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そこはスチームパンクの世界だった その3 【2015/06/20】

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たぶんもう蒸気関連は出てこないと思いますが続けていきますよ・・・。
人間の使う道具ならなんでも置くってスタンスなのでガソリン車だって保存します。
ガレージの中にあるのは1929年式シボレー1トン半トラックS0085。S0085は型式ではなくBC州政府が購入した85番目のトラックということなので、組織内番号ですな。
キャブより後ろは黒幕で隠されていて見えませんでしたが荷台と油圧式クレーンを搭載していて、バンクーバー島南部とガルフ諸島(現サーニッチ地区)の道路保守用に使われていました。お値段$1,392。
1948年にガルフ諸島サターナ島の農場主に売却され、1979年に廃車。その後引き取り1986年に復元が完了したとのこと。エンジンは1930年代製のものに換装されていますが、ブレーキ、トランスミッション、差動装置は原型を維持しています。



運転室。最低限の装備しかないという感じです。



トラクター軍団。
馬や牛を必要としない移動手段・運搬手段として確立された蒸気自動車およびトラクションエンジンでしたが、程なくしてガソリンエンジン技術が発展していき、重いわ遅いわボイラーが場所を取るわで1920年代辺りには蒸気自動車はガソリン自動車に取って代わられてしまいます。速度を必要としないトラクションエンジンは以後も生き残りましたがそれも1940年代頃まででした。



Averyというトラクター。1916~1919年製ですから、ガソリントラクターの中でもかなり黎明期のモデルだと思います。ほぼフレームだけ・・・。



ここにもトラクター軍団。
トラクターというと畑を耕していて公道を走られるとノロマなので邪魔に思えるアレを思い浮かべますが、トラクター tractorを直訳すると牽引機という風になります。
ここに保存されているトラクターは牽引車としてのトラクターで、耕耘機能は無かったです。



フレーザー農業機器社 Frazer Farm Equipment CorporationモデルT。1948~1950年製。エンジンルームの妙な空洞が気になりますが、エンジンを換装されているようです。原型のエンジンはこの空洞にすっぽり収まっていたんでしょう。



2台の1946年製ボレンズ社ライドマスター Bolens Ridemaster。前輪駆動車は珍しいのかも?



トラクター三種。
真ん中はドーザー付きで、その両脇は耕運機でしょうかね。



崩壊しそうなトラック。全部原型なんだろうな、これ。エンジンスターター用のハンドルが残っているのがいいね。



この園内ではえらく未来的な(ただし1962~1979年製)消防車はInternational Loadstar 1700。車名の「ロードスター」は2人乗りオープンカー(roadster)とは綴りが異なり、これは北極星、転じて道しるべとなる星という意味です。

塗装から見るに所属はノースペンダー島 NOrth Pender Islandだった模様。これもガルフ諸島の島のひとつで、ソルトスプリング島の東にあります。
度々名前が出てくるガルフ諸島ですが、このガルフというのはそのまんま湾=gulfという意味なんですが、この辺りに湾らしい湾は無いのです。ありうるとすればまだバンクーバー島が未開の地だった時代(バンクーバー"島"かすら分かっていなかった時代)に大陸とバンクーバー島に挟まれているジョージア海峡が、当時はジョージア湾と後の時代からすれば誤った呼ばれ方をされていて、ガルフ諸島はその時の名残なんじゃないかなと思います。



これはポンプ車ですね。いざって時には使えるのかしら・・・?



ケース社の自動車。前々回くらいにケース社の蒸気トラクターが出てきましたがあのケース社です。1910年にピアス自動車を買収して1927年まで乗用車事業にも手を出していました。生産台数は2万7千台ということで、あまり造っていなかったようですね。フォード・モデルTが1908~1927年の間に1500万台造っていたことを考えると、3万台弱、それは造ったといえるのか?とも思える数ですなwフォードお前ってやつは・・・。
これは1912年式のツーリングカー(値段$2,500)で、オプションで電気式スターターとライトを装備しています。電気式スターターはたしか1910年代に普及し始めたはずだったので、この頃は最新装備だったんでしょう。まだ信頼性が高くなかったためかハンドル式スターターも一緒に装備されています。
オプションのライトっていうのは、エンジンの後ろについているウィンカーみたいなライトですかねぇ?

余談ですが、現代のツーリングカーと20世紀初頭当時のツーリングカーでは多少意味合いが異なっていて、4人以上の定員のオープンカー(幌屋根付き)を持ったボディを指す実用的な自動車の形式のひとつです。これが普及していったので、一般に使用されている乗用車全般のことをツーリングカーと指す現代での意味合いに変化していくわけです。
オープンカーなんて現代では思い切り趣味的な車ですが、当時はまだ鉄が高価だったので屋根は折りたたみ式の幌にすることで値段を抑えていました。1920年代頃になると屋根も金属になったクローズドカーが手頃な値段になってきて次第に普及し始めたので、幌付き自動車は姿を消していったのです。



1930年式フォード モデルAA 1トン半トラック。モデルTに対するモデルTTのようなもので、これもモデルAからの派生型です。
バリエーションが多く、トラック、タクシー、救急車、果ては霊柩車まで。この個体はダンプ機能付きトラックで、ダンプ機能もオプションのひとつ。
が、肝心の後ろ側は入りにくかったので写真はないです。



インターナショナルのトラック。型式不明ですが1930年代製のKB11じゃないかな?
このトラックについているナンバープレートは普通のものとは違っていて、ビンテージプレートと言います。車齢30年以上、極力原型を維持していること、などの審査基準を通ると装着することが出来ます。なのでこのプレートを付けている車両は資料的価値があると見て問題無いでしょう。
ただし、これを付けると商業目的での運転、日常運転、(条件によるが)夜間運転が出来なくなるという制限を受けます。運転できるのは展示会、パレード、結婚式など特別なイベントのみになってしまい、実用車としては使い物にならなくなってしまいます。メリットがないように見えるんですが、保険料が安くなるとかあるんでしょうかね?(そこら辺は書いてなかった
なので動態保存目的で博物館入りしているような車両にこのプレートが付けられる場合が多く、まだまだ隠居させる気なんて無いよという時は(恐らくビンテージプレートの下位互換であろう)コレクタープレートを付けるそうです。
これは車齢25歳以上(あるいは車齢15歳以上で生産台数1500台未満)、原型の維持などビンテージよりは多少ハードルが低そう。当然保険料は安くなるし、日常運転も可能です。
あの車古そうやな!ってのを見かけたらプレートを見てみよう。・・・まあ案外普通のプレート付けてる車も多いんだけど。



馬車三種。右は乗用馬車、中は給水馬車?、左は人力車かもしれない。
ここは道具しか置いていないので肝心の馬はいませんでしたな。ビクトリアには馬車観光ツアーがあるので調達は簡単そうですが。



ガレージの中には復元用の工房もあって復元中の馬車も置いてありました。

今日はここまで。


その4へ→

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