ビクトリアの模型屋へウィンドウショッピングをしに行ったらこんなポスターを見つけました。Model Railway Show要は鉄道模型ショーです。
ビクトリアにもこんなイベントがあったんだ(*^◯^*) てっきりバンクーバーまで行かないとこういうのは無いと思っていたんで意外でした。
中でも注目すべきは模型の販売があるということ、特に個人販売は大いに魅了です。つまりはモデラーズフリマのようなもので、中古鉄道模型が安価で手に入る可能性があるということ。これに行かない手はありませんね、というわけで突撃を敢行することに。
お家から会場まではチャリで行きましたが、今回は休止線中のE&N鉄道の線路脇に整備された「E&N鉄道トレイル」伝いに行きました。経路は上の地図に示したとおり。
鉄道の起点であったビクトリア駅から会場までは約12kmです。途中湾を迂回するので多少大回りになっています。ここに限らずバンクーバー島の海岸線の地形は複雑なものになっています。氷河期のフィヨルドの名残ですかね。
ポイントを2つ載せていますがそれは後々。
開場は10時に合わせて到着する必要があるので朝のうちに出発します。起点から数km進むとカナダ軍エスクイモルト基地が左手に見えるようになります。おおよそ地図の赤い点の地点です。
エスクイモルト基地はカナダ太平洋側の海上防衛を一手に引き受ける一大拠点で、少なくない数の艦艇が配備されています。地形上、トレイルから見られる艦艇は少ないのですが・・・。
写真はハリファックス級フリゲート12番艦HMCSオタワ(FFH-341) HMCS Ottawa。現在のカナダ海軍の主力艦艇といえるでしょう。
同クラス6番艦のHMCSカルガリー(FFH-335) HMCS Calgary。ハリファックス級の艦名は都市名に由来するものになっているんですね。
ちなみに艦名の接頭辞"HMCS"はHis/Her Majesty's Canadian Shipの略で、「陛下の艦艇」という意味です。イギリス海軍の接頭辞"HMS"のカナダ版ですな。
さらに脱線すると、同じイギリス連邦の流れをくむオーストラリア海軍だと"HMAS"=His/Her Majesty's Australian Ship、イギリスとは関係ないけどアメリカ海軍の接頭辞は"USS"=United States Shipという感じになっています。
どこの国も採用しているわけではなく、ご存知大日本帝国海軍は接頭辞を使っていません。ただし、英語圏では人によっては"IJN"=Imperial Japanese Navyを使うこともありにけり。当時の日本の軍艦は確か天皇陛下からの借り物という体だったはずなので、HMSの方がニュアンスとしては近いのかもしれませんがまあイギリスと被るからなぁ。・・・HMJS?IJNでいいですね(
どうでもいい豆知識ですが、最近は日本海軍艦艇をグーグル画像検索すると艦これイラストに検索結果が汚染埋め尽くされていますが、IJNを付けて検索すると艦娘はほぼ一掃されるので艦艇の資料を調べたい時におすすめ。
もう2隻見えました。
左がHCMSバンクーバー(FFH-331) HMCS Vancouver、右のケツ向けてるほうがイロコイ級ミサイル駆逐艦4番艦HMCSアルゴンキン(DDG-283) HMCS Algonquin。1970年代に建造された艦で元々はシーキング2機を搭載可能なヘリ搭載駆逐艦だったそうな。
同型艦は既に退役時期で、1番艦HMCSイロコイは2015年5月に退役、2番艦HMCSヒューロンも2005年に退役。このHMCSアルゴンキンもこれの撮影後直後の2015年6月11日に退役、同年11月にはスクラップ業者へ販売されてしまい大西洋側へ曳航されていくようです。執筆時点ではもう曳航されてしまったかも。現役なのはHMCSアサバスカンだけで、これも近いうちに退役となる予定です。
つまりHMCSアルゴンキンはこれが最初で最後の撮影と相成ってしまいました。もっとちゃんと撮影しておくべきだったな。いやまあ、どうあがいてもまともな撮影できなかったんですけどね・・・。
トレイルを進んでいきます。ところどころまだ未整備の箇所があるのでそこは道路を迂回することになります。
E&N鉄道はビクトリアを起点に数百km先のコートニーまで延びていましたが、トレイルはほんの先っちょのラングフォード約20km地点までしか整備されていません。今後もラングフォードから先が整備されることは無いと思います。整備にも税金がかかるしね・・・。
鉄道というのは勾配に弱い輸送システムですから、線路を敷く際には出来るだけ勾配を抑えることが肝要です。牽引力の弱い蒸気機関車の時代に建設された線路なら尚の事です。その鉄道の廃線跡(の脇)を活用したトレイルなのですから、さぞや勾配が少なく快適で走りやすいに違いない・・・と思っていたんですけどねぇ。現実は無情。
この区間はまだ線路脇の柵が完成しておらず、まだこのトレイルが整備中であることが分かるかと思います。
もうどうせ列車は来ないのに、なんで線路を剥がしてそこにトレイルを敷かないの?と思うかもしれません。私もそう疑問に思いました。
線路を剥がすのにだってお金はかかるから・・・とも思いますが、線路脇にトレイルを敷くための用地買収だってお金はかかるわけです。途中トレイルがぶつ切りになっている区間があるのは、トレイルの用地買収が進んでいないからだと思います。
結論(推論?)を書いてしまいますと、この線路実はまだ廃線になっていないのです。上の方にちらっと書いていたのですが、線路の状態は「休止線」ということになっているようです。つまりその気になればまた列車走らせられるよということです。再びVIA鉄道が走る可能性は限りなく低いと思うんですけどね。
ただ、ビクトリア~ラングフォード間のみ(この区間はBCトランジットの二階建てバスが高頻度で結んでいて比較的需要が旺盛)においてライトレールを走らせようとする計画があるようです。が、日本各地にある路面電車導入構想の域を出ていない程度の見通しのない計画っぽいんで、実現するかは分からないです。するにしても数十年後だろうなぁ。
と言う事情でこの線路は一応まだアクティブ、勝手に人に入られて荒らされちゃ困るよってことで柵を設けているようです。
なぜかバラストが取り除かれレールと枕木だけ残された区間。枕木も何やら新し目?まさか保線?いやいやまさかぁ。
結局ここは謎のまま。
そしてビクトリアから3駅目のVIA鉄道旧パルマー駅 Palmer Station。地図の緑の点の地点です。駅要素が微塵も感じられませんがな。ちょっと出来の良いバス停みたい・・・。
休止後もこうして残されているわけですが、またいずれ復活させるよということではなく、壊すの面倒くさいからという理由なんだろうなぁ。
設備は屋根付きのベンチと板張りのプラットホーム。線路は一線で信号機とかは無し。まだビクトリア都市圏内なのにこのクソ田舎感。いや、本当のクソ田舎は屋根すら無いか・・・。
VIA鉄道のロゴと駅名標。VIA鉄道、逆さにしてもVIA鉄道、というよく練られたロゴです。
駅名票にはパルマー・フォートビクトリアと書かれています。フォート・ビクトリアはここの地名です。英語で書くとFort Victoria、ここでの「フォート」は軍事要塞ではなく交易所を意味します。
何の交易所かというとハドソン湾会社の毛皮の交易所です。ハドソン湾会社とは、植民地での貿易と経済支配によってウハウハだったイギリスの勅許会社です。世界史の教科書にも出てくる東インド会社と同様のものだと思ってくれていいと思います(筆者もよく分かっていない)。なんと会社は現存しており今は鳴りを潜めて服飾などの小売業のみを展開していますが、昔はイギリス政府を後ろ盾に絶対エグいことやってたでこいつら(やっぱりよく分かっていない)。この交易所は部外者の侵入を防ぐために要塞化されていてハドソン湾会社の私兵(傭兵?)もいたので、ある意味軍事要塞ですわな。
ハドソン湾会社とその要塞、もとい交易所については追々説明できると思います。かなーり追々になりますが。
交易所の敷地だっただろう場所は、現在キャンピングカーをお家にする人たちの根城になっています。都会の喧騒から離れて毎日アウトドア気分で暮らせるのが魅力だそうだ。僕はちょっと遠慮しますけど・・・。
すぐ横にはこんな建物が。お、これナナイモで見たことあるぞ。バスチョン Bastionだ。上から見ると八角形の形をした建物で、ハドソン湾会社の交易所には大なり小なりこういったものが(おそらくですが必ず)あったといいます。
これは何かというと名前通りで、砦です。背が高く四方を見渡せることから普段は見張り台や倉庫として使われていたと思います。
ただし、現存するバスチョンはナナイモにある個体のみということで、これはレプリカの可能性が高いです。中身がどうなっているのかは分かりません。というかこれを書くまでこの土地の経緯を知らなかったっちゅう・・・。撮影から執筆までタイムラグがあるとこういうとき困るね。
E&N鉄道と同トレイル、もうひとつの鉄道トレイルであるギャロッピンググース・トレイルおよびトランスカナダハイウェイこと1号線が交わるところです。
ここから目的地まではギャロッピンググース・トレイルを経由します。このトレイルは総延長が長く、走り通すとなると半日は余裕で越すんじゃないかと思います。後の話ですが、ここの大半を走破しようと試みたのですが2回中2回自転車をパンクさせる事故を起こしたので懲りてしまい、走破は達成されないまま終わると思います・・・。
会場に着きました。書くので疲れたんで続きは次回。
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