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北米project 3 ~Encouragement of Canadian Rockies. その9 【2015/07/08~08】

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2015年7月10日(金)19時00分
ブリティッシュコロンビア州バンクーバー VIA鉄道パシフィックセントラル駅
スシを補給してパシフィックセントラル駅へ戻ってきました。

パシフィックセントラル駅は大陸横断鉄道の終着駅として1919年にカナディアンノーザン鉄道により開業しました。ただしカナディアンノーザンは直後の1923年にカナディアンナショナル鉄道(CN)に吸収されたので実質CNの駅です。
バンクーバーに到達した鉄道としては2番目で、最初に到達したのは1914年開業のカナディアンパシフィック鉄道(CP)ウォーターフロント駅で、これは別のところに建てられています。北米によくある共同駅、ユニオン駅というわけには行かなかったようですね。
ウォーターフロント駅はダウンタウンの中心地にあるという立地の良さが功を奏し、日本で言うところの新交通システム「スカイトレイン」と通勤列車「ウェストコーストエクスプレス」といった近距離列車の始発駅になっていて活況を見せています。
一方、パシフィックセントラル駅はVIA鉄道「カナディアン」とアムトラック「カスケーズ」といった長距離列車、夏期にはロッキーマウンテニア鉄道が乗り入れてきます(ロッキーマウンテニアは別に用意された専用ラウンジを使うらしいが)。他にはグレイハウンドなどバンクーバー発着の高速バスのターミナルにもなっています。
まあウォーターフロントと比べると寂しい雰囲気です。ダウンタウン圏内ですが中心街からは少し離れた立地で、そもそも列車の本数が壊滅的に少ない(カナディアンが週3往復、カスケーズが1日2往復、バスはよく知らない)のでどうしても人が来ないわけです。いつだか列車のいない時間帯に行った時の寂れ具合はターミナル駅とは思えない程ひどかったですね。駅舎は立派なだけにそれが余計に引き立っていました。



それでもさっきみたいに列車の出発前は賑やかでした。こうでなくちゃ。



我々は「カナディアン」専用のラウンジへ入ります。飛行機みたい。ラウンジではお紅茶飲み放題でお菓子も食べ放題(貧乏性)ですが寿司食べたばかりなのでとりあえず遠慮しておきます。
部屋の広さの割に混んでるんであまり落ち着けもせず、外のプラットホームの方のラウンジへ。



外に行くと・・・おお、いましたよ!!
気分が一気に高揚します。



Train No.2 The Canadian
これから我々が乗車するカナダの旅客鉄道公社VIA鉄道の誇る大陸横断列車です。走行区間はバンクーバー~トロント4466km(新幹線東京~博多を2往復してもまだ足りない)、乗車時間は3日半以上(4泊5日)とまさに大陸規模の列車。列車番号も栄光の1/2レを振られています。まあ今回乗るのはその一部なわけですが。
まさかこれに乗れるとは思ってなかったので、月並みですが夢の様なときめきです。



荷物を運ぶカート。機関車の後ろには荷物車が連結されているのでそこに大きな手荷物をしまい込むのです。
預けた手荷物はやはり飛行機同様に降車駅に着くまで戻ってこないので、着替えなど身の回りのものは予め分けて列車内に持ち込む必要があります。



奥には車庫と客車が数両留置されています。



ゲートが解放されていよいよプラットホームへ。ああすごい、展望車だ!これ本当すごい。

VIA鉄道の保有する車両の特徴として、発足時に引き継いだ旧型客車を未だに使用している点が挙げられます。これは既に全車が発足後に製造された客車で占められていると言っていいアムトラックとは対照的です。カナダ東部の中距離列車「コリドー」では発足後の客車にだいぶ置き換えられているらしいですが、それでもカナディアン号は基本的に旧型のバッド製ステンレス客車が充当されています。
カナディアンの客車はステンレスなので一見新しく見えますが、その実は1955年にCPがバッド社に発注したステンレス客車です。今年で還暦じゃん(呆れ)。バッド社は鉄道好きなら聞いたことあるかもしれないステンレス車両を初めて世に送り出したアメリカの車両メーカーです。東急車輌にステンレス車両のライセンスを供与したあそこです。
1955年製客車というと、日本でなら旧型客車のスハ43系や軽量客車の10系あたりと同世代になります。これらが未だに現役で4000km以上行ったり来たりしていると考えていただくと、メチャクチャさがお分かりいただけるかと。もはや異能生存体の域に達していると思います。置き換えるつもりないんだろうか?

鉄道が移動手段の主役だった頃に製造された客車に乗れることは私としては全然オッケーですし、当時の雰囲気を偲ぶには最高の舞台です。そういう意味でカナディアンはアムトラックの列車以上に魅力的な列車と言えます。



今回乗った車両はこのマナー形寝台車の8325号車"Elgin Manor"です。
乗降口ではアテンダントがお出迎え。1両につき1人いるらしい。この日は特に編成が長かったので2~3両に1人だったかも(覚えてない)。どっちにしろ良いサービスですな。
プラットホームはほぼ地面と同じ高さで、バリアフリーもクソもないです。乗降口のステップを登るんですが、走行中はこれを収納する(手動)ことで客車の美観を保つのです。



まずは今回過ごす部屋を確認。そうです、個室寝台です!
日本の客車寝台列車にはついに乗れずじまいで終わり(電車寝台は経験あり)もう乗ることも無いんだろうなと思ってましたが(ななつ星がまだあるけどまあ普通に考えて乗るのムリだろ)、意外なところで叶いました。やったぜ。
画角が制限されるんでどうやってもアレな写真しか撮れないがな。



まだ発車まで時間があるので、列車の先頭に行ってみましょう。
列車の編成中で目立つのが屋根にガラス張りのドームが付いたスカイライン形ドーム車です。定員0名の日本で言うところのロビーカーです。
なんといってもドームで、この部分は2階建てになっているので上階から眺めのいい景色を楽しむことが出来ます。階下はちいさな厨房になっていて軽食を提供できるようになっています。平屋部分はソファーなどで構成された広々としたラウンジになっています。くつろぐならドーム席よりもこっちですね。
これらのドーム車は今でなら鉄道の旅を楽しむためと言う理由で導入されそうなものですが、当時はまだ鉄道が元気だった時代なのでどちらかというと競合する他社の大陸横断列車よりも優位に立つため、という少し事情が異なるものになります。実際、競合相手のCNの大陸横断列車よりも人気だったらしいです。



編成中で異彩を放つのがこの客車。ガラスルーフ形客車1702号車。
この客車だけステンレスでなく普通鋼(アルミ合金かも知れないが)塗装客車となっていて、車体もわずかに一回り小さくなっています。2002年に導入したロビーカーのひとつで、前にも出てきたコロラド車輌製の客車。2階建てのウルトラドーム客車を平屋に縮めたような感じで、窓ガラスは屋根の殆どを占めています。
これは3両(1700-1702)しか製造されず、夏期にしか運用されないので運が悪いと連結されないことがあるんですが、無事に見られました。
車体は新しいですが台車は多分廃車発生品・・・つまり使い回しだろうなこれ。



8301号"Abbot Manor"寝台車。
先頭までやってきましたが、色々足りない・・・。まず機関車がいません。これが楽しみで来たのに。あと座席車もありません。
どういうことだと思いましたが、これはカナディアンの列車が長すぎてホームに収まらないことから機関車と座席車は隣のホームに停車していて座席車の乗客はそこから乗車していたのでした。で、出発時刻になると機関車と座席車は寝台車のホームに転線して連結、改めて出発するという段取りなのでした。



ここからだと機関車は見えなかったので、おとなしく寝台車に戻ります。
今回はここまで。


その10へ→

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