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北米project 4 ~Is the order a warbird? その65【2016/03/04~10】

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ピマ航空宇宙博物館の館内展示の続き。まだ始まったばかり。
スターラー バンブル・ビー(1984年・263機目)
やたら小さい飛行機ですが、これはロバート・スターラーが世界最小の航空機の称号を得るためにわざわざ設計したもの。全幅1.98m、全長2.84m、全高1.24m。よくこんなんで飛べるなって感じですが・・・。コックピットもすげぇ窮屈そう。
これでも飛行はできて無事に世界最小の航空機の称号を得たのでした。後に1988年にはさらに小型のバンブルビーIIを製作し飛行に成功。記録を自身で塗り替えましたがその後機体は墜落して失われてしまいます。やっぱり飛びづらい飛行機なんかな。それでもパイロットのロバート・スターラーは重症を負いながらも生還したんだからたいしたもんです。
機体はロバート・スターラーが寄贈したもの。バンブルビー Bumble bee とはマルハナバチのことです。ジービーといい、こういう極端な飛行機にはハチの名前を付けるのがお約束なのかしら?



ワコーRNF(1930年・264機目)
木製複葉の民生機に自信ニキのワコーを代表する1930年代の複葉機です。RNFはFシリーズの一種で初期型の部類。ワーナー社スカラブエンジンを積んでます。
Fシリーズは1940年代前半まで製造が続いていて、製造後期型のYMFでは外観の印象が結構変わってるぞ。



ピッツS-1Cスペシャル(1944年・265機目)
曲技飛行でおなじみの軽飛行機です。カーチス・ピッツが設計製作しました。基本的には完成機での販売ですがお家のガレージで作るためのキット形態でも販売していました。S-1Cはまさにキットとして販売されていたやつです。
この機体は地元ツーソン出身のジョン・マレックが購入したもので、1994年にこの機体でツーソンの競技飛行大会の「アンリミテッド級」で優勝した経験を持ちます。機体の引退後はツーソン空港で吊り下げられて展示されていましたが、空港の改修に伴い博物館に移設されました。



B-52Dの胴体尾部の銃座です。意外と有機的でグラマラスな形をしているんだなと。



ワコーZKS-6(1935年・266機目)
4人乗りの複葉機Sシリーズの一種で、密閉型の客室が特徴です。
型番のZはヤコブL-5エンジン搭載、KはK型標準客室、Sは系列名、-6はそのサブナンバーです。



カセット パイロンレーサー(1954年・267機目)
エアレース用のホームビルド機です。名前通り、エアレースの競技種目のひとつであるパイロンレース用の機体だそうな。
800機以上のキットが販売されて、ホームビルド機の中ではそこそこ成功したほうでしょう。素組で製作されたキットはほとんど無いらしく、パイロットの要望による改造が多かれ少なかれ加えられているようです。



エバンスVP-1フォルクスプレーン(1968年・268機目)
どこのお家にもあるような簡単な工具で造れることを目指して設計されたホームビルド機です。木の合板と羽布で構成された機体や平面形が矩形の主翼といった簡易な構造は組み立てやすさを第一に設計されていて、美観や性能は二の次にされています。ただし飛行特性はマイルドで案外と初心者向け。
エンジンはフォルクスワーゲンのビートルに使用される自動車用のタイプ1型エンジンを採用しています。機体名のフォルクスプレーンはここから取られています。
ホームビルド機の入門キットという感じでして、アメリカでのホームビルド機の敷居の低さや広さを感じられる機体です。



ルータン ロングEZ(1979年・269機目)
これもホームビルド機ですが複座型は珍しいかも。
燃費と飛行安定性を追求した結果辿り着いた、炭素繊維製の機体にエンテ翼に推進式の構造(右が前側だ)が何よりも特徴です。航続距離が長いのも特徴で、飛行時間は最大10時間、最大距離は2,500kmに及びます。小さいけどすごいやつなのだ。
これを設計したのはバート・ルータンで、彼はこういう異端な飛行機の設計が好きで、エンテ翼と推進式は得意とするところです。特に世界初の無着陸飛行世界一周のボイジャー、低燃費ビジネス飛行機のスターシップ、世界初の民間宇宙船スペースシップワンなんかが有名ですかね。他にも個性的でクセのある設計が多いんですが、好きな人は結構いるようです。



ベルランカ14-13-2クルーザー(1945年・270機目)
ベルランカ社が開発した軽飛行機。そこそこのコストの割に高性能で高耐久なのが売り。あとは正直良く知らん。



ミッチェル ウィングB-10(1929年・271機目)
動力式のハンググライダーです。あとは特に書くことないかなぁ・・・(手抜き)



ビードBD-5Jマイクロジェット(3日ぶり2機目・272機目)
ホームビルド機ですが名前通りジェット機です。お家で作れるジェット機ってすごいパワーワードだなと。
飛行機の機首に翼を付けただけのようなふざけた機体ですが、これでもちゃんとジェットエンジンを尾部に載せているのだ。実際、ジェット機としては世界最小の機体という肩書を持っています。
みんな忘れてるでしょうが旅行の初日にこれのプロペラ機版を見ています。そこでも書いていますが、映画「007オクトパシー」の劇中で主演のジェームズ・ボンドが乗っていた機体として有名なのです。この機体の塗装もそれを再現しています。映画で使用された当該機というわけではなさそうですが。



テイラークラフトL-2Mグラスホッパー(1941年・273機目)
WWII時にアメリカ陸軍航空隊用の連絡機として開発された軽飛行機です。なので型番もLナンバーです。
グラスホッパー、つまりバッタという名前ですが、前線でも運用できるタフさと短い離着陸距離がバッタみたいな跳ね方を想起させたのかも知れません。
グラスホッパーも英語で書くと聞こえがいい単語ですよね。アルバトロス(アホウドリ)とかドラゴンフライ(トンボ)に通づるものがあります。

戦後は余剰になった機体が1万ドル未満の値段で民間に放出されまして、使い勝手が良かったことから人気機種でした。これも放出機を個人が所有していたものでした。



テイラークラフトBC-12D(274機目)
L-2Mと同じテイラークラフト製でL-2Mとは似ていますがよく見ると異なる機体です。
1930年代から造られた個人所有用の2人乗り軽飛行機Bシリーズの一種で、WWII中はL-2の生産に注力したため一時生産中止しましたが、この戦争は勝ったな風呂入ってくる、となった頃から民間機市場に舞い戻り、戦後に生産され始めたのがB-12です。
L-2とは主に胴体が異なります。L-2は観測機の役割もあったので視界を良くするため後方にも窓を取ってありますが、BC-12ではそれがなくてその分胴体後部が高くなっています。また、座席配置もL-2の縦配列ではなく横配列になっています。

1940年代末までは生産していたようですが、以降はよく知らず。それでも戦後型は2,100機も造られたので、今も飛行可能な機体がそこかしこにいるそうです。
ちなみにテイラークラフト社は今は飛行機製造はしておらず、既存機種の部品製造などで細々と会社をやっているようです。



マカロックHUM-1(2日ぶり2機目・275機目)
世界初のタンデムローターヘリコプターです。MC-4がメーカー内呼称で、HUM-1というのは評価試験用に導入したアメリカ海軍での呼称です。他に陸軍にもYH-30(XH-30)が評価試験目的で導入されています。
陸海ともに使い道を見つけられず、制式採用されぬままメーカーに返却されてしまいました。かなり小型の機体でして、たぶん航続距離が足りないとか搭載能力も低いとかそんな理由なんじゃないでしょうか。知らんけど。
海軍のHUMとして現存するのは2機だけで、もう1機はおととい訪れたヤンクス航空博物館に保存されています。



ウェストランド リンクスAH.7(1977年・276機目)
アメリカの博物館では珍しいことにイギリスのヘリコプターです。軍用の汎用ヘリでして、AH.7はイギリス陸軍用の攻撃ヘリだそうな。
なんでここにいるの?という感じですが、退役したのを引き取ったんでしょうね。2012年にシリア内戦で使われた時の形態で保存されているのでその辺りでしょう。



カーチスO-52オウル(2日ぶり2機目・277機目)
アメリカ陸軍最後のOナンバーの重観測機。以降は軽快なLナンバーの連絡機に移行します。
第二次世界大戦が始まった頃に開発された最新鋭のO-52は、実戦配備された時には戦争やるには時代遅れになっていたことが判明しソッコーで後方へ追いやられました、というのが定説なんですがどういうわけで性能不足だったのかはどこにも説明が無いためよく分からず。
現存するのは3機だけで、1機はここ、もう1機はおととい見たヤンクスで、すでに王手をかけてます。なお最後の1機はデイトンのアメリカ空軍博物館です。生きているうちに行ってみたいところでありますので、これもそのうち見ることになるといいな。

というところで今日はここまで。

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