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Channel: 黒鉄重工
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北米project 4 ~Is the order a warbird? その39【2016/03/04~10】

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外国機の格納庫をやっつけて再び外へ。先に見た屋外展示場とは別の場所に屋外展示されている機体がちらほらいました。ただし、機体の状態は割と良いです。
これはPZL TS-11イスクラ(1960年・163機目)
ポーランド製のジェット練習機で、初めて知った機体です。ワルシャワ条約機構軍の標準練習機となるはずでしたが競合相手に敗れてもっぱらポーランド空軍のみで使われていました。垢抜けた形状をしていて、なかなか好みの機体です。
主力機の座を逃したので400機ちょっとしか造られていないんですが、POFもよく手に入れましたね。



ノースアメリカンQF-100Dスーパーセイバー(3時間ぶり2機目・通算164機目)
さっきも見たセンチュリーシリーズ軍団の先発。D型は爆撃能力が付与された戦闘爆撃機です。
迷彩塗装の割に機首と尾翼が蛍光オレンジで塗られていて派手なんですが、これの型式にQが付いていることから無人標的機に改造された機体といったところでしょう。



ノースアメリカンQF-86Hセイバー(3時間ぶり2機目・通算165機目)
これも無人標的機に改造された機体ですね。
H型は初めて見た型式で、低高度爆撃装置を搭載した戦闘爆撃機型です。戦術核爆弾も搭載可能で、本当に核爆撃大好き空軍なんだなと。他にも、胴体形状、エンジン、機銃に至るまで大幅な設計変更が加えられています。
胴体は太くなっているので在来型と形状が異なるのですが、パット見では見分けがつかないです・・・。機銃がF型までの12.7mm*6門から20mm*4門に変更されたのがわかりやすい違いです。機首の機銃の数が違うでしょ?



セイバー2代が揃い踏み。こういう並びに弱いのだ。



ミコヤン・グレビッチMiG-15(1947年・166機目)
朝鮮戦争で活躍したソ連のジェット戦闘機です。
朝鮮戦争の開戦から半年経った頃に投入され、F-51(=P-51)やB-29を撃墜します。それに泡を食ったアメリカ空軍が慌てて投入したのが最新鋭のF-86となるのです。対F-86では若干劣勢とされていますが、実は運動性ではMiG-15の方が上なのだという調査結果も出てます。



ミコヤン・グレビッチMiG-17(1950年・167機目)
MiG-15の改良型。アフターバーナーが使えるエンジンを積んでますが、超音速飛行は出来ませぬ。
MiG-15と比べて胴体が延長されてたり主翼の後退角がキツくなってたり違いはあるんですけれども、上下から見た時でないと分かりにくいものであり、前後左右から見た時に両者を見分けるのはかなり難しいです。これはMiG-15だと説明してもほとんどの人はころっと騙されるでしょう。
見分ける方法は、主翼上面に付けられている境界層板の枚数です。主翼の前縁と後縁に渡って板状の部品が主翼から飛び出るように取り付けられているのが境界層板です。これが片翼に3枚あるのがMiG-17、2枚なのがMiG-15なのです。これも見る角度によっては見えなくなるので絶対的ではないですが、それでも数の違い等明確な識別点であるので胴体長さや主翼の角度よりも分かりやすいと思います。



ミコヤン・グレビッチMiG-15UTI(1分ぶり2機目・168機目)
またもやMiG-15ですが、これは複座練習型のUTI型です。ただでさえ小型の単座戦闘機を複座型にしたので無理矢理感が感じられます。後席はめっちゃ窮屈そうです。
アメリカは西側の中ではソ連機の展示が多い国でありますが、展示しているMiG-15の半分はこのUTI型な感触です。MiG-15UTI以来、MiG-21までの間に複座練習機は造られなかったので、これが長期間練習機として現役だったそうな。
なので後年まで機体が現存して、他の型式よりも入手しやすかったというのも理由のひとつでしょうね。

機首にはレッドブルの牛が描かれています。当然、当時の塗装ではないわけですが、レッドブルが機体の整備保守に資金提供しているといったところでしょうか?レッドブルは他にも真っ赤なMiG-15を持っていて、こちらは飛行も可能な代物です。レッドブルってやけに飛行機が好きですよね。



ミグとセイバーの並び。共に朝鮮戦争とベトナム戦争で相まみえた同士です。こういう並び良いよな~。



F-86とMiG-17。



うーんたまらん(語彙力



一番奥にある格納庫、P-38格納庫へ入ります。
アメリカ人に人気の機体というとP-51、B-17、そしてP-38が三強じゃないでしょうか。
特にP-38とB-17は頭一つ上の扱いを受けているように見えます。専用の格納庫や展示棟を誂えられている例が複数あるのは私が見てきた中では(サンプル数が少ないですが)この2つだけです。
B-17はドイツへの反攻作戦において戦略爆撃でドイツを火の海にした爆撃機として有名ですが、P-38はいうほど持ち上げられる場面あったかなぁ?というところで。
アメリカ軍パイロットの撃墜王1位と2位の搭乗機はP-38ですけども、太平洋の辺境での戦いですし、相手も極東の田舎侍だし、根拠としては微妙な気が。ここらへん聞いてみればよかったなと。
ちなみに海軍の機体はどれもあまり人気なさそうという感じです。陸軍と海軍、どうして差が付いたのか・・・慢心、環境の違い・・・。



ロッキードP-38Jライトニング(4時間半ぶり2機目・通算169機目)
アメリカ陸軍の双発戦闘機です。エンジンが2発になれば強さも2倍になるのでは?という考えから当時各国で流行していた双発戦闘機です。ところが、重くなった分運動性が下がるという点は見過ごされていて、どこも戦闘機としては失敗してしまい他の用途に使われていく中で、唯一P-38だけがそれに成功したと言えます。
成功の要因はズバリ排気タービン(ターボチャージャー)の搭載によるところが大きいです。排気タービンを外されてイギリスに輸出された機体たちは鳴かず飛ばずだったと言われています。過給器によって増強されたエンジンパワーに物を言わせるマッチョな戦闘機なんですよ。

とはいえ、エンジンと排気タービンを2個ずつ使うのはいささか値段がお高い存在であり、後にP-38に匹敵する性能でしかも値段の安いP-47やP-51が投入されると高級戦闘機のP-38は追いやられていきます。レーダーを搭載して夜間戦闘機に使うには拡張性もなかったのでせいぜいカメラ偵察機に転用されるくらいでした。維持にもお金がかかるので終戦後にあっさり退役します。
この個体も本土で訓練機として使われただけで、終戦後ソッコーで退役されたやつです。1988年に飛行可能状態まで復元されたとのこと。



P-38の主脚配置って前輪式なんだね、と改めて気付く。主脚より後ろがかなり長く思えますが、これで尻餅つかないんだ。
エンジンポッドから後ろに延びる2本の胴体が外観上の一番の特徴なんですが、双胴にした理由はあまりよく分からん。性能向上に寄与しているとも思えず。
ただ、この形状が後に1950~60年代のアメ車によく見られるテールフィンに繋がったと思うと、意義はあったのかなと(笑)
双胴を支持する役目もある水平尾翼ですが、面積が広いねぇ。



胴の途中で飛び出いている突起はエンジンクーラーです。
垂直尾翼はとくに捻りも無さそうな形状ですかね。



エンジン周り。
エンジンは低高度でしか使い物にならないことでおなじみアリソンV-1710。排気タービンは上側に付いていて、ここからだと見えませぬ。
プロペラ軸の下についているラジエーターは、このJ型から大型化してP-40のアゴラジエーターみたいな形になっています。



武装は12.7mm*4門、20mm*1門を機首に集中配置。殺す気満々ですね、こりゃ。



表に出るとなんか変なのがいました。ベルX-2(1952年・170機目)って書いてありますね。これはレプリカなのですけれども。
アメリカの実験機軍団Xプレーンズの2番目の機体です。最初のXプレーンズであるX-1は世界で初めて音速を超えた機体として有名です。X-1もベル社が製作しまして、X-2もそれと似たような形状をしています。
X-2は後退翼の実験機で、X-1の主翼を後退翼にしたような感じの機体で、エンジンもロケットエンジンです。
2機製作されましたが両方共実験中に墜落してテストパイロットも死亡する事態になっています。うーんこの・・・。
ところでこの風防ってめっちゃ前見にくくないでしょうか?

といったところで今日はここまで。次回から最後の格納庫を攻めます。


その40へ→

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