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北米project3 ~Encouragement of Canadian Rockies その11

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2015年7月10日(金)22時07分
VIA鉄道カナディアン号車内
今乗っている列車、カナディアンについて改めてご説明。長くなるからどうでもいいって人は次の写真まで飛ばしていいよ。

走行区間はバンクーバー~ジャスパー~エドモントン~ウィニペグ~トロント4466km、乗車時間は3日半以上(4泊5日)の超長距離列車で、いわゆる大陸横断列車です。少しケチを付けると、トロントはまだ北米大陸の中部と東部の境目くらいの位置で、大陸を横断と言うにはちと物足りないです。
カナダの東側の終点はハリファックス駅で、現在もそこまでオーシャン号という列車が運行されています。ただこれはモントリオール発なので、トロント~モントリオールでまた別の列車に乗らなければならず、カナダの端から端まで列車で移動するのに2回乗り換えが必要です。乗り継ぎが上手く行けば6日で横断できますが、まあ遅延するでしょうし無理なんでトロントかモントリオールでブランクを取る必要があります。そうするともう2~3日追加で9日くらいかかるでしょうね。

脱線しましたが、カナディアン号の起源は1955年まで遡ります。元々はカナディアンパシフィック鉄道が運行していた列車で、従来使っていた大陸横断列車の客車を今乗っているステンレス客車に置き換える際に運行を始めた列車です。車両更新の際に列車名も変えてしまってそれを広く宣伝するというのは日本でも時々見られる手法ですな。
鳴り物入りで登場したカナディアンでしたが、直後に航空機と自動車が台頭し始めて次第に衰退していきました。
1970年台にはもはや経営のお荷物になってしまい廃止も考えられましたが、最終的に1978年にVIA鉄道に運行が引き継がれます。

さて、VIA鉄道に引き継がれた大陸横断列車はカナディアンの他にもうひとつ、「スーパーコンチネンタル」がありました。これはCNが運行していた大陸横断列車です。
カナダの東西を結ぶ鉄道はカナディアンナショナル(CN)とカナディアンパシフィック(CP)の2つがあります。大陸間では競合する両社ですがその経路は異なっており、そこで多少棲み分けがされているようです。具体的にはCNは北回りの経路、CPは南回りの経路です。分かりやすいところで言うと、CNはエドモントンを、CPはカルガリーを経由しています(どちらもアルバータ州)。この2つの大陸横断列車をVIAは経路もそのままに継承したのでした。
ちなみに超大陸ことスーパーコンチネンタルはCN時代からカナディアンよりも人気がなく、VIAでも豪華列車のカナディアンに対し2線級の扱いでした。カシオペアと北斗星みたいな関係みたいです。

が、やはりというかなんというか予算削減の煽りを受けてスーパーコンチネンタルは1990年に廃止されてしまいました。
カナディアンは存続しましたが、運行経路はなんとスーパーコンチネンタルのものに変更されてしまいました。熊本経由の「はやぶさ」が大分経由に変更されるような感じで、当時のカナダの鉄オタは違和感を感じたと思います。
ついでに運行本数も毎日運行から週3往復に削減されました。現在はオフシーズン時は週2往復にまで減らされています(悲
こんな感じで現在まで至ります。カナダ東部と西部を結ぶ唯一の列車なので公共性を鑑みればおいそれと廃止には出来ないでしょうが、いい加減客車が限界だろうと思うので先に客車のほうが寿命来ると思います。本当に車両更新どうするつもりなんだろう?

余談ですがこの写真は車内の壁に貼ってあったカナダ西部のVIAの路線図で、気になったのがマニトバ州ウィニペグから北にあるチャーチルまでを結んでいる路線でした。なんでこんな聞いたこともないクソ田舎を列車が走っているのかと疑問でした。調べるとこのチャーチルという町は他の町へ続く道路が全く無い完璧な陸の孤島という想像を超えたどえらいキングオブクソクソアンドクソ田舎でした。この町の住民が外へ出るには飛行機か鉄道しか手段がないのです。ひえぇ、そりゃ鉄道も廃止には出来んよな。
それと、今は廃止されたビクトリア~コートニー線の路線図が哀愁を誘う・・・。乗りたかったなぁ。

以上説明終わり。軽くまとめるつもりが随分と長い説明になってしまった・・・。



ドームカーの1階はラウンジになっていて、くつろげます。
寝台車の乗客はコーヒに紅茶、さらにお菓子まで食べ放題飲み放題。貧乏性の私は翌日ガバガバと摂取しました。育ちが知れますね。
カナダのコーヒークリームは日本のような植物油由来の似非クリームでなくて牛乳由来の本物のクリームなのが良いです。



夢にまで見た食堂車。モノホンの食堂車ですよ。
今更ですが今回はジャスパーまで乗車するので、食堂車を利用する機会は朝食と昼食の2回でした。夕食がないのはちょっと物足りない感じでした。バンクーバー出発時刻を早くして、夕食を提供できないものですかね?



部屋に戻るとベッドメイキングされていました。スバラっ!
今回、私と両親の3人旅行なんですが、部屋は2人用個室と1人用個室となっています。一応3人用個室はあるんですが、編成内に1部屋か2部屋しかないプラチナチケットで確保できませんでしたとさ。
なお寝台を予約した際に予約システムの都合で2人用と1人用を別々の会計で予約した結果、号車が離れてしまいました。これじゃ不便だと思ったんで、同じ号車にしてもらえるようVIAに問い合わせたらすぐに変更してもらえました。これは良い対応でした。
これは2人用個室で、部屋の中には二段ベッド、洗面台、トイレ、電源プラグ、扇風機などが備わっています。これは日本の個室と比べると中々の充実ぶりです。さすが豪華客車として建造されただけあります。



ベッド(上段)はこんな感じ。客車は車齢こそ古いですがボロさは全く感じませんでした。手が行き届いていて清潔です。
恐らく何度か更新工事を受けているんだと思いますが(電源プラグ設置はその最たる例でしょう)それでも不快感を感じなかったのはすごいと思います。



もうお眠の時間ですが、その前に最後尾のパークカーに向かいます。
パークカー含む後ろの2両は、他の寝台車と様相が異なっていました。壁はビニールのクッションでぶつけても痛くないし照明はLEDだし部屋の鍵はカードキーだ。そして漂う高級感。ああ、これが噂のプレステージ寝台か。
日本だったらA寝台スイートに相当するであろう豪華個室寝台です。とても高い。部屋は鍵がかかっていたんで中は伺えず。広報用写真を見てみるとなるほど豪華だって感じします。
2014年秋から運行を開始したまだ新しい寝台です。が、ガワは当然1950年代のステンレス客車なので徹底的に更新工事をかけたということになります。つまりこの客車、他の寝台なんかも含めてまだまだ使う気だな・・・。

ちなみに通路ですが、これたぶん日本の寝台車より幅狭いです。人とすれ違うことになったら身体がこすれ合うのは必至です。デブと鉢合わせた日にはどちらかがデッキまで後退しないといけません。
それと、日本の寝台車でよく見る通路の補助椅子ですがこっちにはないです。ドームカーやらパークカーがあるのにそんなチンケな装備いるわけないですな。通行の邪魔だし。



いよいよパークカーへ。88706号車(ex-8706)"Glacier Park"です。愛称はカナダの国立公園から取られています。プレステージ車に更新された際、原番号に8が追加されてインフレナンバーになりました。
細かいことを言うと、正確には展望車ではなく展望と寝台の合造車という風になります。プレステージ寝台が数室あるのです。ついでにドーム席もあります。



これが展望室だ!
ソファーがロングシート配置されています。先客がいたのであんま近寄るのはやめました。明日また来るので今回は軽い紹介にとどめておきます。



2階のドーム席。さすがにもう誰もいないです。
ちなみにドーム席の座席は固定されていて、向きを変えることは出来ないです。これは中間客車のスカイライン形ドームカーの座席も同様。日本と違って列車ごと方向転換するのが前提、という設計思想が伺えますね。
ドーム席の階下はバーになっていましたが平民が使う場所じゃ無さそうなので一度も利用しませんでした。



見るもん見たので、部屋に帰って寝る支度をします。なぜか私の1人用個室はベッドメイキングされてませんでしたのでアテンダントに聞いて、これもどういうわけか自分でセットするはめに・・・。なんでだ?お前がメイキングほうが楽しかろうと言う気遣いか?面白かったけどさ。
1人用個室も2人用と装備は同じで、ベッド、洗面台、電源プラグ、扇風機、そしてトイレが備わっております。え、なんでトイレ・・・。
しかも部屋の中にドーン!と置かれています。2人用はちゃんとトイレ用の空間があって部屋との仕切もあるんですが、1人用はこうドーンと・・・。使わない時は蓋をして足掛けに使えますが。あとベッドを展開している時はその下に隠れて使えなくなります。誰が言い始めたか「旅する独房」。確かにぴったりな名前だ。
個室にトイレを置くというセンスは未だに理解できません。第一臭いが篭ってアレだろうに(窓は開かない)。一応個室の外にもトイレがあるのでもっぱらそこを利用していました(というか翌日は個室にはほとんどいなかった)。両親の2人用の方も大きい方をする時は外でしろという協定を結んでいたようです。
なおトイレの写真はうっかり撮り忘れました。残念。



独房と書きましたが謎のトイレ配置が独房っぽく見えるだけで、至って快適な個室です。アメニティもひと通り揃っています。

というわけで、初めての客車寝台、初めての個室寝台を堪能すべく就寝したのでした。おやすみ。
翌日へ続く。


その12へ→

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