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北米project 4 ~Is the order a warbird? その45【2016/03/04~10】

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モハーベノーザン鉄道蒸気機関車(1917年ダベンポート製)
謎機関車。恐らく同鉄道の#3だと思います。
車輪配置0-6-0ST・・・つまり前輪無し-動輪6-従輪無し、サドルタンク装備の蒸気機関車です。タンクがボイラーを覆うように取り付けられとるのが特徴で、機関車を正面から見た時にタンクの形状が馬の鞍に見えることからサドルタンクと呼ばれとります。
サドルタンクの利点は一般的なタンク機関車の形態であるサイドタンク式よりも容量を多くできること。欠点は重心が高くなってしまうこと。
モハーベノーザン Mojave Northern Railroad は全く知らない鉄道なのですが、1914年に設立された約28km(17.5mile)のセメント工場の専用線のようです。そりゃ知らんわ。
この風貌で専用線となると現役時は貨物ヤードの入換機として使われていたというところでしょうか。タンクの容量が多い→重量が重い、ということは牽引力増加に繋がります。サドルタンク機が産業用機関車によく使われていたのにはそういう理由もあるのでしょう。
1957年にディーゼル機関車に置き換えられて引退、その後は保存鉄道を転々としてここに至るそうな。



後ろ側。キャブの後ろに何も無く非常にすっきりとしています。
要は燃料を入れる石炭庫が無いわけですが、たぶんこれは重油焚きなのです。たぶん蒸気ドームとキャブの間にある四角い箱状の容器が燃料タンクだったと思います。

キャブはずいぶん荒廃が進んでいますがタンクは再塗装されているので、段階的に補修が行われているのかもしれません。



Source of map: Orange Empire Railway Museum (http://www.oerm.org/grounds-map/)
また地図で現在位置を確認しておきましょう。今は4番の北側にいます。そこから北に向かって歩いていって前回に通った2番の横の留置線へ戻ります。



ロサンゼルス鉄道の路面電車のダルマ。台車やトロリーポールが無い割に車体の状態は悪くないのが不思議。
どこか別の所から運び込んできた電車なのかも。



2番の留置線に戻ってきました。
海軍の有蓋車とどこかの長物車。この6台もあればそこそこの貨物列車が仕立てられるのでいいですね。お金を支払えば貨物列車をチャーターして本線上で撮影したりカブースに同乗したりできるとかできないとか。
貨車を動態保存して走行させるのは日本では無いわけではないけどほとんど見られないので、こういうのは羨ましいなと。



木造カブースのダルマ。なんだか使用感があるので、物置か秘密基地にでも使っているのかも。
カブースは居住性が良いのでちょっとした離れに使うのいいかもしれない。ていうか良いよねそういうの。



サザンパシフィック鉄道#1213カブース(1942年自社製)
アメリカで鉄道会社の自社工場製の車両って初めて見たかもしれない。
C-40-3形という型式名あり。よく見るキューポラ式カブースですが、SPのキューポラ式はこれが最後で、以降はベイウィンドウ式の製造に移りました。



サザンパシフィック鉄道#541411長物車(1945年製)
普通の長物車だな~以外に感想が浮かばないやつ。

ところで鉄道博物館というのは地域性が強くてですね、アメリカにも全米的な鉄道博物館があるにはあるんですが少数派で(収蔵車両も薄く広くでどこか物足りない)、たいていは博物館の周辺地域に特化したところです。日本だってそういう傾向ですよね。
オレンジエンパイアだったらサザンパシフィックとユニオンパシフィック、それとまだ殆ど登場してないですがロサンゼルス鉄道に自信ニキという具合です。どの鉄道もロサンゼルスが縄張りなわけです。逆に東海岸の鉄道、例えばニューヨークセントラルとかペンシルバニアとかは1台もいないわけです。ここらへんは、古今東西の機体を一堂に集めました!という傾向がある航空博物館とは対照的です。
なので1箇所の博物館を回っただけで全体を見渡せるということは難しいのであります。最低でも西海岸、中部、東海岸の各博物館、できれば各大手私鉄の縄張り内の博物館を回っておくと、ただでさえ裾野が広範で底の知れないな北米の鉄道が少しは見えてくるかもしれません。つまりまだまだ全然回れてないんですよ、アテクシ・・・。



謎タンク車。表記類が一切ないので調べようがない。



GATX#80601タンク車(1952年自社製)
シングルドーム式タンク車・・・要は液体を入れる口が1つだけのタンク車です。積載物は軽油のようです。
GATX(ガテックスと読むんだそうで)は鉄道車両リース会社の大手でございます。貨車はもちろん機関車だって貸します。展開地域は北米に留まらず欧州、インドまで。さらに陸だけじゃ収まらず空や海にまで手を出しています。当然現存する会社で、北米に於いては車両運行こそしないですが、十分に大手私鉄と言える規模です。
GATXという社名は、貨車に表記される報告記号をそのまま社名にしちゃったもので、元はGeneral American Transportation Corporationという社名でした。リース会社の社名ってそういうの多いな。



ユニオンタンクカー#9210タンク車(1937年自社製)
リベット留めがイカス古めのタンク車。型式名X-3形。この時代だとまだ溶接は無かったか。



タンク車*3、長物車、カブース。あとは何か適当な入換機でも繋げれば貨物列車の出来上がり。
乗客の運賃が資金源という場合が多い日本の動態保存だとお金を産まない貨車の扱いはひどいものですが、さすがアメリカは違うなと。やっぱり寄付で賄っているのかな?



地図上のCentral Avenueの広いところにいます。
あんまよく調べませんでしたが、トラックが2台。鉄道の作業車なのかしら?
外板がアレですが、動きそうな気配はしますね。



謎バス。たぶんGMCトランジット(オールドルック)です。以下そういう体で話を進めます。
今朝空き地にたくさん止まってた金魚鉢ことニュールックのひとつ前のモデルで、それに対して古いモデルなので"オールド"ルックというあだ名が付けられたのです。
オールドルックは2つ目の前照灯が特徴ですがこれは4つ目なので、なんだこいつは・・・?と頭を抱えましたが、どうも1959年以降のマイナーチェンジ版のようです。

オールドルックは1940年から製造を始めたわけですが、1959年に後継のニュールックが登場します。普通ならここでオールドルックは生産終了になるわけですが、実はその後も1969年まで10年間ニュールックと並行して製造が続いたのです。
ニュールックは良いバスですが、新型のニュールックよりも安価に調達できるオールドルックを買い続けるほうが魅力的な、財政の悪い小規模の事業者からの需要があったのです。GMCもオールドルックの生産設備の償却は済んでいるので並行生産しても問題なかったそうな。
で、ニュールック登場後にオールドルックはマイナーチェンジを受けまして、そのひとつが前照灯の2→4つ目化でした。少しだけニュールックみたいな顔つきになりました。
オールドルックの総生産数は3万8千台で、内マイチェン車は多くて数千台程度と言われていますので、現存しやすい後期型という点を考慮しても少数派と思われ。そういうバスなのです。

他にオールドルックの特徴といえば側面のバス窓です。上下2段に分かれた窓で、下段は開閉式、上段は固定式、上段窓はHゴム固定で四隅が円形になっています。特にこの上段の隅が円形になっている固定窓のことをバス窓と指します。
このバス窓を"バスで"本格的に採用したのがオールドルックなのです。世界初はPCCカー(路面電車)と言われとりますね。その後そのバス窓をいすゞが模倣して日本にも広まってったのです。日本のバス窓の原点と思うと感慨深いですぞ。

少し脱線しますが、バスの横に停まっているクライスラー PTクルーザー、いい感じに1930年代の流線型要素を取り込んでいてカッコイイですよね。フロントフェンダーとリアが最高。アメ車の中でもかなり好きな乗用車です。あんまり長続きせず、とっくに生産終了しているのが悲しい・・・。



地図上では1番の位置にあるロサンゼルス鉄道の車両が収められている車庫。この中は後で見に行きます。
これって1067mm幅の狭軌鉄道だったんですね。この線路幅が幸いしたのでしょう、後ですごい隠し玉に遭遇するわけですが・・・。

今日はここまで。


その46へ→

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