2015年7月17日(金)15時27分
アルバータ州カルガリー カルガリー軍事博物館
前回から時間と場所は一気に飛んで、カルガリーへ。
マーブル渓谷からは一気にカルガリーまで車で走りました。途中一瞬だけ休憩しましたがそれでも2時間程度でカルガリーまで行けるんですね。
到着後は両親を一旦ダウンタウンで降ろし、自分だけは写真の「カルガリー軍事博物館 Military Museum of Calgary」へ向かいました。ちょっと興味があったんで行ってみました。あまり見学時間が取れなかったので主に実機展示を見てきましたよ。
まずは屋外展示から。戦車や野砲などが展示されています。
戦争博物館というと胡散臭いイメージ(大体靖国神社のアレのせい)があるんですが、カナダはさすがというべきか実機展示も充実しています。
では見ていきましょう。
1台目はこれ、「チャーチル・クロコダイルMk VII Churchill Crocodile Mk VII」。
ガルパンでもおなじみチャーチル歩兵戦車ですね。ダージリンの搭乗車と違って履帯カバーが無いので印象が異なりますが。
歩兵に随伴して彼らの支援や防御を行う歩兵戦車なので対戦車戦はあまり考慮されてないです。なんていうかイギリス戦車ってこんなのばっかなんで他国と比べてどうも影が薄いんですな。それでもガルパンでだいぶ名を挙げた(?)と思います。
ちなみに名前は当時の英首相ウィンストン・チャーチルから。現役の首相を戦車の名前にするセンスというか脳ミソの中身というか。10式戦車を鳩山戦車と呼ぶような感じなので
で、ここにあるのはチャーチル・クロコダイルという戦車に火炎放射器を積んだ「汚物は消毒だー!」を地で行く戦車です。火炎放射器は主砲ではなくその脇の機銃のようなものです。元々機銃があったところを火炎放射器に交換したんですな。
戦車本体の他に火炎放射に使う燃料を積んだ燃料車を別に連結して運用します。主砲はそのままなので戦車としても運用できるんだそうで。
火炎放射戦車なんて珍しいんやろなぁと思ったんですが、世界に現存しているチャーチルのうちだいたい3分の1はクロコダイルだそうなので、まあ普通か・・・ということで。
でも恐らく現存唯一のMk Iがトロント近郊のボーデン基地博物館に保存されてるんで見に行くといいかもしれませんよ。何か他にも面白そうな戦車があるからいつになるか分からない次回の襲撃リストに入れておこう。
ここの説明板、保存車の経歴が書かれていないのでどういう戦車だったのかはよく分かりんせん。他の車両も含めカナダ陸軍が使っていた戦車だとは思うんですが。
あと説明板曰くこれはMk VIIIだそうですが、主砲形状からしてMk VIIの誤植なんじゃないかな?と思います。他の戦車の解説も何だかいい加減な印象があったので注意が必要です。
次はこれ、「センチュリオンMk 3 Centurion Mk 3」。これもガルパンに出てきたな。
イギリスの戦車って弱いし影薄くね?と陰口を叩かれたイギリス人、マジになって戦車を開発したら、悪いもんでも食べたのかなんだかいい感じのものが出来たぞ!って感じの戦車。たぶん間違った認識です。でも実際強い。
これのエンジン「ミーティア」はイギリス空軍の戦闘機スピットファイア用のエンジン「マーリン」を戦車用に設計し直したものだったり紅茶用の湯沸かし器を標準装備してたり、イギリスっぽさも残っとるやんという感じもします。
Mk 3は94mm(20pdr)砲を搭載した型式です。
これ第二次世界大戦時に設計された戦車?と疑うほどスマートで、好きな戦車の部類に入りますね。
おまたせいつもの、戦車博物館の常連「M4A2E8シャーマン Sherman」。
日本ですらその姿を見られる程だいたいどこにでもいるシャーマン、ここに保存されているのはM4A2E8という型式。M4A3E8「イージーエイト」じゃないぞ。
これの説明板、デカデカとM4A3E8って書かれてたんで最初はそう思ったんですが(実際外観はそんな感じに見える)、説明を読んでいくとどうもM4A2E8っぽいなぁ、と。いい加減な説明板だと困りますね・・・。
で、そもM4A2とは、トラック用ディーゼルエンジンを搭載した車両のことです。ガソリンエンジン主流の当時の戦車において現用戦車の標準であるディーゼルエンジンを搭載したのはさすがアメリカは先見性があるね、ということではなく、単に従来搭載していた航空機用星型エンジンが底をつきそうだったからディーゼルエンジンで代用しただけというオチなのでした。
エンジンは2基並列で搭載されていたため冗長性が高く足も速かったものの、使用燃料をガソリンで統一したいアメリカ陸軍はこれを嫌いました。戦車車種の増加による前線の運用の混乱を嫌ったがために、新型戦車を投入せずシャーマンを使い続けた陸軍ですからまあ残当。
でもって、従来から軽油も使っていたアメリカ海兵隊が使用した以外はソ連などの他国へ丸投げレンドリースされましたとさ。
で、その中でもM4A2E8はM4A2系列の後期型です。そのほとんど全てをソ連にレンドリースしてしまったそうな。じゃあなんでカナダにいるんだって話になるんですが、大戦後にアメリカから購入したという風に説明されています。たぶん大戦終結でソ連にくれてやるつもりが余ってしまったんでしょうかね?
お初にお目にかかる「クーガー装甲戦闘車 Cougar AFV」。なんだかカエルみたいな。
1976年に就役した6輪駆動の汎用装甲車"Armoured Veghicle General Purpose; AVGP"のひとつです。このAVGPを型として3種類のAFV、クーガー、グリズリー、ハスキーが開発されました。同じ車体で複数車種を開発することで開発費用を抑えるとかそんな目的なんだと思います。車体はスイスのピラーニャを元にしています。
イギリスの偵察戦闘車FV101スコーピオンと同等のL23A1 76mm砲を搭載しているのが特徴で、陸自の機動戦闘車と同類な感じです。偵察や火力支援の他に戦車の教習車にも使われていました。
195台が製造され、常設・予備機甲部隊に配備されました。1990年代に信頼性、耐久性、共用性向上のために延命工事が施工されました。2005年から退役が始まり現在はグリズリーを残して退役しています。ただし、払い下げ車両がカナダ国内や国外で現在も運用されているらしいです。
「リンクス装甲偵察車 Lynx Armoured Reconnaissance Vehicle」。
1966~1993年に軽機甲連隊に就役していたカナダの偵察車です。アメリカのM113系列のひとつです。
カナダはフェレット偵察車の更新用に174台を導入し、国内の部隊の他にドイツに展開していた4個旅団にも配備していました。たぶん今後も何度か出てくると思うんですけど、カナダ軍って陸軍と空軍を西ドイツに展開していた時期があったんです。たぶんNATO軍の一員として派兵していたんだと思います。
強固、高速、機敏、大陸横断性能、M113よりも軽量という性能を持っていて偵察や空輸に優れていたとされています。
兵装は50口径M2ブローニング機関銃とブローニング7.62mm1919機関銃を装備した他に運転、偵察、兵装用の夜間暗視装置、通信用のデュアルラジオなど。
コヨーテ偵察車に置き換えられて1993年までに退役しています。
カナダ空軍の戦闘機CF-5。CF-116とも言うらしいが116って数字はどっから出てきたんだと。
で、このようにエンジンの排気口から串刺しにされています。こういうダイナミック展示、こっちだとたまにありますね・・・。日本から見ると贅沢な使い方するなと思います。
塗装は冷戦前期のイギリスっぽい迷彩塗装がされています。が、ラウンデルやコーションマークなんかは無しですので資料性はちょっと劣るかな?ただ地上展示では見れない角度から見れるので、印象把握には持って来いだと思います。エリアルール対策がされたくびれた胴体とか主翼前縁付け根のLERXとかよくわかります。
F-5はまたの機会に見ることになるので今回は簡単に済ませます。
空軍の実機展示はこのCF-5だけと陸海軍と比べると寂しいものでした。ただ、執筆時現在ではF-86、CF-104、CF-18が公開されているらしいです(見学して少し後の2015年9月から公開し始めたようで・・・)。
F-86とCF-104はともかくCF-18は100 years of flight特別塗装機が保存されているので一見の価値ありかと。画像検索すれば分かりますが、お前ら戦争する気あるのか!?と思うほどハデハデですぞ。
他にも航空博物館がカルガリー空港の近くにあるので、空軍力が欲しい人はそっちに行けばいいのです。なお私は行かずじまいです。
野砲も展示してあります。これはまた後で。
丘の上に展示してあるので何だかそれっぽい雰囲気が出ている上に方の向いている先はハイウェイが走っていて、なんだかおっかない感じです。
犬釘を打つおじさんの銅像です。
犬釘ってレールの内側に立って打つもんだと思うんですが、まあこの場面はどう見ても式典だし、多少はね。
味方を誘導する兵士の銅像です。時代は朝鮮戦争辺りなんじゃないかな?(適当
館内に入ってみましょう。
玄関広間には写真を使った絵が飾られています。描かれているのは陸海空の兵士ですな。その上にはエリザベス女王の肖像画もありますね。
戦争博物館ということで文字の展示も豊富です。それの演出用に実車展示も併せて行うのも贅沢ですね。
1944年式のT-16汎用輸送車。ユニバーサルキャリアとも言います。
イギリスが開発した兵員輸送用の装軌輸送車で、T-16はフォードが生産したもの。フォードのことだからバカスカ造ったんやろなぁ。
「そこの歩道に伸びてるやつは何なんだ?」
「ここに住んでる」
マネキンもいるぞ。撮らずにはいられない。
移民してきた日系人部隊の展示。第十大隊日経義勇兵はカルガリーを拠点にしていた大隊で、第一次世界大戦ではフランスへ遠征に行ったそうな。現地での活躍はよく分からんです。パネルの写真を撮ってなかったの。
でも展示があるってことは活躍したんでしょうなぁ。
大層残念そうな顔をしているマネキン。どんな場面だったかな、これ・・・(忘れた
つよいインディアンのマネキン。インディアンも今や機関銃で武装する時代なのだ。槍など古い古い。
こんな感じで今日はここまで。
その44へ→