2015年7月11日(土)5時7分
ブリティッシュコロンビア州トンプソン川沿い VIA鉄道カナディアン号車内
翌朝になりました。よく眠れましたね。
列車はバンクーバー近郊を抜けるとフレーザー川に沿って敷かれた線路の上を走るのですが、恐らく既にその支流のトンプソン川に入ったのだと思います。
このように川岸の両側に線路が敷かれています。例によって持ち主がわからないのですが、どっちかがカナディアンナショナル(CN)の線路、もう一方がカナディアンパシフィック(CP)の線路だと思います。川沿いにしか鉄道を通す経路が無かったんでしょう。片方の線路が災害等で封鎖されても融通できそうですしね。第一この写真の部分、絶対山崩れ起きて線路埋もれたでしょう。
ちなみにいま対岸を走ってる貨物列車の貨車は空のダブルスタックです。いわゆる空コキ。
長い・・・先頭が見えない。
ていうか列車に注目する前に突っ込むべき所として、ここの山々って樹木が少なすぎです。視界いっぱいに荒涼とした山地が広がります。
どうも以前に山火事があったっぽいですね。木の燃えカスがあちこちに・・・。ただ既に山火事後に生えた木が成長してきていますね。
最近は山火事も自然のサイクルのひとつと捉える向きがあるようで、市民の命や財産に影響がないところではあえて放ったらかすようです。ただ鉄道会社の財産のひとつである線路はこの様子だとどうも放ったらかしにされたようですけど・・・。
へばりつくように敷設された線路。こういう線路はジオラマで見たことはありましたが、本当にあったんですね。
トンネルと岩盤シェルター(?)はなんだかアメリカ離れした景色です。日本でもこういうのは無いし、カナダ特有の鉄道風景のひとつと言えるかもしれません。
ホッパ車とタンク車で構成されたCPの貨物列車。
CPの貨物列車。重連補機にはユニオンパシフィックの機関車が連結されています。CPとUPはそれぞれ機関車を借りて運行できるみたいな協定があるらしいです。
貨車も含めてそこらへんの境界はかなり曖昧になっています。鉄道模型をやる側にとっては色々と変化をつけられて楽しいものですが。
カナディアンの先頭が見えたので。
今にでも山崩れに遭ってそのまま死ぬだろうなっていう地形ですね、ほんと。
CNの貨物列車。
CNもここを通るということは、やはりバンクーバー~カムループスの川沿い区間はCNとCPがそれぞれ線路を所有しつつも通行に関しては両社で融通しあってるということなんでしょうな。一社では単線の線路のところを両社がそれぞれ通行できるようにすれば複線として使うことが出来て貨物のスムーズな輸送が可能なわけです。
この区間はカナダ東西を結ぶ大幹線、特にCPにとっては他の代替ルートが無いのでここの輸送量を落とすわけには行かないのだと思います。なおCNには自社のプリンスジョージ経由の北回りルートが別にあります。またCPも自社線ではないですがアメリカ内に通行権を持つ鉄道があるのかもしれません。
貨車はタンク車、材木車、ホッパ車、有蓋車、無蓋車、車運車と多種多様。このような雑多な組成が現在も行われているのも北米貨物列車の魅力です。
繋ぐ貨車は種類も所有者も何でもあり、というのは鉄道模型をやる時に考え無しで走らせられるので楽で助かります。
朝日。今日もいい天気ですぞ。
この区間本当に大幹線のようで、割とひっきりなしに貨物が何本もすれ違っていきました。この景色からは想像つかないものです。
山の中腹には信号場がありダブルストックトレインが停まっていました。あれは多分近年に建設された新線なのかもしれません。
朝ご飯の時間になったので食堂車へと向かいます。乗客が多いので食堂車だけで2両(両者は離れたところに連結されている)、それを数回ほど回転させて捌いていきます。
メニューはオムレツ、じゃがいもの細切り、ハムと果物。コンチネンタルブレックファストです。ついでにコーヒーは飲み放題。食堂車にある厨房で作っているので美味ですぞ。
ちなみに寝台車の料金には食事も含まれています。座席車にはこれがないので事前に何か持ち込むかドームカーにある売店で買うことになります。
ご飯を頂いた後は、ドームカーへ。座って少しすると、8時前に最初の停車駅カムループス駅へと到着しました。定時だと6時到着なので既に2時間遅れてますね・・・。
ちなみにこれより前にも停車駅は設定されてるんですがどこも田舎駅なので、リクエストがないと通過してしまうというバス方式。カムループスはまあまあ大きい町なので必ず停車します。
左に目をやるとダブルスタックトレインが停車しています。貨物ヤードもあるのですな。
バンクーバーから同じ経路を走っていたCNとCPはここカムループスでふた手に分かれます。ジャスパーおよびエドモントン経由の北回りはCN、バンフおよびカルガリー経由の南回りはCPの路線になります。
入換中のEMD SD40-2形CN6023号機。SD40はボンネットが長いのが特徴です。
EMD SD70M-2形CN8892号機+GE Dash8-40CW形IC2455号機の貨物列車。ここで停車して貨車ごと入換に入りました。
転線してきたIC2455。CN8892はともかく後ろのIC2455は何ぞやという感じで、まず色が違います。青い。あと報告記号もICという聞いたこと無いやつです。
最初に報告記号について答えますが、これはアメリカの旧イリノイセントラル鉄道の報告記号です。イリノイ州シカゴから南に線路を伸ばしメキシコ湾のあるルイジアナ州ニューオーリンズまで続くアメリカ中部を南北に貫く路線などを持つ鉄道でした。「旧」および「でした」と書いたのは、この鉄道は現在CNに買収されて消滅したからです。
CNって実はアメリカにも路線を持っていて、このICの買収によってCNは大西洋、太平洋、そしてメキシコ湾という3つの海に接続するという稀有な鉄道になっています。CPもスーラインというアメリカ国内で運行するための子会社を持っていて、アメリカ進出をしています。他国資本の鉄道に自国の物流インフラの一部を握られていて、アメリカ的には許せてるんでしょうかねコレ?
そんなわけで、これはCNに買収されたICの機関車なわけなのです。買収した側は買収された側の鉄道の報告記号を継続して使うことができるのでこうなってるのです。
じゃあこれはロゴはCNだけどもICの塗装なんだね、と思っていたんですが実はロコモーティブ・マネージメント・サービスの塗装で、元は同社の機関車(ex-LMSX728)でした・・・。LMSの報告記号はLMSXで、末尾にXと付いているので車両だけ保有している会社ということになります。社名からして機関車のリース会社なんでしょう。
ICがLMSから機関車を購入した時にLMSの青塗装を変更せずそのまま使い、それからICがCNに買収されたという話なわけですか、ややこしいな。
最後にGE Dash9-44CW形CN2538号機。
(たぶん)誰も乗り降りしないままカムループスを発車したところで今日はここまで。
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