ロッドヒル要塞はほとんど見終えたんですが、ここにはもうひとつ史跡がありにけり。フィスガード灯台 (Fisgard Lighthouse) という灯台です。史跡になっていますが灯台自体は今も現役で稼働しています。少し離れた小島に建てられた灯台ですが、土手で本土側と繋がっています。
フィスガード灯台は1860年竣工、同年11月16日初点灯のカナダ西海岸で最初に建てられた灯台です。エスクイモルト基地とビクトリア港に入港する船を誘導するためのものです。フィスガードは、イギリス海軍のフリゲート帆船HMSフィスガードが由来です。
右の白い塔が灯台本体。今も書いたようにこっちは現役です。現役なので内部は非公開です。左の赤茶色の建物は、かつて灯台守が住んでいた宿舎です。フィスガード灯台は1929年に自動化されたので、灯台守はその前年に使命を終えました。この建物は資料館に改造されて一般公開されています。
バリ順だし天気快晴だし、とても良い時間に訪れることができましたな。
どう撮っても絵になるのだ。
宿舎の中へ。1階はこんなふうに資料館になっています。灯台守は交代制と言っても一定期間に渡って過ごすので、灯台守の家族ごと生活することもあり、そのため1世帯分の大きさを持ちます。
2階も同じようなかんじです。
バンクーバー島にある灯台の位置を示す地図です。全部で40基存在します。太平洋沿岸とカナダ/アメリカ国境沿いの海峡部に点在しています。1860年代~1900年代に建造され、数カ所の灯台は廃止されていますが、ほとんどは現役です。昔は全ての灯台に灯台守が住んで業務にあたっていたのです。
灯台本体は入れませぬ。灯台の塔はやはり石造りのようですね。
窓からの眺め。
この部屋は当時の状態を再現していますね。
灯台はあっさりと撤退。エスクイモルト基地の方を見る。
この後行くエスクイモルト潟の方を見る。右手にはロッドヒル要塞も見えます。
下部砲台のある高台です。裏側が砲台陣地なんですが、表から見るだけではただの高台で、うまく擬装してあるのが分かりますね。
最後に広場の横を歩きながら、そこに置いてある兵器を物色します。これはご存知ウィリスMBジープ。1942年式だそうな。
完全に柵(屋根付き)に囲まれているので近づけず。網の目は大きいのでカメラを突っ込むくらいは造作ないですが・・・。さながらカゴの中のジープ。
庭園もありましたが、スルー。
次はカゴの中の大砲。手前のはホチキス社製6ポンド速射砲 (Hotchkiss QF 6 pounder) 。ホチキスはフランスの兵器メーカーです。ホチキスと言うと紙を束ねるあのホッチキスを連想しますが、特に関係はないようです。ロッドヒル要塞の対岸にあるダンツェ・ヘッド要塞で1900~1904年の間に使用されていました。この要塞は軍施設内にあるので立入り不可能。
砲弾ですけど、この2つの大砲用としては大きすぎるので、謎です。
13ポンドRML野砲 (13 pounder RLM field gun) 。RMLというのはRifled Muzzle-Loadingの頭文字で、つまるところ、大砲の発射口から装薬と砲弾を詰めるやつで、さらに砲身と砲弾には施条(ライフリング)が刻まれているやつです。こうすると発射された砲弾に安定性が付与されて、命中精度が上がるのですね。1895~1910年に要塞の守備兵が使っていました。両方とも使われなくなって100年以上経ってるわけですが、残っているものですね。
速射砲の後ろ側。
野砲の後ろ側。
ボフォース40mm対空機関砲ですかね。この移動式の地上配備型の他にアメリカ海軍では艦載の対空砲としてもよく使われていました。対空砲兵部隊のことを"Ack Ack"と呼んでいたそうな。1930年代に於いてもビクトリアには対空砲が配備されていなかったんですが(クソ田舎なので)、1941年に我らが大日本帝国が真珠湾、シンガポール、香港にちょっかいを出すと事態は急変します。エスクイモルト海軍基地はイギリスの貴重な乾ドック基地として重要視されることになりました。そこで、カナダ製の最初のボフォース40mm機関砲は第13軽戦車砲兵部隊と共にエスクイモルト基地に配備され、1942年6月には第27対空連隊が組織されました。連隊はエスクイモルト基地の他にも、ビクトリアの北にあるパットベイ空軍基地をはじめ、この辺り一帯に対空陣地を展開していました。一応、日本は敵国なわけですが、それ以上に日本が実際に戦闘する敵として想定されていたんですなー、というお話でした。
これにてロッドヒル要塞の見学は終了です。沿岸要塞、沿岸砲を見たのは初めてでしたが、見ごたえのある施設でした。施設の現存も当時を偲ぶに十分な内容です。じっくり見ていたら3時間くらいかかってしまいました。ヨーロッパ的な要塞という印象も持ちました。日本の沿岸要塞とは趣が違いますね。ビクトリアの観光地としてはあまり上位には上がってこないのですが、軍事系に関心のある人は楽しめるかと思います。
今日はここまで。
最終回へ→
フィスガード灯台は1860年竣工、同年11月16日初点灯のカナダ西海岸で最初に建てられた灯台です。エスクイモルト基地とビクトリア港に入港する船を誘導するためのものです。フィスガードは、イギリス海軍のフリゲート帆船HMSフィスガードが由来です。
右の白い塔が灯台本体。今も書いたようにこっちは現役です。現役なので内部は非公開です。左の赤茶色の建物は、かつて灯台守が住んでいた宿舎です。フィスガード灯台は1929年に自動化されたので、灯台守はその前年に使命を終えました。この建物は資料館に改造されて一般公開されています。
バリ順だし天気快晴だし、とても良い時間に訪れることができましたな。
どう撮っても絵になるのだ。
宿舎の中へ。1階はこんなふうに資料館になっています。灯台守は交代制と言っても一定期間に渡って過ごすので、灯台守の家族ごと生活することもあり、そのため1世帯分の大きさを持ちます。
2階も同じようなかんじです。
バンクーバー島にある灯台の位置を示す地図です。全部で40基存在します。太平洋沿岸とカナダ/アメリカ国境沿いの海峡部に点在しています。1860年代~1900年代に建造され、数カ所の灯台は廃止されていますが、ほとんどは現役です。昔は全ての灯台に灯台守が住んで業務にあたっていたのです。
灯台本体は入れませぬ。灯台の塔はやはり石造りのようですね。
窓からの眺め。
この部屋は当時の状態を再現していますね。
灯台はあっさりと撤退。エスクイモルト基地の方を見る。
この後行くエスクイモルト潟の方を見る。右手にはロッドヒル要塞も見えます。
下部砲台のある高台です。裏側が砲台陣地なんですが、表から見るだけではただの高台で、うまく擬装してあるのが分かりますね。
最後に広場の横を歩きながら、そこに置いてある兵器を物色します。これはご存知ウィリスMBジープ。1942年式だそうな。
完全に柵(屋根付き)に囲まれているので近づけず。網の目は大きいのでカメラを突っ込むくらいは造作ないですが・・・。さながらカゴの中のジープ。
庭園もありましたが、スルー。
次はカゴの中の大砲。手前のはホチキス社製6ポンド速射砲 (Hotchkiss QF 6 pounder) 。ホチキスはフランスの兵器メーカーです。ホチキスと言うと紙を束ねるあのホッチキスを連想しますが、特に関係はないようです。ロッドヒル要塞の対岸にあるダンツェ・ヘッド要塞で1900~1904年の間に使用されていました。この要塞は軍施設内にあるので立入り不可能。
砲弾ですけど、この2つの大砲用としては大きすぎるので、謎です。
13ポンドRML野砲 (13 pounder RLM field gun) 。RMLというのはRifled Muzzle-Loadingの頭文字で、つまるところ、大砲の発射口から装薬と砲弾を詰めるやつで、さらに砲身と砲弾には施条(ライフリング)が刻まれているやつです。こうすると発射された砲弾に安定性が付与されて、命中精度が上がるのですね。1895~1910年に要塞の守備兵が使っていました。両方とも使われなくなって100年以上経ってるわけですが、残っているものですね。
速射砲の後ろ側。
野砲の後ろ側。
ボフォース40mm対空機関砲ですかね。この移動式の地上配備型の他にアメリカ海軍では艦載の対空砲としてもよく使われていました。対空砲兵部隊のことを"Ack Ack"と呼んでいたそうな。1930年代に於いてもビクトリアには対空砲が配備されていなかったんですが(クソ田舎なので)、1941年に我らが大日本帝国が真珠湾、シンガポール、香港にちょっかいを出すと事態は急変します。エスクイモルト海軍基地はイギリスの貴重な乾ドック基地として重要視されることになりました。そこで、カナダ製の最初のボフォース40mm機関砲は第13軽戦車砲兵部隊と共にエスクイモルト基地に配備され、1942年6月には第27対空連隊が組織されました。連隊はエスクイモルト基地の他にも、ビクトリアの北にあるパットベイ空軍基地をはじめ、この辺り一帯に対空陣地を展開していました。一応、日本は敵国なわけですが、それ以上に日本が実際に戦闘する敵として想定されていたんですなー、というお話でした。
これにてロッドヒル要塞の見学は終了です。沿岸要塞、沿岸砲を見たのは初めてでしたが、見ごたえのある施設でした。施設の現存も当時を偲ぶに十分な内容です。じっくり見ていたら3時間くらいかかってしまいました。ヨーロッパ的な要塞という印象も持ちました。日本の沿岸要塞とは趣が違いますね。ビクトリアの観光地としてはあまり上位には上がってこないのですが、軍事系に関心のある人は楽しめるかと思います。
今日はここまで。
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