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カナダ航空宇宙博物館の続きです。続いてこちらは、メッサーシュミットMe163B-1aコメート (Messerschmitt Me 163B-1a Komet) です。初飛行1943年。ドイツの断末魔2号です。第二次世界大戦で運用された唯一のロケット推進戦闘機です。敵の爆撃機が飛んでいる高高度までチョッパヤで上昇できる迎撃機なんですな。まさに彗星のごとし上昇力と高速性を持ちますが、ロケット燃料が使えるのは点火後たった8分間のみ、まさに彗星のごとく。ガス欠になったらもう着陸するしか無いんですが、滑空して降りていました。敵からすればいい的なので、狙い撃ちされていたみたいっす。そういう性能もあって、運用はなかなか難しかったみたいです。この個体は1945年製で、ドイツの敗戦後にイギリスがかっぱらっていき性能試験をしました。翌1946年に戦利品としてカナダのモントリオールへ渡りました。こう、戦争の戦利品をかっぱらって連邦諸国へ渡らせるのは、イギリスの手癖なんですかね。第一次世界大戦のときも同じことしてましたよね。カナダへ渡った後はカナダ空軍へ移管され、様々な場所で保管されていました。1964年に当館を安住の地と決めて展示されるに至っています。その際に実際にこれが配備されていたドイツ空軍JG400部隊の塗装に復元されています。
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脚です。いや厳密には脚と言える部分は無いです。車輪は離陸すると外れてしまい、着陸時は黒いそりを展開して軟着陸させるっていう、そういう仕様です。
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1941年式フォード・GPトラック (1941 Ford GP Utility Truck) です。なんだ、どこにでもあるMBジープか・・・おや、なんだか変だな?と思ったあなたはジープ通ですね。これは、いわばMBジープの先行量産型とでも言うべき、フォード・GPなのです!第二次世界大戦で馬車馬のごとく使われたいわゆるMBジープは、1940年アメリカ陸軍からのコンペで開発が始まりました。設計図提出まで49日、試作車提出まで75日っていういくら戦争だからって無茶苦茶なスケジュールで、100社以上に呼びかけてそれに応札したのはアメリカン・バンタムだけでした。結果、バンタムが落札して試作車を作ったんですが、バンタムは3社の中で一番小さい会社でした。自分で落札しておいて勝手に会社規模の小ささに不安を覚えた陸軍は、バンタムの設計図をウィリス・オーバーランドとフォードに渡してしまい、結局3社がそれぞれ1500台ずつ試作車の発注を受けることに。バンタムはキレていいと思うんですよ。1941年1月、じゃあいよいよ発注するよって時に3社の仕様の標準化が求められたので、設計を改めることになりました。その時の車種が、バンタムはBRC-40型、ウィリスはMA型、そしてフォードはこの写真のGP型です。標準化と言ってもまだ形状はそれぞれ異なっていたんですけどね。この3車種は2回目の試作車、あるいは先行量産型とも言われているやつです。各社1500台と言われていたのに大量生産バカのフォードだけは我慢できなかったのか4400台も作りましたが・・・。ジープは全部で65万台造られたんですが、そのうちフォード生産分が28万台で、その中でGPは4400台と極わずかです。しかも、造られたGPはとっととヨーロッパにレンドリースで1941年の戦地に送られていったので、さて現存数はいかほどか・・・と考えると貴重なわけです。これが戦地帰りなのかそもそもアメリカ大陸から出たことがないのか、そういう説明はなかったので知りませんが。一応、フォード・カナダ製なのと、車台番号19970113-014というのは確認できたので、気になる諸兄は各自お調べくださいまし。
余談ですが、戦争省(すごい名前!今の国防総省)から「ジープ3種類もいらない、1種類に絞りなさい」とお達しがあったので、一番優れていたウィリスMAが選ばれ、改良の上でMB型(に加えてそれと完全互換性を持つフォード・GPW型)が量産型として大量生産されることになりました。バンタムは泣いてもいいぞ。ジープ社(クライスラー)が「ジープはウチが開発したんでござい」という顔をしていますが、元々はイギリスのオースチン社の系列のアメリカン・バンタムが開発した車だということだけ覚えて今日は帰ってください。なので、ジープの何割かはイギリス車の血統が入っていると思いますよ。
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スーパーマリン・スピットファイアMk IX LF (Supermarine Spitfire Mk IX LF) です。御存知、イギリスの名戦闘機です。1936年初飛行(試作機)。Mk IXぐらいなら前にもどこかで見たことあるだろうと思ったら、意外なことに初めてらしい。マークナンバーが多すぎて終わっているスピットファイアですが、このMk IXは有名です。というか、スピットファイアのナンバーは、基本的にMk I, Mk V, MK IX (XVI)だけ覚えていれば大半は事足り、あなたも明日から近所のスピットファイア博士を名乗れます。
Mk IXは大雑把に言えば、マーリン61型を搭載したスピットファイアのことです。マーリン61は二段二速の新型過給器を積んだ究極のマーリンエンジンです。今までのマーリン45は一段一速でした。ほんで、究極のエンジンには究極のドンガラを、ということで専用ボディのMk VIIIを開発することになりました。でも、これの開発は難航してしまいました。エンジンは完成しているのに、機体の方でもたもたしているうちにもドイツ軍は続々と新兵器を投入してくるぞ。ふと隣を見てみると、Mk Vの機体が転がっていました。これとマーリン61を合体させればいいんじゃね?と気がついたら早い、半ば戦時急造型として1942年に出来上がったのがMk IXだったのです。取ってつけたような機体とは思えない高性能ぶりを発揮して、大戦後半の主力機としてドイツをけちょんけちょんにしたのでした。事実上のスピットファイアの完成形で、生産数もMk Vに次ぐ5,900機です。ちなみに、アメリカのパッカードでライセンス生産されたいわゆるパッカード・マーリンを載せた機体はMk XVIと言います。
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尾翼。機体は基本的には、Mk Vのままです。それはつまりMk Iのままと同義語です。事実上エンジン換装だけで第二次世界大戦を通じて第一線の機体に留まり続けたのです。機体設計の秀逸さが光ります。
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風防もマルコムフードのまま。
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二段二速式過給器は今までのものよりも大きいので、その分機首も若干長くなっています。エンジンが強力になったので、プロペラも4枚に増えています。ここらへんがMk Vとの識別点でしょう。ちなみにこの個体はマーリン76型を搭載しているらしく。マーリン70型の派生型で、70型は63型(61型の派生型)を高高度向けに調整したものだそうな。LF型なのになんで・・・。というか76型はどうやらモスキート等の双発機向けのエンジンらしいんで、ますます謎。うーんよくわからないですが、損傷時の修理でテキトーに転がっていたエンジンに載せ替えられたんでしょうか?
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機銃口は塞がれています。戦後にベルギー空軍の練習機に使われたんですが、その時の改造でしょうか。
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左右の間隔の狭い脚です。ちなみに、主翼下のラジエーターも2つに増えています。
この個体は1944年製で、納品後はカナダ空軍の飛行隊で実戦投入されました。でもD-Day時のドイツの対空砲火で損傷して以降、実戦には出れなかったそうな。1946年にイギリス空軍からオランダ空軍へ売却、インドネシアで運用されます。1952年にはベルギー空軍へ売却、今度は練習機になりますが1954年に墜落事故を起こして用途廃止になります。1961年にカナダの民間人が購入してカナダへ持ってきて復元、1964年に当館へ寄贈されたとのこと。
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これは低空用に調整されたLF型です。外観では主翼翼端が短く切られた形状が特徴。これでロール性能が爆上げされて、Fw190相手にも渡り合えたそうな。でも本質はエンジンを低空用に調整しているところです。
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ホーカー・ハリケーン Mk XII (Hawker Hurricane Mk XII) です。1936年初飛行。これも御存知、イギリスの有名な戦闘機です。名戦闘機かはともかく。ハリケーンについては今までもこっぴどく書いているので、それをまた書くこともないでしょう。Mk XIIはカナダで生産された機体で、エンジンもアメリカのパッカード・マーリン29型を載せています。
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Mk XIIは7.7mm機銃を12丁も載せた、弾幕番長です。通常は主翼内側の片側4丁の機銃だけですが、Mk XIIでは前照灯の外側にも片側2丁を追加しています。収まりきらなかったんでしょう、銃口は主翼の外にはみ出ています。ちょっとかっこ悪いね。
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機首側面の上に鉄板が貼り出ています。あれは、エンジン排気管のバックファイアの光からパイロットを守るための遮光板です。あれがないと夜間飛行時には目が眩んでしまうみたいです。
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スキー板が履けるようでした。これで雪上離着陸ができるというものです。
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この個体は1942年カナディアン・カー&ファウンドリー製で、ヨーロッパの戦地には行かずにカナダのいろいろな場所を転々としていたようです。カナダ製ハリケーンは、カナダ国内に5機、国外を見渡しても6機しか現存しないそうです。
というところで今日はここまで。
その46へ→
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Spitfire
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大場久美子のコメットさん Blu-ray【昭和の名作ライブラリー 第137集】
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GP Car Story Vol.38
三栄三栄
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余談ですが、戦争省(すごい名前!今の国防総省)から「ジープ3種類もいらない、1種類に絞りなさい」とお達しがあったので、一番優れていたウィリスMAが選ばれ、改良の上でMB型(に加えてそれと完全互換性を持つフォード・GPW型)が量産型として大量生産されることになりました。バンタムは泣いてもいいぞ。ジープ社(クライスラー)が「ジープはウチが開発したんでござい」という顔をしていますが、元々はイギリスのオースチン社の系列のアメリカン・バンタムが開発した車だということだけ覚えて今日は帰ってください。なので、ジープの何割かはイギリス車の血統が入っていると思いますよ。
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Mk IXは大雑把に言えば、マーリン61型を搭載したスピットファイアのことです。マーリン61は二段二速の新型過給器を積んだ究極のマーリンエンジンです。今までのマーリン45は一段一速でした。ほんで、究極のエンジンには究極のドンガラを、ということで専用ボディのMk VIIIを開発することになりました。でも、これの開発は難航してしまいました。エンジンは完成しているのに、機体の方でもたもたしているうちにもドイツ軍は続々と新兵器を投入してくるぞ。ふと隣を見てみると、Mk Vの機体が転がっていました。これとマーリン61を合体させればいいんじゃね?と気がついたら早い、半ば戦時急造型として1942年に出来上がったのがMk IXだったのです。取ってつけたような機体とは思えない高性能ぶりを発揮して、大戦後半の主力機としてドイツをけちょんけちょんにしたのでした。事実上のスピットファイアの完成形で、生産数もMk Vに次ぐ5,900機です。ちなみに、アメリカのパッカードでライセンス生産されたいわゆるパッカード・マーリンを載せた機体はMk XVIと言います。
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というところで今日はここまで。
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