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北米project 5 ~How do you like Canada? その53【2016/6/15~22】

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カナダ航空宇宙博物館の回転翼機コーナーの続きです。これは、ブリティッシュ・エアロスペースAV-8Aハリアー (British Aerospace AV-8A Harrier) です。1960年初飛行。ご存知、世界で初めて実用化された垂直離着陸できる固定翼機です。ヘリコプターも垂直離着陸できますが、あれは回転翼機なのでそもそも土俵が違います。ハリアーが積んでいるペガサスエンジンというのがキモで、ジェット噴流の排気口が左右に分かれていて、しかも口を下に向けたり後ろに向けたりできます。最初は下に向けることで垂直に離陸していって、徐々に排気口を後ろへ向けていくことで前進して飛んでいくのです。ちょっと危なっかしいがそれがハリアー独特の発進法でね、上がっちまえばどうって事無い!自転車だってそうだろう?一度乗ったらコツは一生忘れねえモンだ! ハリアーの開発史はそれはもういろいろな実験機を経てのものですが、ここで書くと1回分潰してしまうのでそれはまたいつか(手抜き)。

ハリアーはイギリスが開発した機体ですが、アメリカ海兵隊も目をつけて採用していました。今は退役済みですけどね。滑走路を必要としないハリアーは敵地へ一番槍で突撃する海兵隊の性に合っていたのです。この個体は1973年にアメリカ海兵隊に配備された機体です。AV-8Aはイギリスで言うとハリアーGR.3相当の機種です。VMA-231、513、および542で運用され、沖縄に配備されていた時期もあったそうな。ここではVMA-231エース・オブ・スペーズの形態で展示されています。たぶん海兵隊からの貸与で展示されているんだと思います。

ちなみにハリアーの噴射口は前後2箇所ずつありにけり。後ろ2箇所はジェット噴流を出しますが、前の方は燃焼前の圧縮空気を出します。4箇所でバランス取るわけです。主脚は中心線上に2本あります。こういうのを自転車配置というそうな。これだと機体が左右どっちかに傾いて転んでしまうので、主翼の端に補助輪が付いています。もちろん飛行時は収納できるようになっていますよ。

なおペガサスエンジンの出力は9,750kg、一方ハリアーの最大離陸重量は11,000kgです。垂直離陸の場合運動エネルギーがゼロ状態で機体を浮かせないといけないのでエンジン出力以上の重さでは浮きません。最低離陸重量だと8トンくらいらしいので空荷なら垂直離陸も可能なんですが、爆弾をちょっとしか積めない攻撃機なんて税金の無駄です。なので実際の運用では爆弾搭載時は通常離陸するんだそうな。一応他の機種に比べれば短距離で離陸できちゃうらしい。こういう面で見ると、ジェット攻撃機の割に小型のハリアーはギリギリの重量計算で設計されているんだなというのがわかります。

CL-84-1ダイナバートの後ろ。水平尾翼と垂直安定板も可変式です。主翼の角度と連動して水平尾翼も可動するようです。

尾部には小さい回転翼が二重に付いています。たぶん二重反転式。尾部の浮力を担保するものだと思います。これ、動力はどうなってるんでしょうね。

後部カーゴハッチは天井が低いので使いにくそうです。

別方向からの尾翼。

CH-113ラブラドールの後部カーゴハッチ。

機内はこんな感じです。

S-55の胴体後部はキュッと絞り込まれた形状が可愛らしいのです。

CH-135ツインヒューイの尾部。

カナディアCL600チャレンジャー (Canadair CL600 Challenger) です。1978年初飛行。ビジネスジェット製造を手掛けるリアジェット社のリアスター600の構想をもとに再設計した機体です。ビジネスジェットとしては初めてのワイドボディ機で、この胴体は後にリージョナルジェットのCRJに発展します。この個体は先行量産型の3号機で、1979年製造と初飛行をしました。その後もテスト機として使用されて、チャレンジャー601型、604型のテストベッドになりました。その間にエンジン交換とウィングレット追加されています。1986年にはカナディアがボンバルディアに買収されますが計画は継続されます。2004年にはフライ・バイ・ワイヤ制御の蓄積を得るためにその制御に改造されています。


胴体はCRJのそれと同じですね~。いや、こっちが先なんですけどね。

エンジンはゼネラル・エレクトリックのCF34-3Aターボファンです。

胴体には大きくACTの文字。Active Control Technologyの頭文字で、たぶんフライ・バイ・ワイヤ制御改造の時に付けられたのかなと。

機首です。

ウィングレットです。なんとなく後付け感がありますね。





メーデー民のアイドル、ラムたん!ラムエア・タービンという緊急用風力発電器の羽根車です。飛行中にエンジン停止して電源喪失した際、これが機外に展開します。飛行中なので羽根車が回転して風力発電器となり、機体に必要最低限ですが電源を供給するのです。いざという時の隠しナイフのようなものです。

試験機特有のクソデカピトー管。

左舷のエンジンはナセルが外されていました。
というところで今日はここまで。

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