お待ちかねの日本機、愛知D4Y彗星(1940年・156機目)
日本海軍の艦上爆撃機です。ダイムラーベンツDB601液冷エンジンをライセンス生産したアツタ/ハ40エンジンを搭載した日本軍機では珍しい液冷エンジン機です。でもここにあるのは空冷エンジン・・・。
これ、いい加減な復元をしたわけではなく、空冷エンジン搭載型がちゃんといたのです。というのも日本のお粗末な工業力ではドイツの至宝DB601をコピーすることは出来んかったのです。不具合出るわ量産も出来んわで実用できる代物ではなかったのですね。
そこで、空冷の金星エンジンに換装することで打開しようとしました。なので液冷エンジン機特有の細身の胴体に太い空冷エンジンが組み合わさってなんとも不格好になりました。エンジンを空冷→液冷化した航空機はよく見ますが、その逆は世界広しと言えど日本くらいじゃないでしょうか。しかも前者は性能向上が目的で、後者は性能不足によるその場しのぎですから、なんだか情けない気持ちに。
まともな彗星は世界で2機しか残っていないので実は貴重な機体なわけです。それを残してくれていることには素直に敬意を表します、本当ですよ。でもここの彗星は自分から見てもいい加減な復元がされていて、資料性は無いと見ていいと思います。靖国神社の機体のほうがマシかと。
まず型式ですが博物館によれば「D4Y3彗星四三型」とのこと。町内の彗星博士なら分かると思いますが、D4Y3は三三型でして、四三型はD4Y4です。名前からしてテキトーなのです。
三三型/四三型共に金星エンジンを搭載した空冷機なのは共通しています。なおこれのエンジンはR-1830エンジンに換装されています。まあこれは仕方ない部分もありましょう。
また、着艦フック等艦上運用に必要な装備を撤去しているので、陸上基地で運用する仕様になっている点も同じです。
どっち付かずな機体なんですがどっちかと言うと四三型に近いと思われ。理由としては胴体爆弾倉に搭載されている爆弾ですね。
爆弾倉からはみ出るくらい大型なんですが、これは800kg爆弾です。となると、800kg爆弾を積めるように改造した特攻仕様の四三型なのだ、となるのです。エンジンカウルの燕や尾翼の数字も特攻隊の再現のようですし。ただし四三型のもうひとつの特徴のロケットエンジンは付いておりませぬ。
しかしですねこの機体、四三型のくせに着艦フックが付いているんです・・・。もう深く考えるだけムダな気がしてきます。
色々書きましたが雰囲気を楽しむ分には十分ですし、これを今まで残してきたことについてはやはりありがたいのです。
この角度からだと本来無いはずの着艦フックが見えるかと。
エンジン下にはパンが敷かれていて、エンジンは回せる状態なのでしょう。ただし飛行はできないと思います。
三菱J2M3雷電二一型(1942年・157機目)
日本海軍の迎撃用戦闘機です。局地戦闘機、乙戦とも呼ばれますが極東のド田舎でしか通用しない名前です。ちなみに黒鉄重工では日本海軍のデブとして親しまれています。
海軍の戦闘機なんですが、端から空母運用は考えられておりませぬ。日本海軍の場合、やけに陸にも根を張っているんでそれの防衛のための機体なんでしょうね。
爆撃機用の直径の大きいエンジンを搭載したため機首が太く、胴体もそれに合わせて大型化した日本機っぽくない形状なのです。
武装は主翼の20mm機関砲*4門。爆撃機相手なので重武装なのだ。なおお馴染みの過給器の貧弱さで高高度性能がダメなので高空を飛ぶアメリカ爆撃機に弾が届いたかと言うとどうだったんでしょう?
下から。機関砲が左右で前後位置がズレて配置されているのは給弾ベルト(ベルト式なのかは知らないけど)がそれぞれ被らないようにするためですね。
そういうわけで内側の機関砲は主翼から飛び出ているのです。ただ、砲身が剥き出しなのはあまり感心しないですかね。スピットファイアみたいに覆いを付けるとかすれば良かったのに。抗力低減のために層流翼を取り入れたと言う割には、あっふーんという気がしないでもなく。
風防も日本機にしては珍しいファストバック型です。後ろなんて見なくていいからね。
なお雷電の現存機はここの1機だけとめちゃ貴重なのです。ありがたいなぁ。
でも当時は格納庫の端っこに置かれていてそれはもう見にくいものでした。たまに位置の入れ替えがあるようですので、たまたま見やすい位置にいる時に行けることを祈るだけです。
三菱J8M秋水(1945年・158機目)
プレーンズ・オブ・フェームの黄色いニクい奴。なんかドイツのMe163に似てるなと思った人は鋭いです。ドイツからの技術供与で造られたMe163コメートの劣化コピー機なのです。
これで憎い憎いB-29を迎撃するつもりでいましたが、ドイツでもまともに運用できなかったMe163を(ロケット燃料が2分しか持たない、ゆえに行動可能範囲が狭い、ロケット噴射後は滑空するだけなので敵にとっていい鴨、敵がMe163の運用基地から離れた飛行経路を飛ぶだけで航続距離が短いMe163は無効化された、等々...)1945年の日本で運用できるはずもなく、試作だけで終わりました。
なお量産の暁には爆撃機編隊の中に飛び込んで爆発四散する、特攻兵器として使うつもりでした。本当胸クソが悪くなる・・・。
Me163とはほぼ同じ形状をしていますが、機首に小さなプロペラが付いていないのが秋水の特徴です。Me163のプロペラは電源確保用の発電機を回すためのもので、アレを回して飛ぶってわけじゃないです。一方秋水では電池か何かを積んで飛んでいました。
他にも細かな違いがあるそうですが、別に探すほどでもないので気になる人は各自研究してみてくださいまし。
ここの個体は例によって戦後アメリカが珍しがって接収した3機のうちの1機です。他に現存機はないのでやはり貴重っちゃ貴重。
ドイツの断末魔3号ことフィーゼラーV-1飛行爆弾(4時間半ぶり2機目・通算159機目)
巡航ミサイルの奔りといえる空飛ぶ爆弾。アメリカがやたら接収したんで主要な博物館ではよく見かける兵器です。詳しいことはこっちで書いてるんで、はい。
日本が使った酸素魚雷のレプリカ。映画トラ・トラ・トラで使われた小道具だそうな。
燃料の燃焼に純酸素を使うことで空気と比べて容積に対して効率よく燃焼できるようになった長射程が自慢の魚雷です。
ドイツの断末魔4号ことバッヘムBa349ナッター(1945年・160機目)
機首がなにやら面白そうな飛行機。レプリカですが、初めて見る機体です。使い捨て有人対空ミサイルとでもいうべき兵器で、まあ、まともなもんじゃないです。
運用思想は既に見たMe163と同じで、ロケットエンジンで急上昇して連合軍の戦略爆撃機編隊に接近します。そしたら機首先端のカバーを分離(!)、内側に詰まったロケット弾を発射して爆撃機を撃墜するというもの。あの機首のツブツブはロケット弾なのですよ。ビックリドッキリメカかな・・・。
ただし、攻撃後滑空して基地への帰還を考えていたMe163と異なって、Ba349は攻撃後にパイロットは機体を乗り捨てて(!)パラシュート脱出するという豪快な運用です。機体は放棄され、エンジン燃焼も終了しているのでただ墜ちるだけ。使い捨てですね。
ムチャな機体なんですが制式化されて実戦配備されます。ですが実戦投入される前に降伏したので、実戦経験しないまま終戦を迎えたとさ。
一度発進したら二度と着陸することはないので降着装置が付いてないとか、異様にアスペクト比の小さな主翼とか、本当に脱出できんのかな?というコックピットとか、いろいろ切り詰めてんなぁという機体に見えます。本当、追い詰められると何を考え出すか分かりません。
ブリストルF.2B(1916年・161機目)
これも映画撮影用のレプリカ。よく知らない機体なのですが、中々好評な機体だったそうな。
フィーゼラーFi156Cシュトルヒ(1936年・162機目)
ドイツの偵察/連絡機です。数十mの滑走距離があれば離着陸できてしまうスグレモノ。なので場所を問わない運用ができたのです。機体が軽い割にエンジンが強力だったんですね。
飛行はできませんが一応本物由来の機体だそうです。エンジンがなかったのが残念。
これにて外国機の格納庫を攻略。中々珍しいのがいるんだなという印象です。雷電や彗星は日本機ファンなら見ておいて良いかと。
POFもそろそろ終盤戦ですね。というところで今日はここまで。
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