ヘリテージパークことカルガリーにある遺産公園歴史村の2回目です。
第1目標のSL列車を見た後は第2目標の鉄道関連施設にカチコミます。扇形車庫、転車台、工場、小さなヤードなど一通りの施設が揃っています。
写真の建物は扇形車庫 Railway roundhouseです。蒸気機関車を置いておくための車庫です。転車台と合わせて運用される車庫で、転車台から延びる線路に合わせて車庫を建てたので建物が扇状になったから扇形車庫と呼ばれているわけです。
この扇形車庫は1981年に新築されたものですが、1915年に建てられたカナディアンパシフィック鉄道(CP)の扇形車庫を再現しているとのことで、実際に機関車の整備をこの中で行っているようです。SL列車は季節運行なのでオフシーズン時に整備しているんでしょう。
ちなみに当時の整備士は週6日、12時間/日労働だったらしく、SLや石炭のごとくなかなか真っ黒な職場だったようです。
ちょっとしたヤード。
台車や貨車が転がっていて、それっぽい雰囲気。
タンク貨車CGTX6010。貨車のリース会社カナディアン・ゼネラル・トランジットが1935年に製造しました。
容積は5180英ガロンあるいは6100米ガロンもしくは23㎥。ガロンは英国式と米国式で単位が異なるので気をつけないととんでもないことになるかもしれませんぞ。何を運んでいたのかは分かりませんが、石油系じゃないかなぁ?
それと日本ではほぼほぼ見かけない業種なんですけど、鉄道車両のリースで経営しているって会社がこっちにはそこそこあります。リースはアメリカで発展してきたということもあり、カナダでもこんなところにまで浸透しているようです。
カナディアンパシフィックラッセル除雪車CP400884。1911年CPアンガス工場製。アンガス工場はモントリオールにあるカナダ東部の一大整備工場でしたが1992年に閉鎖されて現在は住宅地になって跡形も残っていないとか。
日本でもおなじみの雪かき車です。日本のものと較べて返しが大きいので厳つい印象です。雪かきの先端は「トング」と呼ばれていて、実は可動するようになっています。車体側面には翼が収納されていて、広範囲の雪かきが出来ます。
2人で運用され、1人は空気圧の監視員、もう1人はトングと側面ウィングの操作員です。
モリッシー,ファーニー&マイケル鉄道長物車MF&M53。車歴に関しては不明です。製造年も不明。
荷台に色々乗っているのがらしくていいです。
扇形車庫の中に入っていきましょう。
扉が開いているところから機関車が見えます。その姿からあれ、コレって電気機関車?と一瞬と思い不思議に感じましたが・・・。
奥に行ってみると普通の蒸気機関車でしたとさ。そらそうよな。
これはカナディアンパシフィックU3c形CP2018号機です。軸配置は0-6-0、お察しの通りこれも入換機です。大きさとしては日本のC56形に近いと思います。
1905年にアンガス工場で製造され、当初の番号は2144号機、1912年に6144号機に改番されました。U3系のロードナンバーは一般的にはこの6000番台で呼ばれることが多いようです。
U3系はa~e番台が存在し、195機が製造されました。中でもU3c形は6143~6208号機の66機が製造されました。これはU3系の中でも最多グループになります。
U3c形は1950年代頃まで使われていたようです(確証なし)。CP6144は1943年に廃車となり、その後アルバータ州キャンモアにあるキャンモア炭鉱株式会社へ売却されました。
キャンモアはついこの間まで観光していたバンフの隣町です。今はバンフに収まりきらない観光客を収容する町のようになっていますが、元々は炭鉱で発展してきた町だったんですね。
で、そこの4号機として炭鉱から専用線を経てCPの本線まで石炭を運ぶのに使われていました。
周りの人たちは愛情を込めて「オールドゴート」と呼んでいました。これ、直訳すると「老ヤギ」ですが、本当は「クソジジイ」という意味です。クソジジイ・・・。扱いにくかったのかな?
動力はもちろん石炭・・・と言いたいところですが、なぜか1964年にディーゼルエンジンに換装されたそうです。お前もうSLじゃないよ・・・。ここらへんの時期はあいまいなのですが、1963年に炭鉱鉄道を引退してヘリテージパークに寄贈後の1964年にエンジンを改造されたっぽいです。なんでそんなことを、と言うところまで突っ込んだ記述は見つからなかったので理由は不明。
1992年に部分的な復元をされたようですが、これが動いている動画を観る限り、エンジンは相変わらずディーゼルのままな感じです。なんなんだ一体。
それと、2018号機というのはCPでは未使用の番号ということで、こいつも架空機みたいなものです。普通に6144号機じゃイカンのか?
まさかこいつがディーゼル駆動だとは思いもしなかったので、細部観察はしていないです。動かない分には完全に騙せていると言えます。
ディーゼル機関車だからなのか他の動態機と違って予備機扱いになっているため、動くことは滅多に無いんだそうです。
キャブ内も普通の蒸気機関車っていう感じでした。
カナディアンパシフィック有蓋車CP197529。1913年製の木造の貨車ですな。なんかもう平気で100歳超えの車ばかりでてきて頭がクラクラするぞ・・・。
何せ狭いので車両全体が入らないです。
このように貨車もそこそこ所有しているので、貨物列車を編成して園内の線路を走ってくれそうな気もします。貨物列車を走らせる保存鉄道というのは何箇所か見たことがあるんで、たぶんその気になれば出来そうです。当然チャーター代かかるんでしょうけどね。
カナディアンパシフィック控車CP40482。1923年製。
長物車と有蓋車を半分ずつ合わせたような格好ですが、これは後に出てくる操重車とペアになって運用される控車です。操重車のクレーンブームが他の車両と当たらないようにするためにこれで長さを稼いでいるのです。
車体の部分は作業用の道具が収められています。保線に必要な道具でしょうね。他にも事務机もあります。
ディスパッチボード。
今日は2023号機を18時まで使うぜってことでいいのかな?1400の意味がわからなかったけど。
カナディアンパシフィックCP6209カブース。1912年アンガス工場製です。
カブースというのは日本だと車掌車とか緩急車とかいうやつで、まだ貨物列車の運転台から貨車に一斉にブレーキを掛けることができなかった時代に、ここからブレーキを掛けていました。全車にブレーキを掛けられないのはカブースも同じなので、機関車とカブースだけがブレーキをかけるという感じでした。
他には、カブースに乗務している制動手が貨車の屋根を渡りながら1台ずつブレーキを掛けていく、なんて方法も採られていたようです。この時代の貨車の屋根には人が歩けるようなランボードがあって、そこから手ブレーキを掛けられるような構造になっていたのですな。
カブースの特徴は、屋根にキューポラという監視窓が付いていたこと。乗務員はあのキューポラによじ登り、前方に連結されている貨物列車を監視していたのです。
制動手の他に車掌も同乗していて、彼は通常デスクワークを行っています。
乗務は長時間に渡るため、車内には信号炎管、予備の道具、机、ベンチ、戸棚、ベッドといった業務に必要なものに加え、氷箱、鉄ストーブといった快適装置もあります。また業務が数日に渡ることもあるため、食事、休憩、睡眠が取れるような構造にもなっています。
たまに鉄道車両に住むなんて話を聞きますが、カブースなら1人暮らし程度は出来そうな設備を備えています。
車内に入ることが出来ます。車内に入れるカブースというのは意外と多くないものでして、実は貴重というふうになります。
車内を見てみると、家の部屋みたいな内装になっているのがわかります。車掌車というと寒々しいものを思い浮かべますが、これは床や内張りもしっかりとされていて鉄道車両離れした車内になっています。
なんだか居心地が良さそうな感じです。これは意外でした。
奥にはキューポラがあって、そこへ登るためのはしごがあります。登ったところにある椅子に座って列車監視を行います。
現在は機関車に乗務して貨車を見ずとも貨車にあるセンサーで全て読み取れるのですから、便利な時代になったものです。
カブースも1980年代頃までに姿を消してしまい、基本的に本線上で連結されている姿を見ることは出来ません。ごくごく稀に工事列車などに連結されているという場合もあるらしいですが・・・。
トロッコ。2人でレバーを上げ下げして走らせるおなじみのアレです。ぼっちには扱えない車。
カナディアンパシフィック操重車CP414328。1920年ビューサイラス製。
蒸気式のクレーン車です。重さは50トンとも75トンとも100トンとも言われていて、正直分からん。
それ以外の他のこともよく分からなかったです。
後ろ姿。
はい今日はここまで。
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