ダグラスEA-1Fスカイレイダー(1日ぶり3機目・373機目)
アメリカ海軍の艦上攻撃機ですが、こいつは電子戦用の機体です。
主にコックピット周りが原型機から変わっていて、単発機のくせに4人乗りになっています。しかも縦一列に乗るのではなくて、横並びで2*2列になってます。自動車みたいですね。
ボーイングEC-135Jストラトリフター(1日ぶり2機目・374機目)
空中給油機のKC-135からの派生型ですな。Eナンバーは電子戦機によく用いられますが、これは空中指揮用の機体です。見た目は輸送機型のC-135とあまり変わらず。背中とお腹にアンテナを収めた出っ張りがたくさんありますけどね。
空中指揮機というのは、何らかの事情で地上の司令部が使用できない時にそこに代わりアメリカ軍を指揮するための空飛ぶ司令塔、という具合の飛行機です。基地の司令官なんかはもちろん、国防長官やアメリカ大統領の搭乗も考慮されてます。
ちなみに何らかの事情というのは、大規模災害か核戦争を想定してます。まあ、ほぼ後者を想定して製造された機体ですね。どんな状況やねんという感じですが、マジでそう考えていたんでしょうね。
アブロ シャクルトンAEW Mk.2(1949年・375機目)
ひと目見ただけで英国面だと気づいたよ。イギリス空軍の哨戒機ですが、AEW型は早期警戒型です。
第二次世界大戦末期に開発された4発重爆撃機リンカーンを原型に、胴体を哨戒機として使いやすい新しいものに取り替えたやつです。
これもやはり英国面で、二重反転プロペラを4組も付けてます。ビジュアルがすごい。
エンジンはターボプロップっぽく見えますが、本当はグリフォンです。バリバリのWWII時代の液冷レシプロエンジンなのでした。しかもグリフォンは換装されないまま1991年に機体が退役するまで使われてたんですから、大したものです。
胴体下面には早期警戒レーダーが付いてます。あくまで潜水艦対策なんかなって感じ。ちなみにこのレーダーは前回見たガネットからぶんどってきたものだそうな。
ボーイングEB-47Eストラトジェット(1日ぶり2機目・376機目)
B-47爆撃機の派生型。これもEナンバーが付いてますが、こっちは電子妨害型。
これの妨害の仕方がなかなかマッチョで、爆撃機編隊の中でまずこいつがソ連に突撃一番し、爆弾倉にたらふく抱えたチャフを大量散布、チャフ回廊を形成します。チャフによって乱反射する電波や雑音でソ連はろくに迎撃できないまま、チャフ回廊を飛行してきたアメリカの核爆撃機により火の海にされるのだ!というもの。マッチョで単純ですが、それなりに強力だったらしい。
なお自機はチャフ回廊の先頭を飛行する上、ソ連としても真っ先に撃墜しに来るので、搭乗員はまず死ぬ。死ぬまでチャフを撒き散らすのだ。1機撃墜されたら、控えていた2番機が出張ってきてまた撃墜されるまでチャフを撒き散らすとかそういう運用だったのだろうか・・・?
この時期のアメリカ軍の兵士には人権がないなという事例がいくつか見受けられるので、ああ冷戦だなーキチガイだなー...という感想です。
ダグラスB-23ドラゴン(1939年・377機目)
ダグラスの爆撃機B-18ボロの後継機です。前に書いたようにB-18は、同社の旅客機DC-2の主翼とエンジンを流用した結果価格を抑えることができ、アメリカ陸軍の主力機の座を射止めました。
が、競合したB-17と比べると安かろう悪かろうのボロ機材(ボロだけに)だったので、特に爆弾搭載量の面からすぐに旧式化しそうな危惧は持っていたようです。
そこで次の爆撃機を開発しようという流れから造られたのがB-23です。
B-17に追いつけ追い越せとばかりに完全新規の設計かと思いきや、今度も旅客機のDC-3の主翼とエンジンを流用して胴体は新規設計というB-18と同じ手法でした。
38機がまず発注されてそれなりに性能向上しましたが、B-18で欠点だった爆弾搭載量は変わっていませんでした。ええ...。
そうこうしていると欧州の方でナチスのちょび髭がイキって戦争を始めたのですが、欧州からの情報でB-23じゃどうもナチス相手にはダメっぽいぜということが分かると立場は一転。追加発注は凍結され、爆撃用装備も引っ剥がされ、あげく輸送機や訓練機に転職を命ぜされ、当初の花形の爆撃任務とは無縁の任務に従事して消えていったのでした。(代わって敗者復活してそこからシンデレラストーリーを歩むのがB-17なのだ)
1度の発注で終わってしまったので、この時代の機体としては珍しくサブタイプが付いていないのです。ただし改造により任務記号から番号までガラッと変わってしまったC-67というやつはいます。
高速で航続距離が長いので輸送機としては適正が高かったのが救いではあります。
ちなみにB-23は9機程度が現存してると言われ、日陰者ながら残存率23%と高い数値を出してます。戦後も輸送機として潰しが効いたのかもしれません。爆撃機のままだったらこうはならなかったと思います。
この個体はB-23ということになってますが、どうみても個人用機の塗装になっていて、戦後放出された輸送機型(C-67)を買った民間機時代の形態でしょうね。
ボーイングKC-135Aストラトタンカー(4分ぶり3機目・378機目)
空中給油機ですね。これの先代だったKC-97はプロペラ機故に低速で、ジェット戦闘機やジェット爆撃機との空中給油には速度差を縮めにくいことから苦労していたようですが、ジェット空中給油機のKC-135でそれも解決しました。
これは真っ白に青帯でおなじみのNASA所有の機体でした。がらんどうの客室を生かして急上昇と急降下による放物線を描いて擬似無重力飛行をやってました。写真を探すと、45度の大迎え角で上昇してる写真とかあります。空中給油機がする機動じゃないよ。
2004年に引退してここにやってきたようです。
グラマンG-1159ガルフストリームII(1966年・379機目)
ビジネスジェット機ですね。グラマンって昔は民間機をそこそこ造ってたんですよね。戦前の民間用飛行艇の製造とかね。
これもNASA所有だった機体で、スペースシャトルのオービターの操縦訓練に使われていたそうな。
ロッキードVP-3Aオライオン(1958年・380機目)
ロッキードの旅客機エレクトラを原型にした対潜哨戒機です。海上自衛隊でも使ってるんで説明不要でしょう(手抜き)
ただしこれは海軍の高官を運ぶための人員輸送機です。なのでVナンバーになってます。
コンベアB-36Jピースメーカー(1946年・381機目)
はいキター!ついにきたー!ピマの名物!これを見たかったんだこれを!すっごくでかい!
冷戦初期1950年代末までのアメリカ空軍の戦略航空軍団(SAC)の主力機だった超大型戦略爆撃機です。開発はWWII中から始まっていて、日本があの日以降も戦争を継続していたらB-36にケチョンケチョンのシオシオのパーのコンコンチキにされていた可能性はあります。
クソデカイ爆撃機で、全長約70m、全幅約49.4mという巨躯は爆撃機としてはB-52を抜いて世界最大、軍用機全体で見てもC-5輸送機が辛うじて上回るというほど。さすがに747よりは小さいですが、それでも匹敵すると言っていい大きさ。
B-36とB-29が並んだ有名な写真がありますが、なんでお前そんなにデカイんだよと思います。そりゃB-29は中型爆撃機に格下げされるわと。
SACを代表する機体のひとつで、異様な大きさと奇妙な外観が好きな爆撃機なのです。核爆撃機のくせに平和の創造者とはまた大層な名前です。皮肉とかじゃなくてマジでそう思ってたんだろうな(ただしピースメーカーは非公式で、特に正式な愛称はなかった)
一度は見てみたいと思ってましたが、存外早くに実現してしまい小躍り。これは感動ですよぉ。すごいもの~。
エンジンもすごい!
レシプロエンジン6発に加えてジェットエンジン4発の計10発エンジンを持つのです。強そうなので100点。軍用機としては最多のエンジン数です...と回りくどい言い方だということは民間機ではそれ以上がいたわけで。ドルニエのDo Xという大昔の大型飛行艇が12発エンジンでした。
レシプロエンジンは狂気の28気筒空冷エンジンR-4360ワスプメジャーを採用しています。プロペラを後ろ向きに取り付けた推進式を採っているのも特徴です。SFっぽくて好き、200点。
ただしR-4360を6発積んでも期待した性能は出せません。機体が重すぎたのだ・・・。そこで応急処置的にJ47エンジンを4発追加しました。B-47のエンジンポッドと似た形状をしていて、パクってきたんじゃないかという。70点。
人が写ってないんで対比が難しいんですが、デカイですよマジで。さっきからそれしか言ってないな。
尾翼の形状はなんだかボーイングっぽいです。
その下の尾部には後部銃座が付いています。あれはコックピットからリモコン操縦します。
なお10発エンジンを搭載したB-36はそれでもパワー不足だった模様。R-4360も繊細なエンジンだったので稼働率があんま良くなかったそうな。
B-36の運用は、B-17やB-29同様の産業のハブ等の重要施設や都市爆撃を主眼にされてましたが、ジェット戦闘機が実用化されると高高度でもたちまち迎撃されてしまうのでその戦法は現実的では無くなってきました。朝鮮戦争時のB-29がそんな感じだったと思います。
稀によくある戦力化された頃には時代遅れになっていたという機体で、実戦投入されることがないまま1959年までに退役してしまいました。
胴体そのものは太いのですが、なにせ図体がデカイので相対的には細長い印象を受けます。機首の窓が宇宙船っぽくて5000点あげたいです。
主翼前縁に空いている穴がエンジン系の空気取り入れ口です。上の穴がエンジン冷却用、下の穴がオイルクーラーとターボチャージャー用です。ただし実際飛ばしてみると冷却不足だったそうな。
B-36は385機生産されました。この規模にしては多く造られたと思います。これだけ造るのに必要な予算は陸軍と海軍からぶんどってきたもので、この予算獲得争いはエグいものだったらしいよ。
現存機は4機います。この図体なので、形が残っているだけでもすごいと思います。このピマとデイトンの空軍博物館で保存されているものが有名ですかね。
残りの2機はカリフォルニアとネブラスカの航空博物館にありますが、B-36を置いてあるだけあって中々濃い博物館っぽいです。ネブラスカのSAC博物館なんてのは機会があったら行ってみたいですけどね、ネブラスカに特段用事がないのが。
機首。星状の青帯がSACという感じでグッド。
ちなみに写真は縮小されてしまって分かりづらいのですが、B-36の胴体はしわしわになっています。これは機体構造がモノコック構造ではなく、強度のある骨組みで機体を組み立ててその上に金属板の外皮を被せるという構造のため。なのでこれ、WWII前まで採用されていた鋼管羽布張りの飛行機みたいなものです。なんでこういう構造にしたのかは知りませぬが。
なお外板にはマグネシウム合金が使われています。実用金属の中ではアルミ合金を抜いて最も軽い金属です。パワー不足から来る軽量化が命題だったゆえに採用されたんだと思います。なお、マグネシウム合金は燃えやすい特徴がありますので、もし火災が起きたら跡形もなく消し炭になるはずなんですが、1950年のカナダでの墜落事故ではそんな様子ではなさそうなので、あまり問題じゃなかったのかな?
エアロスペースラインズB377-SGスーパーグッピー(1965年・382機目)
出た!これもピマの名物です!
ボーイングのC-97輸送機の民間型モデル377を魔改造して出来た大型輸送機です。C-97はB-29を原型にした輸送機なので、B-29の成れの果てと見ることも出来ます。
胴体上部が大きく膨らんだだるまを逆さにしたような断面が何よりも特徴で、「世界で一番醜い飛行機」の称号を獲得しています。これが運ぶものは宇宙ロケットの部品や飛行機の胴体など、重量は軽いけど嵩の大きい荷物でした。貨物室の容積の割に積載量は少ないので、プロペラ4発でも飛行できるのでした。
機首の貨物扉は横にガバチョと開く構造。コックピット周りにC-97の面影がありますが・・・。
ちなみにスーパーグッピーには前作がいます。その名も妊娠したグッピーことプレグナントグッピーというひどい名前。NASAが宇宙ロケットの部品を運ぶのに使っていたのですが次第に容積不足となったので、より大型の機体をということでスーパーグッピーが3機製造されたのです。
スーパーグッピーはサターンロケットの部品なんかを運んでましたが、1970年代にアメリカの宇宙開発が縮小しだします。するとスーパーグッピーも仕事をなくすのですが、ヨーロッパの旅客機メーカー エアバスが旅客機の部品輸送のために2機を買いました。
エアバスはヨーロッパ各国の企業集合体みたいなもんなので、分散して製造された部品をフランスにある工場に集めてそこで最終組み立てする方式でした。その部品の輸送機としてちょうどよかったんですねー。エアバスの業績も順調で、追加で新たに改造した機体を2機購入しています。
エアバスのスーパーグッピーは4機とも1990年代に製造されたエアバス製の輸送機ベルーガに後を譲りました。そのうちエアバスが追加発注した1機はNASAに売却されて今も現役。
機体の大半は保護されてるので細かい部分が分かりませんが、形状はなんとなく分かります。
ここに保存されているのはスーパーグッピーの初号機。初号機はエアバスに渡らず最後までNASAで使われていた機体です。
C-97は元々レシプロエンジン機でしたが改造にあたりエンジンのターボプロップ化が行われました。初号機はその改造の実験台でもありました。良好な結果を出したので、2号機以降もターボプロップ化されています。
なので、エンジン形状やプロペラの枚数がC-97とは異なっているのですよ。
なお、エアバスで運用されていた3機は引退後全てがイギリス、フランス、ドイツにあるエアバスの各工場で1機ずつ静態保存されています。3機とも保存は珍しいように思え、エアバスもスーパーグッピーによほど愛着があったのかもしれません。
右舷側から。垂直尾翼は巨大化した胴体に隠れないように高さが増されています。すげー高い。でも補助の垂直安定板がないあたり、これだけで安定性は確保されてたんですねぇ。
ボーイングNB-52Aストラトフォートレス(30分ぶり3機目・383機目)
ご存知ボーイングの要塞シリーズ。ピマは3機ものB-52を保存していてたまげてしまうですが、この日近くで見れたのはこの1機だけ。他の2機はさっきも見ましたが整備中でした。
A型ということは最初の量産型です。まさか残っているとは。ちなみに残りの2機はD型とG型なので、3機ともサブタイプが違います。
Nナンバーが付いてますので通常の爆撃型ではありませぬ。これはアメリカ軍の実験機軍団Xプレーンズの黒き直線番長、X-15という極超音速実験機の母機として使われた機体です。
X-15はロケットエンジンで飛行する機体ですが、自力では離陸できんのでNB-52Aで上空まで連れてってもらい、空中で射出されていたのです。一方着陸は自力でできますよ。
右主翼の胴体とエンジンの間にはX-15を懸架するためのハードポイントが残されています。撮影時気が付かなかったのでちゃんと撮っていないのですけどね・・・。
なおX-15はここにはいませんが2機がスミソニアンと空軍博物館に保存されとります。
マクドネルADM-20Cクウェイル
Quailはうずらの意味です。これはちょっとめずらしい展示物。巡航ミサイルのような見た目をしてますし実際分類的にはそれだそうですが、実際にはB-52用に開発されたデコイです。
ミサイル程度の大きさながらB-52と同じ大きさの影をレーダー上に映し出して本物のB-52に欺瞞する、いわば逆ステルスのドローンです。レーダー反射上等な、というかそれを狙った垂直の胴体側面と垂直尾翼が潔い。
肉眼で視認しない限り本物かデコイか見分けがつかないし、レーダー誘導の対空ミサイル対策にも有効です。
ただ飛行プログラムは意外とお粗末で、針路変更2回、速度変更1回しかできませんでした。飛行時間も高度によりますが45~55分間。慣れてしまえば割とレーダー上でも判別できて対策も可能だったんじゃないかなぁと思います。
ちょうどNB-52Aと並べて置いてあるんですよね。この2つが同じレーダー反射断面積を示すなんてちょっと信じられませぬ。
M117爆弾
750lbs(=340kg)の航空爆弾です。B-52はこれを80発積めたとかで。
というところで今日はここまで。今回までで大型機はほとんどやっつけました。
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