前回に引き続き地上展示機を見ていきます。
まずはゴジラに爆撃でもする気か!?という雰囲気を漂わせている三菱F-2。航空自衛隊の航空機(特に国産機)には「イーグル」や「ファントム」みたいな愛称はないんですが、一部からバイパーゼロとか平成の零戦とかおセンチな名前で呼ばれることもあるらしい。
公式には戦闘機という区分となっているんですが、重い対艦ミサイルを4発抱えて敵艦を撃沈させる事実上の攻撃機です。でも専守防衛の自衛隊が攻撃なんてイメージ悪いので戦闘機ということにしているんでしょう。
ちなみに最初は"支援"戦闘機という区分でした。これも攻撃という言葉の刺々しさを和らげるためのものでした。
これに戦闘機の本分たる空戦やらせたらどうなるんでしょうね。これの開発母体になったF-16よりも全体的に大型化していますから、軽快なF-16には勝てないんじゃないかなぁと思いますが。
遠くから撮ると黒山。近くから撮ると全体が入らないジレンマ。
青色の塗装が目立ちます。洋上迷彩というやつで、海上で視認されにくい迷彩柄になっています。最近の戦闘機はどいつもこいつも灰色なので結構珍しい。実際かっこいいのだ。
この機体は浜松基地の第1術科学校のもの。この部隊は航空機の整備や兵装の運用に関する教育訓練を目的としたもの。なので、このF-2は教育用の教材になるわけですね。
兵装ステーションには武器が取り付けられてました。
これはJDAM(ジェイダム)の付いた爆弾だと思います。ゴジラにぶつける気か!?っていう形をしていますね。
JDAMは爆弾ではなくて、ふつうの無誘導爆弾を精密誘導爆弾に変えることのできる追加装置みたいなやつです。普通のニンテンドー64だとドンキーコング64は遊べないんですが、別売りの拡張パックを本体に取り付けると遊べるようになる・・・みたいなやつです、たぶん。
既存の爆弾に付けるだけなので比較的安価なのが魅力だとか。
主翼端のレールに付けられているのはおなじみの空対空ミサイル、サイドワインダー・・・かと思いきやAAM-3というものだそうだ。90式空対空誘導弾とも呼ばれるそうで、名前から察せるとおりこれ国産のミサイルです。
アメリカのサイドワインダーを超える能力が魅力だとか。まあそうでないと国産ミサイルを開発する意味ないからねぇ。でも調達価格がお高いのが欠点。量産効果無いからね・・・。
GCS-1またの名を91式爆弾用誘導装置。なんで名前が2つもあるんだろう、面倒じゃないのだろうか?それに航空自衛隊って、○○式って名前付けるのあんま好きではないと思っていたけれど。
これもJDAM同様爆弾そのものではなくて、爆弾に外付けで取り付ける誘導装置のことを指します。500ポンド無誘導爆弾に装着するんだそうな。
じゃあこれは和製JDAMかというとそうでもないらしく、JDAMは誘導にGPSを使いますがGCS-1は赤外線誘導を採用と、誘導方式が異なっています。あとは、JDAMは対地攻撃用、GCS-1は対艦攻撃用と用途も違います。
後ろから。
ていうかF-2の実機を間近で見たのは今日が初めてですかね。
横から。
さっきも書いたとおりこれの母体はF-16なんですが、何でか知りませんが個人的にはあんまりF-16だとは意識しないですね。なんとなくF-16よりもデカいなとは思います。
親の顔より見た練習機ことロッキードT-33Aシューティングスター。とっくに退役しているので、これは基地で保存されている機体ということになります。
川崎重工でもライセンス生産されていたんだそうで、これもカワサキ製なのでござい。
後ろから。
これについては別に書くことないでしょう(手抜き
航空自衛隊の主力兵器であり花形と言えましょうぞ、マクドネル・ダグラスF-15Jイーグル。こちらもすごい人気です。
やっぱりデカい機体でして、全長で言うと第二次世界大戦時の下手な双発爆撃機と同等かそれ以上の大きさ。そりゃデカいわけだ。流石に全幅はそれよりも小さいですが。
これもF-2と同じで第1術科学校の教材です。高価な教材だ。
F-15Jにもミサイルが取り付けられていました。
主翼に吊るされている白いのはさっき見たAAM-3。
一方胴体に取り付けられている青いのは、AIM-7スパロー空対空ミサイル。
スパローとAAM-3およびサイドワインダーってどっちも空対空ミサイルなのにどこが違うねん・・・。これはさっきのJDAMと同じで誘導方式の違いです。スパローはレーダー誘導方式でサイドワインダーは赤外線誘導方式なんだそうな。
詳しいことは各自研究してください・・・(丸投げ
正面から。
空気取入口の角度が左右で異なっています。最適な空気量をエンジンに送り込むために上下して口の面積を調整できます。最近知りました・・・。
後ろから。
博物館の保存機なんかだと排気口のノズルはエンジンごと取り去られていることがザラですので、このように観察できるのは現役機だからこそですね。
地上展示機ではないですがブルーインパルスも見ておきましょう。
ファンは朝イチでブルーインパルスの真ん前を陣取るのだそうです。
ブルーインパルスのT-4。とにかく丸いという可愛げのある飛行機です。
ちっちゃい印象もありますが、隣の電源車と比べると意外と大きいのだというのが分かります。
5番機と6番機、その奥の数字の書かれていないやつは予備機です。予備機を使う頻度ってどのくらいあるのか分かりませんが、予備機のパイロットは下手すれば任期中一度も本番の飛行が出来ないまま異動してしまうのでしょうか?それともさすがに予備機担当は持ち回りしてるんですかね?
次は格納庫で展示されている機体を見ていきましょう。
ブルーじゃないインパルスの方のT-4が一部解体されて展示されています。
エンジン部がよく見える状態になっています。外板の内側は黄色く養生(?)されているのですね。
排気口ノズルもただの筒みたいな形状が逆に新鮮です。
ゼネラル・エレクトリックCF6-80型ターボファンエンジン。早期警戒管制機のE-767用のエンジン・・・つまりボーイング767と同型のエンジンとなります。
ノズルや配管でごちゃごちゃしている細長いのがジェットエンジン本体で、その前方(写真から見て右側)に付いている裏ごし器みたいなやつはファンです。
旅客機のエンジンは随分と直径が大きいように見えますが、直径を大きくしているのはファンのプロペラでして、実はエンジン本体は案外細身なのだ。
斜め前から。ターボジェットエンジンに巨大プロペラを付けたみたいなのがターボファンエンジンです。
ファンの直径がエンジンよりも大きいのがミソで、これにより気流の一部はエンジンに採り込まれずに外側を流れることになります。
ターボジェットエンジン単体だとジェット噴流の速度が速すぎて、音速を超える運用がない旅客機でそのジェット噴流の速度は効率が悪いのです(ジェット噴流の速度と飛行速度は同じくらいが効率良いらしい
そこでジェット噴流をファンで回したエンジンの外側の気流と混ぜてやるとちょうどよい速度まで落ちて効率が良くなる・・・という考えだそうで。
最近では推力の大半がファンによるものらしく、それってもうプロペラ機なんじゃ・・・と思わないでもないです。
石川島播磨F100-IHI-220E型ターボファンエンジン。F-15J用のエンジンで、プラット&ホイットニーF100-PW-220Eのライセンス生産版。
これもCF6型と同じターボファンエンジンですが、ファンの直径がエンジンの直径よりも少し大きいだけというもの。
あんまりファンの気流が多いとジェット噴流の速度が下がってしまい、速度が命の戦闘機には向かないので、ファン直径を控えめにして流れる空気量を抑えているんです。こういうのを低バイパス比エンジンといいます。逆にCF6は高バイパス比エンジンといいます。
これも教材でして、中身がわかるカットモデルになっています。左側が前です。
すんげー勢いでエンジンに取り込まれた空気は圧縮機(コンプレッサー)でめちゃくちゃ圧縮されます。圧縮機は扇風機の羽根が何重も連なったみたいなものです。これが軸流圧縮方式エンジンの特徴でして、風車の枚数を多段化していけばそれだけ圧縮されていって高出力化されます(実際はそんな簡単じゃないでしょうけども)。
この点、圧縮率を高めようとすると圧縮機の直径を大きくするしかない遠心圧縮方式のエンジンは小型化に不利であり、現在では遠心式圧縮方式のエンジンは絶滅してると思います。
で、圧縮された空気はその後ろの燃焼室に流されます。ここで燃料を吹きかけられると同時に点火します。すると爆発的高温高圧の燃焼ガスが発生します。
あとはその燃焼ガスをすんげー勢いでノズルから排出すると、反作用でエンジンを乗っけた飛行機が前に進むという感じです。
ただし燃焼室と排気口の間にはタービンがあって、ここで燃焼ガスのエネルギーを少し拝借します。タービンを回して得たエネルギーは圧縮機の動力源に使われます。以下無限ループ。
クソ大雑把にいうとこうなります。難しいね。
今日はここまで。地上展示はもう1回あります。
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