どころではなくなってしまい計画中止になってしまいました・・・。

結構いい線いってた飛行機なので、軍の計画が中止になった後の1975年にはオスプレイ2号の改良をした機体の商用販売をはじめました。もちろんホームビルド機なのでキット形態での販売です。販売数は不明です。



ヒラーUH12C(1948年・312機目)
UH12はヘリコプター黎明期に登場した小型ヘリです。特に民間機としては初めてのヘリコプターだそうな。後にアメリカ陸軍にも納品されてOH-23と呼ばれてました。
C型は密閉型コックピット機能を追加した型式です。UH12は息の長い機種らしく、現在までに2,300機以上が生産されたそうな。



コロンビアXJL-1(1946年・313機目)
知らない機体ですが、なんだこれは、すごい形をした飛行機だなぁ・・・一度見たら忘れんぞ。今まで顎のついた飛行機は色々見てきたけど、こいつが優勝だなぁ。
グラマンのJ2Dダックを更新するためにコロンビア航空機により開発されました。聞いたことのない会社です。まず3機が生産されて1947年海軍に納品されます。こう見えて戦後生まれなのね。
納品後は試験飛行が行われますが、当初の期待とは裏腹に構造的欠陥が相次ぎ、1948年に試験は中止になります。機体も用途廃止になりました・・・。南無。

機体は格安で売りに出されます。誰が買うねん・・・と思いきや拾う神ありで、マーティン社の技師が買いました。彼は1955年に亡くなってしまいますが、それまでレストアが続けられました。彼の死後にまた売りに出されて、今度はシカゴ在住の男に買われます。技師の整備のおかげで飛行可能状態になっていて、1957年10月には再び飛行しました。
その後も色々なオーナーの元を渡り歩いて2000年にピマに寄贈されました。



エンジンからコックピットにかけては普通なんですけどね。艇体の部分がインパクト大きすぎなのである。



胴体に窓があるのが分かるでしょうか?
この異常に縦に長い胴体は、この中に人間を乗せるためだったんですね。乗員2名の他に6名の乗客を乗せることが出来ました。窓もちょっとしかないし、乗るというか詰め込まされるという感じですけど。
あとは垂直尾翼が小さいけど少し心配になる。



以下、装備品コーナー。興味深いので見ていきませう。

これはレイセオンGBU-24ペイブウェイIII。いわゆるスマート爆弾で、既存の2000lbs自由落下爆弾にレーザー誘導装置を追加することで精密爆撃を可能にする航空爆弾でごわす。
中央の膨らんでいるのが爆弾本体。その前の茶色い細長いやつがレーザーのシーカーで、シーカーに付いている羽は落下する角度を調節するカナード翼です。爆弾のお尻に付いているのは安定翼です。
GBU-24は最初からシーカーが固定で取り付けられているタイプです。シーカーの性能もペイブウェイIIよりも良くなってるとかで。



Mk.82爆弾 w/Mk.15スネークアイ高抵抗フィン。
Mk.82はご存知最も一般的な500lbsの航空爆弾です。1940年代末に登場しながら現在もバリバリに現役です。本来は無誘導爆弾ながらペイブウェイやJDAMといった外付けの精密誘導装置を取り付けることで誘導爆弾になるので、今でも使われている面はありましょう。
スネークアイというのは、爆弾投下時に展開する落下時の抵抗を増すための外付けのフィンです。低空爆撃時に取り付けられる装備です。フィンのない状態で低空爆撃すると機体と爆弾が同時に破壊目標に到達してしまい、爆風やその破片を自分が食らってしまう恐れがあります。なので、スネークアイを付けて機体と爆弾の速度をずらして、ダメージを受けるのを防ごうという狙いです。
蛇の目に見えるからスネークアイっていうんですけど、あんまそうには見えない・・・。



M36訓練用誘導弾。
AGM-114ヘルファイアの訓練弾です。ヘルファイアは攻撃ヘリに装備される対戦車ミサイルです。



マーズ2ロケットポッド。
ソ連のUB-16-57UMPロケットポッドのライセンス生産品。なのでアメリカ軍ではなくて東側諸国の装備です。
対人、非装甲車両に有効なロケット弾を発射します。



CBU-75。クラスター爆弾です。CBU-75には中に1800発の小爆弾が入っていて、これが空中で飛散し広範囲に着弾し人間を殺傷するエグい爆弾です。1950~1970年代に使用され、ベトナム戦争でも投入されました。



BDU-50模擬弾。
Mk.82爆弾の模擬弾です。



YASM-N-7ブルパップ。1959~1980年代まで使用。
AGM-12ブルパップ空対地ミサイルはアメリカで初めて大量生産された空対地誘導弾です。機体から発車後にコックピットのコントローラーでラジオ信号を介して操作します。



レイセオンAGM-154Aジェイソウ。Joint Standoff Weapon(統合射程外兵装)の頭文字を取ってJSOWです。今も現役。
GPS誘導のクラスター爆弾で、羽を展開して約95~110km(60~70miles)滑空することができるのだ。145発の小爆弾を搭載していて、非装甲車両も装甲車両も破壊できます。


これでひとまず本館の収蔵機は全て見終えました。次回からは暴力的な数の屋外展示機を見ていきますよ。ここからが本番だ。


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