ヤクの飛行展示の次は、カナダ軍の空挺デモンストレーション部隊「スカイホークス SkyHawks」展示です。カナダ軍唯一の軍隊によるパラシュートを使うデモチームで、1969年以来もうすぐ50年という長い歴史があります。
(恐らくカナダ陸軍の)空挺連隊が結成した非公式部隊が始まりでして、結成2年目の1970年にはパラシュート世界選手権で銀メダルを獲得したそうな!そんな実績が認められたのか1971年には制式な部隊に昇格しました・・・とのこと。
ちなみに管轄的にはカナダ陸軍の部隊のようですが、海軍や空軍、さらに予備役からも人員が集められ組織されているそうな。オールカナダ軍のチームなんだよー、ということなんですかね。
・・・という風につらつら書きましたが、この場にいた当時は「あ、なんかDHC-6が飛び立ったな」くらいの認識しかなかったです。ワイの英語はもうガバガバ。
DHC-6でおなじみのこの双発輸送機、カナダ軍ではCC-138という型式があります。民間型だと300型に相当する機体で、愛称は民間型と同じツインオッター。
デ・ハビランド・カナダ伝統の短距離離着陸(STOL)性能に優れた機体でありまして、DHC-6は特に未開地のような未舗装で滑走路の距離が短い飛行場での運用に長けた機体です。
そういう性能を持っているので、小さな飛行場しかなさそうなカナダ北部の輸送、救難救助、作戦支援などの任務に就いているのです。冬場もスキーを履けば雪上でも離着陸できますし。
この機体(13804)は第440輸送飛行隊の機体で、これはノースウェスト準州イエローナイフを拠点にする部隊です。イエローナイフはオーロラがいつでも見られるとかでかつて日本人にも好評だった町です。オーロラということは北極圏も間近でして、つまりはド田舎です。
主な任務はレンジャー部隊や士官候補生の育成支援だそうですが、今回はスカイホークスを上空まで運ぶ任務を負っています。
やっけに上に向かってばっか飛んで行くなぁ・・・とか思いながら眺めていました、当時。
ギリギリ音が聞こえて目に見えるかという高度まで達した時、機体から何か赤いものが飛び出ました!スカイホークスの隊員が降下を始めたのです。ここでようやくパラシュート部隊の飛行展示だと気づく。
CC-138にはCC-115(DHC-5)のような後部カーゴランプが無いので、胴体後部の側面にある扉から飛び降りることになります。うっかり水平尾翼にでも当たったらお陀仏だろうなと余計な心配をします。
空挺部隊の降下はいつだかに自衛隊の航空祭で空挺部隊が輸送機から降下してくるところを見た記憶がありました。あれは一度放り出されると後は黙って降下するだけでした(その代わり隊員の数がやたら多い)。カナダのこれもそんなものだろうな、とタカをくくっていました。
段々降下してくるとカメラでもその形を捉えられるようになりました。そこには国旗が描かれたパラシュートがありました。この時はまだ面白いパラシュートだなとしか思っていませんでした。
!?
あっ国旗だ!
!?!?
す、スモークだ!しかも日本では絶滅した赤いスモーク!
ダイナミック国旗掲揚
これにはカナダ人も喝采。ついでにDJブースからは国歌が流れるジョークも飛び出し、観客は釣られて脱帽し起立する始末。これには笑わせられました。
この国旗掲揚が3人で行われているのにも注目。
一番下の人が右足に国旗掲揚と左足にスモーク散布を一手に引き受けています。一番つらいやつ。
その上であぐらをかいている2人は何だか変な格好で組み合っています。向かって右側の人は下の人の展開するパラシュートの前に寄りかかりながら飛行しています。こうしていないと体勢を維持できないのかも。
その横の左側の人は右側の人の腰に脚をホールドしてしがみついています。でも上半身は彼から離れているので横になっているような感じになっています。見ている時はみんな気づいていないからいいけどかなり無理な体勢をしています。
パラシュートを2つ横に並べて飛行するには2人の身体の向きをVの字にする必要があるからなんだと思います。これ、パラシュートが少しでも上下にずれたらこのような体勢にはなりませんからね。見ている分には涼しい顔そうですが実際にはかなり大変なんじゃないでしょうか。
パラシュートもどちらかと言うとこれはハンググライダーの方が近いのかもしれません。
余談ですがスカイホークスの展示は元々開幕直後に行う予定のものでしたが、午前中の曇天により後ろに回されていた状態でした。
なるほど確かにこれは快晴の下行わないとダメだな~と実感します。よく午後になって天気が回復してくれたものだと思います。
着地。
これで終わりかと思ったら第2弾が降りてきました!
カラースモーク6条を出してぐるぐる回転しながら降下してきます。
ぐるぐると。
パラシュートでこんな機動ができるものなんですね。
地上が近づくと着地体勢に入ります。
着地。
さらにもう1回!
今度も複数の隊員による降下です。スモークを出しつつ降下しながら姿勢を整えていきます。
3つのパラシュートで円を描きながら滑空しています。
この間、3人の隊員は互いに脚を組ませながら滑空しています。これも大変だろうねぇ。
これにて終了。観客へ向けて敬礼します。
CC-138も会場を航過してご挨拶。
CC-138も着陸して終了。
これほどエンターテイメント性の高いパラシュートチームとは思いもしませんでした。またもや素晴らしいものを見させていただきましたぞ。
次回はいよいよ、エアショーのトリであるCF-18のデモ飛行です。
[Canadian Skyhawks at Barksdale Airshow 2016]
今回のおまけはスカイホークスの動画です。
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