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Channel: 黒鉄重工
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北米project ~Advance to U.S. その3 【2014/12/19~24】

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ウエストコースト鉄道博物館編その2。ロイヤルハドソンの隣に展示されている客車を見ていきます。



カナダ太平洋鉄道 8号客車「アルバータ号」 Canadian Pacific Railway No.8 "Alberta"
1929年7月製。車体製造はナショナルスチール社が、内装仕上げはCPRのアンガス工場で行われた。CPRの幹部とその部下用のビジネスカー。彼らの職場であり家であり娯楽施設でもある。内装はワニス塗りが施されたマホガニー材と真鍮の調度品で仕上げられている。
1970年に引退後、レストランとして再活用するために改装が施された。寝台は取り払われ、厨房が拡大・改装された。ウエストコースト鉄道協会(West Coast Railway Association: WCRA)に引き取られたあともこの状態のまま保存されている。

巨大な蒸気機関車の次は戦前製の客車です。ダブルルーフが特徴的です。これは良いものですよ。



台車の車軸は3つ!3軸台車だと乗り心地が良くなるとされています。その代わり整備性が犠牲になりますので、ビジネスカーのような上等な客車にしか装備されませんでした。
3軸台車を履いた客車は初めて見ましたねえ。



車内にも入れますので、突入します。
最後部のデッキから入ると、高級ソファーが並んだラウンジが。ここはオリジナルのままなのかな?



ラウンジを抜けると次はダイニングが。けっこうゆったりとした造り。一組のお客さんしか入れない感じですね。



最後に厨房。かなり近代化改装されています。
日本でも昔流行った客車レストランですが、この形態で保存されるのも珍しいことのように思えます。



クライスラー エアフローモデルCU 1934年式 Chrysler 1934 Airflow Model"CU"
アメリカの自動車メーカークライスラーが開発した乗用車。斬新な流線型デザインとスケルトンボディを導入した先進的な車だったが、当時は先進的すぎて当時の人々に受け入れられず商業的には不発に終わった。
この個体は1981年に個人が買い取りレストアしたもの。

当時の人類には早すぎた自動車。確かにこれ以前の車とはデザインが大きく異なります。箱にボンネットが張り出したような車体形状です。



エアフローのリア。つるんとしたリアに後輪カバーが特徴的。



フォード 消防車1944年式 Ford Fire Truck 1944
軍事用に配備されたフォードの消防車。1966年にパシフィックグレートイースタン鉄道に売却され1975年まで使用された。
1978年にBCトランスポーテーション博物館に寄贈されたが、後にWCRAに移された。



これもまた古いタイプの消防車です。荷台に載ってる装備も古めかしい。



カナダ太平洋鉄道 16号客車「ブリティッシュコロンビア号」 Canadian Pacific Railway No.16 Business Car "British Columbia"
1890年製。元来は寝台車であったが、1912年アンガス工場にてビジネスカーに改装、その後引退するまでCPRの大陸横断列車に使用された。
1961年にWCRAが買い取り、1971年には観光鉄道に貸し出された。1983年に返却されたが、その状態は重症とも言える有り様であった。
同年から1990年まで36万ドルと80,000人時をかけ修復作業が行われ、1990年7月30日の100歳の誕生日に間に合わせたという。

ビジネスカーその2。こちらはレストランに改造されずビジネスカーの状態で展示されています。
造られた時代も古く、装飾も豪華なものになっています。展望デッキも付いてるよ。ちなみにWCRHPで最も古い車両がこれです。



台車は当然のように3軸。

さて、今回たびたび出てくる「ビジネスカー」という単語ですが、旅客機によくあるビジネスクラスとは意味合いが異なります。
ビジネスカーとは特定の人物・個人が私用などで乗るための客車で、そこに公共性はありません。他に「プライベートカー」という言葉がありますが、そちらの方が意味の通りが良いですね。とはいえWCRHPではビジネスカーと表記されているのでとりあえずこのように。
アメリカ・カナダなど北米で普及した客車で、富豪が旅行に使ったり鉄道会社の幹部が仕事で使ったりと用途は様々でした。現代だったらプライベートジェット(ビジネスジェット)に相当するものでしょうか。

このブリティッシュコロンビア号はCPR所有の客車で、鉄道会社の幹部とその部下および給仕の計3人を普段は乗せていました。ちなみに最大定員は10人。



展望デッキから中に入ると、ラウンジが。
ソファーの上にあるのはどう見ても寝台。583系のと同じ形だ。でもこの寝台はいわゆるエキストラベッドで、本来は使わない想定だと思います。



廊下に進みます。廊下の壁はロッカーになっています。これはいい装備ですね。現代の列車にも欲しいかも。



寝台ブロックの廊下。コンパートメント型の構成になっています。日本の開放B寝台と同じような感じね。開放Bは部屋の仕切り無いけど。
ちなみに内装にはマホガニー、カバ、カエデ、クルミが使われています。



一番大きい寝室。たぶん幹部の寝泊まりする部屋でしょうね。もう簡易寝台なんてチャチなもんじゃねえ、普通のベッドが置かれています。
写真に写っていない部屋の左側には洗面台があります。トイレもあります。もうこの部屋にいるだけで生活できます。



その隣。幹部の部下用と思われる部屋。幹部部屋よりは狭い。かなり窮屈そうなボックスシートです。



座席の上には寝台が収納されています。やっぱり583系を彷彿とさせる。いや、時系列的にはこっちが先なんですけどね。
それにしても、ベッド短くないかなあ。まっすぐ寝れないんじゃないこれじゃ?



洗面所。トイレもあります。



給仕用と思われる寝室。一番しょぼい。



給仕の使う厨房。原型を留めています。少なくともアルバータ号ほど近代化されていない。



最後にダイニング。ここで食事を摂ったり仕事をするってことですね。

ビジネスカー、とても興味深いものでした。まさに優雅な鉄道旅という感じでしたね。
ラウンドハウス内にある車両はこれでおしまい。次回からは屋外展示車を見ていきます。


その4へ→

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