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ヘリテージパーク編5回目です。
牧場のようなところへ来ました。なんだかあらゆる設備が整っていて、園内だけで自給自足出来るんじゃないかって思いますね。
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豚。食べられる奴や。
西洋人は家畜を隅から隅まで食べるという習慣はないイメージですが、カナダだと中国系あたりに耳とか足とか頭とかの需要がありそうで、無駄なく食べていそうです。
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牛。これも食べられる奴。
園内で屠殺とかするんでしょうかね・・・?気持ちよさそうに昼寝している横で考えるもんじゃないですが。
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アヒル。もちろん食べられる奴。
家畜ばっかだな。そら牧場だからな。
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ラガン駅 Laggan station。
線路が分岐していますが、右に分岐するのは本線で、左に分岐するのはデルタ線への側線です。デルタ線の先は行き止まりになっているので方向転換に使われるわけですね。
デルタ線の終端は機関車はもちろん客車2両分くらいまでなら入りそうな長さを持っています。列車の編成ごと方向転換できるというわけです。
カナダ・アメリカではデルタ線が今でもバリバリ使われていて、長距離列車の方向転換に使われます。もちろん客車ごと方向転換をします。なのでどっちの方向の列車でも荷物車が一番前に、展望車が一番後ろに連結されるわけです。さすがに便数の多い短距離の通勤列車だと煩雑になるのか制御客車を連結して方向転換を省いている場合が多いです。
ちなみにデルタ線というのは日本限定で通じる言葉で、英語圏だとWye(ワイ)と言います。気をつけような。
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デルタ線の脇の道を歩いていたらインディアンの居留地みたいなところにたどり着いたぞ。残念ながらインディアンには会えませんでしたが。
北米大陸開拓とインディアンは切っても切れない関係なのでいない方がおかしいくらいですね。何かと対立していた野蛮なアメリカ人とそこのインディアンと違って、カナダのインディアンは仲良く共存していました。まあビジネスライクな共存だったと思うんですが。
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絶対物騒だゾ、っていう砦が見えてきました。ゲリラのアジトみたいでかなりヤバそう。
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こういうところには必ず警備兵がいるもんですが、何故かいなかったのですんなり入れました。ガバガバすぎんよ。
営門にはハドソン湾会社 Hudson's Bay Companyの文字が。Hudson's Bayといえば、ショッピングモールによくあるオサレな衣料品店じゃないですか。ブラックマンデーの時に1回行ったことあるよ。ずいぶんと怪しげな事業をやっていたんだな。
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塀の中はこんな感じで、マジで映画に出てくるゲリラのアジトって雰囲気がしてヤバイ。絶対まっとうな商売してないよこれ。
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室内は簡素ながらもどことなくおしゃれな感じがしなくもなく。ここは談話室なのかな?
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別の建物に入るぞ。
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あっヤバい(察し)
毛皮が並べられています。これってアレか、毛皮商か。となるとここは毛皮貿易の拠点か。なるほどね。
欧州人の北米大陸開拓と毛皮貿易もまた切っても切れない関係でして、経済面ではもちろん社会的政治的にも重要なものでした。かなり大きな力を持っていました。なにせ戦争の火種になるくらいです。
カナダ(当時はイギリスの植民地でしたが)、そこで毛皮交易をしていたのがさっき出てきたハドソン湾会社でして、先住民から買ったビーバーの毛皮を本国イギリスへえっさほっさ運んで利益を出していました。1670年にチャールズ2世、ルパーツ皇子ほか十数名の投資家により設立されたクッソ歴史のある株式会社でして、いわゆる勅許会社というもの。王室から特別な許可状をもらってその地域での貿易や生産を独占できるというやつです。ご存知東インド会社も勅許会社のひとつです。利権とか王室との癒着とかヤバそうだなあ(小並感)って感じです。
その目的は当時フランスがはびこっていたカナダ地域の毛皮交易の市場を奪い取ってフランスをけちょんけちょんにするため。当初の目的通り1763年のパリ条約でシオシオのパーにされたフランスはカナダから撤退し、その交易範囲は留まる所を知らず。最初の交易地域はハドソン湾周辺だったのがカナダ西部にまで広がっていきました。
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ハドソン湾会社が先住民と取引していた毛皮の中で特に重宝されていたのがビーバーでした。
当時のヨーロッパではビーバーの毛皮から作ったフェルト帽が大流行。貴族のステータスになっていた高級品でした。ヨーロッパのビーバーは既に乱獲されまくっていて種の存亡の危機で「ビーバー獲りすぎて絶滅しそうンゴ」でしたが、その時カナダを探検していたヨーロッパ人が「こっちにはビーバーたくさんおるやんけ!」と北米原産のビーバーを見つけてしまい、以降カナダのビーバーは乱獲されまくってしまいましたとさ。完全にとばっちりなんだよなぁ・・・。
ちなみにこの建物、カナダではこれを砦と呼んでいますが、この砦は1835年に建てられたロッキーマウンテン・ハウスを復元したものとなっています。この砦の中に所長、貿易商長、それと合わせて30人の貿易商、労働者、事務員、通訳者、見習いが働いていました。
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ビーバーの哀れなお姿・・・。
これはまだ下処理前の状態で、この後裁断して保護毛という上側の毛皮を抜き取ります。そうすると下毛が見えてきて、これがフェルト帽などの生地に使われます。
1930年代にカナダのビーバーは絶滅寸前にまで追い込まれましたが、今では保護活動のかいあってだいぶ数が回復してきたみたいです。昔はひどい目に合わせましたが、現在はカナダの歴史上重要な動物として大切に扱われているみたいです。
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ビーバーの開き。
ちなみにその後のハドソン湾会社ですが、1870年にハドソン湾周辺のルパートランドをカナダ政府に返還、毛皮交易事業から撤退し、以降は小売業に移行して現在に至っています。現在まで存続している会社としては世界最古とも言われているようで。
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外に出ると畑が。大麻とかそういうのじゃなかろうな・・・?
ハドソン湾会社については所々書き忘れているところがありそうですが、中々書くのが大変なのでとりあえずここまでで。あとは自分で調べてくれ・・・。
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