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北米project 5 ~How do you like Canada? その52【2016/6/15~22】

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カナダ航空宇宙博物館の続きです。次は回転翼機のコーナーです。おなじみの物からここでしか見れないような物まで、色々揃っています。

ベルCH-135ツインヒューイ (Bell CH-135 Twin Huey) です。1956年初飛行(XH-40として)。UH-1イロコイのエンジンを双発化した機体です。胴体も大型化しています。アメリカ軍でも採用されていますが、最初に開発したのはカナダ空軍向けの物です。1971年からカナダ空軍へ50機納品されました。

アメリカ製の機体ですがエンジンはカナダ製のPT6を載せています。双発機ですが回転翼は1つだけなので、2発のエンジンの出力をひとつにまとめて回転翼へ伝達しています。この個体は1971年製。カナダ空軍で運用されて1997年退役です。50機いたCH-135の中で一番飛行時間の長い機体だったそうな。

シャア専用ザクのようなツノはワイヤーカッターです。低空飛行するヘリコプターでは電線と接触して墜落する事故が無視できないので、これで電線を切断してしまうのです。UH-135は上下2本装備されていて豪華。

パイアセッキHUP-3レトリバー (Piasecki HUP-3 Retriever) です。1949年初飛行です。アメリカ海軍の要求で、空母上で運用できる救難救助と一般輸送に使える双発ヘリコプターとして開発されたのが始まりです。回転翼は折り畳めるように設計されています。空母で運用できる大きさには制限があるので、アメリカ陸軍は導入したものの小ささに不満があってすぐに海軍に押し付けてしまいました。そのうちの3機がカナダ海軍に移管されて、北極巡視船HMCSラブラドールに配備されました。北極海の氷の状態観察、水路の測量や科学調査などの任務についていました。

カナダ海軍機なのでNAVYの文字がでかでかと。塗装もツートングレーのいわゆるペンギン塗装(カナダ版)です。この個体は1954年製で、アメリカ陸軍向けでしたがすぐにカナダ海軍へ押し付けられたようです。1964年に退役して1965年に博物館が購入しました。

シコルスキーS-55/HO4S-3 (Siokorsky S-55/HO4S-3) です。1949年初飛行。1950~1960年代の西側ヘリコプターといえばこれという機体です。ヘリコプターの有用性を実証した機体として、画期的な存在です。ヘリコプターとしては珍しくコックピットが高い位置にありボンネットもあります。ボンネットには星型エンジンが収まっていて、それを躱すためにコックピットを上へ逃がしたのです。さらに、エンジンと回転翼をつなぐプロペラシャフトがコックピット内を貫通している豪快な配置をしています。この個体は1955年製。カナダ海軍で1970年まで務めました。8回の救助活動で人間32名と動物4匹を救い出しています。

ボーイング・バートルCH-113ラブラドール (Boeing Vertol CH-113 Labrador) です。1958年初飛行。CH-46シーナイトあるいはV-107のほうが名前の通りが良い、タンデム回転翼の救難救助/輸送用ヘリコプターです。アメリカ海兵隊と海軍をはじめ様々な国で運用され、カナダでも空軍と陸軍でも1963年~2004年まで運用されました。CH-113では、救難救助用に側面に大型扉と救助ホイスト、懸架フックを装備しています。この個体は1963年製。カナダのCH-113の中で最初に受領した機体であり、また最後に退役した機体でした。CH-113全機退役を記念して軍が博物館へ寄贈しています。

カナダ空軍の救難救助機は、濃いめの黄色に稲妻型の紅白ストライプが非常にかっこいいのです。右側面から生えているのがホイストです。

救助員のジョンソン(仮名)と要救助者を運び出す担架です。
後ろにも出入り口がありにけり。オレンジの脚庫は着水時の浮きにもなります。着水できるんです、これ。


ベルHTL-6 (47G) (Bell HTL-6/47G) です。1945年初飛行。ヘリコプターとしては初期も初期。1946年初めて民間機として登録されて、初めて民間商用飛行を行った機種です。ベルはもちろん他社でもライセンス生産されて、その数は6400機以上にもおよびました。アメリカ軍の仕事から干されて死にかけていたベルはこれで息を吹き返し、ヘリコプターを俺の生きる道と決めたのでした。視界が良すぎて逆に不安になりそうな特徴的な泡型の風防は、実は厳格な形状が決められていません。一定程度膨らめばそれでヨシ!みたいな感じらしく、同じ形状の風防は2つと無いのかもしれません。実際、風防により飛行特性がわずかですが変わってしまうことがあったそうな。この個体は1955年ベル製。カナダ海軍に納品されて、練習機や艦隊の雑務に就いていました。HMCSラブラドールに配属されていた時期もあり。1966年に当館へ寄贈されています。

回転翼に拠らない垂直離着陸機が並んでいます。特に右の機体に注目ですね。左がハリアー、右がダイナバートです。

カナディアCL-84-1ダイナバート (Canadair CL-84-1 Dynavert) です。1965年初飛行。カナディアが実験用に製作した双発機で、垂直離着陸と短距離離着陸(V/STOL)を実証するための機体です。エンジンと主翼の角度を水平状態から90度まで起こすことのできるティルトウィング機構を備えています。要はアメリカのオスプレイみたいなものですが、あれはエンジンだけ可動して主翼は固定という違いがあります。


エンジンはライカミングT53ターボプロップです。まず1号機が製作されて、1965年の初飛行時は通常の水平飛行でした。まあ当然。翌年に垂直離陸からの水平飛行転換に成功しています。意外とできる子なんですよ。試作1号機は最後は試験中に墜落しましたが機体設計上の問題でないこととパイロットは脱出して無事だったので開発は続行されました。エンジン強化と胴体延長を図ったCL-84-1型が3機製作されました。この個体は3号機で1969年製です。ただし飛行したのはその3年後でした。試験は順調に進んでアメリカ海軍の空母への離着艦も行われました。それでも、これを売り込む市場が見つからず、最後は1974年に計画中止という結末でした。早すぎたんでしょうかね。この3号機は計画終了から約10年後に当館へ寄贈されました。


主翼は油圧で角度を変える方式のようです。

車輪はこんな感じ。

機体が小さいんですよね。プロペラ直径は普通のターボプロップ機相当しか無いので、垂直離着陸時は結構頑張らないといけなかったのではないでしょうか。主翼の揚力が使えず、エンジン出力だけで機体を持ち上げないといけないですから。この点オスプレイはアホみたいに大きいローターを備えて揚力を確保しようとしています。これだと機体は相応に小さくしないといけないですね。大きさの割には双発機であることとティルトウィング機構で機体価格が同規模のヘリコプターやターボプロップ機と比べて高くなることは避けられなかったと思います。
というところで今日はここまで。

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くらしをささえる乗りもの──飛べ! 山小屋ヘリコプター
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