前回のエンタープライズ格納庫を通り抜けると外に出ます。そこには大きい飛行機が置かれています。
おや、もしかしてB-17ですかい?
B-17でした。初めて見ました。専用の展示場所があるのか。やっぱり人気なんだなぁ。
ボーイングB-17Gフライングフォートレス(1935年・105機目)はアメリカ陸軍の戦略爆撃機です。日本では爆撃機としてはB-29に次いで知られているんじゃないでしょうか?まあ太平洋じゃ目立った活躍してませんけども。
エンジンは4発、しかも当時最先端だった排気タービンを各エンジンに搭載するというドえらい爆撃機です。初飛行は1935年なのでアメリカ参戦時には旧型機みたいなものでしたが、それでも陳腐化せずに最後までアメリカ陸軍の主力機として戦い抜いたんですから、ちょっとしたオーパーツのような爆撃機ですねコイツ。
あの無敵ドイツを火の海にした爆撃機・・・ということでアメリカでは人気の高い機体です。保存機は47機にもおよび、うち動態保存機は10機程度いると言われています。保存機の扱いもよく、POFのこの機体のように専用の展示場所が誂えられている場合もあります。
一方、日本人にとって憎い憎い憎い存在のB-29はあんまり人気がありません。保存数も扱いもB-17よりも一段落ちている・・・という印象です(原爆を投下したあの2機は別格として
ここらへん、地域差があるんだなぁと。
今日はP-47の飛行展示があったためでしょう、機内が公開されていました。
右舷の扉から機内に入って機首へと向かいます。中は結構狭くて、屈んで歩かないといけません。爆撃機は見た目はデカいですけど、胴体は意外と細いのですね・・・というのを実感します。
右舷に防御機銃が有りにけり。B-17の最終生産型で総生産数12,700機(日本軍のあらゆる機種の航空機の生産数よりも多いのだ・・・)の3分の2を占めるG型は、とにかく武装強化をした型式で、搭乗員は10名にのぼります。こんだけの搭乗員を撃墜されて喪失したらたまらんなぁ。
機銃はご存知傑作M2機関銃です。吹きさらしの中射撃すんのか。
B-17といえばこれ、ボールターレットですね。機体のお腹に搭載された旋回式の銃座です。
ボールターレットは数社が造っていましたがB-17のそれはスペリー社製でした。同社製の特徴は空気抵抗を抑えるためにめちゃくちゃ小型に造ったこと。ここに配置されるやつは搭乗員の中で一番背の低いやつだったそうな。身長低いとこういうところで損をするのだな。
基本は機外から乗り込むんですが、緊急脱出用に機内側にも扉があります。また、B-17の場合は離着陸時の事故でボールターレットがお釈迦になった時に一緒に潰されないよう、高度を上げてから機内の扉から入り込むようでした。
銃手はこういう体勢で任務につきます。尻を着いて頭は機銃と同じ高さにして、脚は上に上げて・・・。無茶言うなって。
下半分には人間とM2機関銃が収まり、上半分には弾薬があります。
B-17の任務はドイツへの長距離爆撃でしたから、5~10時間はこの姿勢のままです。キツイ。
ただし、意外と生存率は良かったりしたそうで。一番死ぬのはやはり尾部銃手です。それでもこんなところに長時間詰め込まれたらおかしくなりそう。
外から見たボールターレット。よくアメリカ人この中に入れたね。
航法士の席。無線機なんかが置かれていますね。
これより前の爆弾倉、操縦士や爆撃手の区画へは立ち入れなかったのでここまで。
爆弾倉は航法席と操縦席の間にあります。なんだか意外だな。でも、ちょうどこの位置から主翼が伸びているので、重心点に重量物である爆弾を置くのはまあ当然だなと。
胴体の下半分・・・つまり機内の床より下が爆弾倉かと思いきや、ほぼ断面全体に爆弾を置ける構造になっているのも初めて知りました。
機外から見るとこんな感じ。戦争でもすんのかって感じですね。
こんなところで今日はここまで。
その33へ→