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北米project 3 ~Encouragement of Canadian Rockies. その22 【2015/07/08~18】

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2015年7月12日(日)20時9分
アルバータ州ジャスパー ジャスパー駅
日本の鉄道駅には駅前に引退した蒸気機関車が駅や町のシンボルとして保存されているというところがちらほらありますが、カナダやアメリカでも同様です。
ジャスパー駅にはカナディアンナショナル鉄道の蒸気機関車1機が保存されています。
写真はそれのテンダーに描かれた当時のCNのロゴ(正方形を斜めに貼ったロゴが当時流行ってたらしい)なんですが、ロゴの部分はリベットが沈頭鋲になってるんですね。細かいところに気を配っています。



カナディアンナショナルU-1-a形CN6015号機。これがジャスパーに保存されている蒸気機関車です。

1923年製造のU-1-a形(CN6000~CN6015)と1924年製造のU-1-b形(CN6016~CN6036)の2種類がありますが、ほとんど同一仕様のようです。37機全てがカナディアンロコモーティブ社で製造されました。1923年というとD50形と同世代になります。

軸配置はマウンテン(4-8-2 or 2D1)テンダー機で、動輪直径は1854mm(73")、全長は27,540mm(91' 4.25")、重量は261.720tということで日本最大の蒸気機関車C62形の動輪直径1750mm、全長21,475mm、重量88.83tを軽く超える長さです。いやまあ日本のSLと比べんなやC62可哀想やろとは思いますけどね。一応ボイラー圧力ではU-1-a形の210lbf/in2より高い227.573lbf/in2(16.0kg/cm2)で勝っています。

運用や配置先は正確には分からなかったです。ただ、カナディアンロッキー周辺の路線に配置されていた旅客機と思われます。
U-1-a形は動輪が4軸あるいわゆるD級なので貨物機なのかなと思ってしまいますが、恐らく旅客機だったと思われます。動輪直径が1854mmなのは貨物機としては大型で、恐らく3軸C級では山岳路線の勾配区間での粘着力が足りなかったためD級にして、それを確保していたんだと思います。蒸気暖房の引き通しもあったことですし。
カナダの山岳路線といえばカナディアンロッキーなので、U-1-a形はカナディアンロッキー周辺の区間に集中投入されたと推測されます。CN6015がジャスパーに保存されているのも現役時代に縁があったからと見るべきでしょう。平坦線でも長編成客車列車を牽引してたらしいですが、今回そこら辺は聞き流します。
ちなみに山越での貨物列車は5軸のE級が牽引していたとかなんとか。

CN6015は1923年8月竣工にして、廃車は1960年です。ちなみに廃形式は1962年になっています。その後1972年7月27日にジャスパーに静態保存展示されて現在に至ります。
屋外・屋根なし保存および冬は降雪という決して良くはない条件ながら、外観は光沢があり、大きな欠損部品も無さそうで、状態はこの上なく良好といえます。
この条件でこの状態というのは日本でも中々お目にかかれないのではないかと思います。



前頭部。
煙室扉の角が角型で前照灯が煙室扉中心にあるアメリカらしいスタイルです。ボイラーの前に突き出た給水温め器も力強い印象を与えます。
ナンバープレートがV字型の点灯式のアレでなく、プレート一枚というのもこれの古さを物語っているように見えます。



連結器周り。
小振りながらカウキャッチャーも装備されています。足場も兼ねているのが実用的で良いです。



横から。
シリンダーについて詳しいことは言えませんのでアレですが。
機関車の前に立っている人たちと較べてもらえば大きさが想像しやすいかなと思います。デカいんですよ。
柵の高さが低いのも見る側にとっては高得点です。柵は必要でしょうけど、このくらいの高さあれば注意喚起としては十分だと思います。というか機関車によじ登ろうとか部品を盗もうとかそういう考えの人が少ないのかなって思います。モラルが高いんでしょうね。



アメリカ型蒸気機関車には欠かせない鐘。ボイラー上部左側にオフセットされています。



動輪。
この時代らしいスポーク車輪です。

ちなみに形式名のU-1-a形ですが、ちゃんと意味があります。
最初の文字"U"はCN社内での軸配置の呼称です。AからXまであって、"U"ならマウンテン(4-8-2)およびノーザン(4-8-4)、"K"ならハドソン(4-6-4)および動輪直径70”(1778mm)以上のパシフィック(4-6-2)といった風になります。
次の文字"1"は、その系列の機関車の何番目の形式なのかを表しています。"U-1"ならU系機関車の1番目の形式という感じです。ちなみにU系機関車はU-1形からU-4形まで製造されました。
最後の文字"a"は機関車の形式のサブタイプです。"U-1-a"ならU-1形のa型という風になります。日本で言う500番台とか1000番台とかそんな感じです。U-1形のサブタイプはf型のU-1-f形まで造られています。f型までくるとa型とは煙室扉の流線型化やテンダータンクの円筒化など、外観は全く異なったものになっています。

とこんな風に、形式名である程度機関車の仕様が分かるようになっています。今は蒸気機関車が走ってないから覚えても役に立たない知識ですけどね。
なんですが、この社内での形式付番は実は現在のディーゼル機関車にも行われています。前回見たCN2152号機ならばEF-640f形という社内形式が付いています。付番法則は蒸気機関車とは全く異なっていますが、それを説明するのはさすがにそれは脱線し過ぎなので今回は省略。
ただ、カナダの鉄道ファンがこの社内形式を使っているところを今のところ見たことがないので、弊ブログでも引き続きメーカーの形式名とロードナンバーのみでいきます。あしからず。3種類も番号書くのダルいし。



テンダー。
テンダーには10000imp gal (45,460L)の水と15.4tの石炭を搭載できます。ただし燃料は後年石油5000imp gal(22,700L)を搭載できるように改造された模様です。



最後に遠くからロッキーの山々をまじえ撮影。
どの部分を見ても綺麗な状態の機体で、地元からとても愛されているのだなというのを感じました。
U-1-a/b形の現存機はこのCN6015ただ1機のみなので、これからも末永く大切にされることを祈ります。



機関車を見終えた後はジャスパーブリューイングに入ります。クラフトビール醸造所です。パブもやっていて自分のところのビールを一緒に振舞っています。パブ併設の醸造所というのはこっちでは普通ですね。



地ビール3種を味わいます。何がどうだったかはもうあまり覚えてないです。左の黄色いビールは甘めだったかな?



店内からビールタンクが見えます。



飲み終えて店を出ます。
だいぶ日暮れが近づいてきましたが、それでもまだ山頂に日光が届いています。



21時半頃になってようやく暗くなってきました。
軽く町を歩いていました。山間部の観光村といった雰囲気でした。ジャスパーの町はいつからか建物を新しく建てることが禁止されているらしいので、町をこれ以上大きくしようがないそうです。なので観光客の収容人数が少ないとか。
町では特に目立った収穫はなく、暗くなる前にB&Bに帰りました。
これでこの日は終了です。翌日からはいよいよカナディアンロッキーのあんあところやこんなところに足を運びますよ!


その23へ→

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